Internet Watch logo
記事検索
バックナンバー
ベトナムの首都・ハノイのインターネット事情
[2006/1/26]
中国検索サイトの雄「百度」と、百度で知る中国の人気検索キーワード
[2005/9/29]
「中国インターネット発展状況統計報告」を読む(後編)
[2005/2/24]
「中国インターネット発展状況統計報告」を読む(前編)
[2005/2/23]
世界のインターネットのつなぎ方<北欧編その3>
[2004/11/18]
世界のインターネットのつなぎ方<北欧編その2>
[2004/11/11]
世界のインターネットのつなぎ方<北欧編その1>
[2004/11/4]
“国際的ネットカフェ”の条件とは?(後編)
[2004/4/20]
“国際的ネットカフェ”の条件とは?(前編)
[2004/4/19]
いまどきの中国ネットカフェ事情をレポート〜チャットやネットゲームが浸透
[2003/12/26]
無線から有線を選んだカンボジア〜戦後復興国の例を見る
[2003/10/14]
SARSで変わる、中国インターネット事情
[2003/6/2]
世界のインターネットのつなぎ方〜香港編
[2003/5/7]
世界のインターネットのつなぎ方<南アジア編その2>
[2003/4/3]
世界のインターネットのつなぎ方<南アジア編その1>
[2003/4/2]
世界のインターネットの繋ぎ方〜東南アジア編<その2>
[2002/11/15]
世界のインターネットの繋ぎ方〜中国・東南アジア編
[2002/7/19]

「中国インターネット発展状況統計報告」を読む(後編)

中国のネットユーザーがいつも利用するサービスは?

 前回に引き続き、「第15回中国インターネット発展状況統計報告」をもとに中国のインターネット事情を見ていこう。今回は主にインターネットの利用目的や利用しているサービスについてのアンケート結果を紹介する。


MP3ファイルをインターネットで入手する人は少数派?

■表1 インターネットを利用する最大の目的(クリックで拡大)

 まず「インターネットを利用する最大の目的」を尋ねる質問では、「情報の取得」(39.1%)と「娯楽」(35.7%)という2つに回答が集中した。日本では比較的多いと思われる「友達作り」(6.2%)、「外部との通信・連絡」(1.7%)、「オンラインバンキング、オンライン株取引など」(1.2%)、「オンラインショッピング」(0.1%)はわずかだ(表1)。2年前の調査では「情報の取得」が半数近くを占め、「娯楽」は2割程度だったが、その差は年々縮まっている。よりエンターテイメント色が強くなってきている。

 「いつも利用するサービス」で多かったのは、「メール」(85.6%)、「情報検索」(65.0%)、「ニュースを見る」(62.0%)、「Web閲覧」(49.9%)、「チャット」(42.6%)、「ソフトウェアのアップロード/ダウンロード」(37.4%)、「掲示板」(20.8%)、「オンラインゲーム」(15.9%)と続く。逆にほとんどの利用者は「オンラインホテル予約など旅行サービス」(0.5%)、「オンラインショッピング」(1.6%)をいつも利用しているわけではなく、「オンラインマガジン」(7.3%)、「ホームページ作成」(4.9%)も少数に止まった。

百度MP3検索
http://mp3.baidu.com/
 意外に少ないと感じたのは、「MP3、Flashなどのマルチメディア娯楽」が8.0%だったことだ。MP3プレーヤーが雨後の竹の子のごとく有名・無名メーカーから販売されており、中国産検索エンジンで最も有名な「百度」でも「mp3」や「wmv」などに限定して検索し、検索結果からそのまま音楽を聞けるといったサービスを提供している。このようにMP3が市民権を得ている中国でそれをインターネットでダウンロードする人が少ないということは、中国の街中でよく見かける海賊版のMP3詰め合わせCDで入手するのが普通なのだろうか? また、Flashについては、中国産アニメの新しい潮流として多くのアマチュアクリエーターがFlash作品を発表しており、ポータルサイトでも独立したコーナーの1つとしてあるほどだ。Flash人気は、マニアやコレクターだけのものなのだろうか?


