【レポート】
世界のインターネットのつなぎ方 <南アジア編 その2>前回のインドに引き続き、南アジアのインターネットの繋ぎ方と利用方法をレポートする。今回はネパール、スリランカ、バングラデシュの模様をお伝えしよう。インターネット環境についてインドと異なるところを中心にまとめている。 ●ネパール 観光産業がベースのインターネット
カトマンズにあるタミル地区は、そのなかでも最も大きいエリアだ。安宿、土産屋、食堂が並ぶなかに、インターネットカフェも多く存在し競争している。外国人旅行者が望むニーズに応えているのだ。日本人旅行者もたくさんやってくるが、Hotmailでメールを送るのが旅行者には通例のため、日本語環境にもしっかり対応している。インターネットカフェとはいえ、基本的にダイヤルアップ接続(1時間20ネパールルピー=約40円)。ただ、なかには若干高め(1時間30ネパールルピー=約60円)で衛星インターネットに接続している店もある。それでも普通に電話をかけるより安価にネット接続できるため、ここでは電話線接続より、衛星インターネットカフェからLAN接続するほうが安上がりだろう。 ちなみに電話だけなら、インドと同じ形態の“電話屋”で(「南アジア編 その1」参照)。なおインターネットカフェにノートPCを持ち込んでのLAN接続についてだが、ネパール人のお国柄からの性格なのか、説得すれば必ずといっていいほど了承してもらえた。 なお、インターネットカフェは大きく分けて2つの形態がある。PCをたくさん置きインターネット接続だけを提供するタイプ。そしてもうひとつが、1台のPCをインターネット用に提供し、他に旅行代理店も兼ねる店だ。前者のほうが詳しい店員がいることが多いので、LAN接続したいなら前者のような店を訪ねるとよいだろう。観光化された地区以外を見ると、カトマンズ市内では後者のようなインターネットカフェが見られるが、それ以外の非観光地ではインターネットカフェを見かけることはまずない。まだまだインターネットは西欧人や日本人のような“金持ち外国人”向けのものでしかないのかもしれない。 国際ローミングサービスでは、iPassのアクセスポイントは首都カトマンズだけなのに対して、GRICはネパールの主要都市をカバーしており、ネパールではGRICに軍配があがる。
【URL】●スリランカ インドに近いが文化は遠く……
道路などのインフラも、インドに比べてかなり整備されているものの、なぜかインターネットカフェは他の国と比べても少ない。日本語が読み書きできるPCも少ない。ローミングサービスのアクセスポイントもスリランカで最大の都市コロンボにしかない。地方で見かけた例では、電話屋がプロバイダーを兼ねているところがあった。地方都市はそうやってカバーしているのかもしれない。 電話線から手持ちのPCでネット接続をするのが無難だが、電話はホテルのほかには電話屋を使うことになる。問題なのは、場合によっては日本と同じくらい、電話屋の電話が高いことだ。市内電話で1分10円くらいの感覚だ。南アジアに限らず、他のアジア諸国では、電話代がその半分から5分の1で済むといえば、この高さが分かってもらえるだろう。ましてや地方からかけるとなると、そのコストは目を覆いたくなるばかりだ。ただ、地方で使う場合はインターネットカフェに行き、そこで担当者に相談して電話線を借りることで、安くあげることもできる。 インターネットカフェについて書くと、スリランカでは主に“オフィスワークなんでも屋”のなかの1サービスとして存在する。オフィスワークなんでも屋というのは、パソコンを使ったタイピング、電話、ファックス、E-mailなどをすべて請け負う業者のことだ。ここの利用料金は、“E-Mailサービス”と“インターネット(ブラウジング)サービス”に分けられていることが多い。つまり2つのサービスは別料金なわけで、たとえばメール1通ごとにチャージをとる店もある。 また、私がこの手の店に入ったとき、老人の客がメールを送信する相手のアドレスと本文を伝えて、店員がPCに入力していたことがあった。以前(「東南アジア編 その2」)に書いたミャンマーのような情報操作が目的ではなく、代行送信も含めたサービスとして、メールサービスは存在しているのだ。ただ、インターネットサービスを利用してPCのメーラーを立ち上げたり、Hotmailなどを閲覧しても特にチャージはとられなかった。なお現地のプロバイダーは、インドと同様にプロバイダー発行のCDを購入してサインアップして利用する。
【URL】●バングラデシュ アジア最貧国のインターネット事情とは
ローミングサービスのアクセスポイントは、iPassがダッカのみ、GRICがダッカおよびチッタゴンにある。電話線については、高級ホテルの部屋以外にも電話屋や、スリランカ同様の“オフィスワークなんでも屋”がある。訪れて説得すれば、彼らは興味本位で電話線を貸してくれるだろう。現地のプロバイダーではインターネットプリペイドカードを販売していて、これを購入すればさらに安くあげることも可能だ。 インターネットカフェはバングラデシュでは「サイバーカフェ」と呼ばれているが、これはダッカですら数軒で、まさに数えるほどしかない。あとはバングラデシュ第2の街・チッタゴンや、第3の街・コルナに1、2件といったところで、ダッカ以外に見つけるのは時間がかかるだろう。価格は1時間200円前後。なお、ADSL環境のサイバーカフェは見つからなかった。また観光客が少ないことから、日本語が読めるPCは少ない。日本語環境を持ち込みたいなら、素直にノートPCを持って、電話屋やビジネス屋に駆け込むのが無難といえる。 【URL】 最後に各国の回線事情について。たとえばつないでいる間に途切れたり、途中で遅くなって接続できなくなったりといったことは、今回の旅では特に見られなかった。一度つながれば、どの地域でも安定して利用できていた。なおiPassとGRICの両方をサポートしている地域だと、たいていアクセスポイントは共通している。この場合、どちらからつないでも回線速度は変わらなかった。 ◎関連記事 (2003/4/3) [Reported by 山谷剛史(yamaya@tc.xdsl.ne.jp)] |
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