海賊版問題とソフトウェアダウンロードの関係

 逆にここまで利用者がいるのかと感じたのは、「ソフトウェアのアップロード/ダウンロード」だ。3分の1以上のインターネットユーザーがこれを行なう背景には、近年、海賊版ソフトから目を背けさせることを目的としたフリーソフトやシェアウェアの紹介がPC関連雑誌などのメディアで行なわれているのと密接に関係している気がしてならない。実際、筆者が過去に見た個人のPCやインターネットカフェにはいずれもフリーソフトやシェアウェアがいくつかインストールされていた。37.4%という数字は、中国で問題となっている海賊版ソフトのアップロードやダウンロードも含まれるだろうが、多くがフリーソフトやシェアウェアを意味していると思われる。

中国のインターネットカフェ
 このほか「チャット」は4割以上が利用していると回答したが、実際、中国のインターネットカフェでは利用者のほとんどが中国製チャットソフト「QQ」でチャットするか、いわゆる“洋ゲー”と呼ばれる欧米製のゲームや中国産のオンラインゲームで遊んでいる。メールやWebの閲覧をする利用者もいるが、インターネットカフェでは少数派だ。

 インターネットカフェは、さながら日本のゲームセンター(それも今どきのアミューズメントセンター的なものではなく、昔のゲームコーナー的なものといってわかるだろうか?)のような雰囲気がある。そこを利用する者と利用するサービスには偏りがあるのかもしれないが、それでも「チャット」の42.6%、「掲示板」の20.8%、「オンラインゲーム」の15.9%は妥当な数字か、あるいはもっと高くてもおかしくない。ちなみにオンラインゲームのジャンルは、短い時間で遊べる麻雀やトランプなどの「テーブルゲーム」(72.9%)が圧倒的に多く、次いで「RPG」(44.1%)となる。


中国向けのWebサイトでは文字も広告も多いほうがいい?

 閲覧しているWebサイトのジャンルは、「ニュース」(74.2%)が最も多く、以下「PC関連情報」(49.2%)、「娯楽情報」(44.6%)、「生活サービス」(42.3%)、「電子書籍」(36.7%)と続く。Webサイトを閲覧する上で最も重視する要素は「提供される内容が真実で権威のあること」(43.8%)、「提供される内容が豊富であること」(33.0%)を選んだ人が多く、「ページが簡潔であること」(3.4%)や「広告が少ないこと」(1.7%)は少数だった。

 日本のインターネットユーザーが中国の著名ポータルサイトを見てまず驚くのは、ページがこれでもかというほど文字という文字で埋められていて、広告もポップアップなどあらゆる方法を駆使してうっとうしいくらい表示されることだ。調査結果が示しているように、中国のインターネットユーザーはそういったデザインについてノープロブレムなのだ。以下に中国3大ポータルサイトを挙げてこう。

新浪網
http://www.sina.com.cn/
捜狐
http://www.sohu.com/
網易
http://www.163.com/

「見知らぬ人は信じない」国のオンラインショッピング事情

 冒頭に紹介した調査結果からは、それほど普及しているとは思えないオンラインショッピングだが、ショッピングサイトを「見たことがない」とした人は9.5%だけだった。「ときどき見る」(38.7%)、「ごくたまに見る」(28.7%)、「よく見る」(23.1%)という人のほうが多い。

 実際、ここ1年でショッピングサイトでの購入経験のある人が40.4%あった。購入したものは「本」(58.8%)や「PC関連商品」(34.2%)が多い。また「これから1年のうちにオンラインショッピングで商品を購入すると思うか?」という質問には、「必ずする」(21.4%)、「多分する」(36.3%)との前向きな回答が半数を超えた。

 さて、ここからは筆者の考察だが、中国では「見知らぬ人はまず信じない」という考え方がある。そのため、オンラインショッピングなどインターネット上で金銭が動くサービスはしばらく普及しないと思っていたのだが、意外なことに利用者は結構いるわけだ。しかし、上記のような根強い考えからサービスを信じないインターネットユーザーが多くいるのもまた事実だろう。「オンラインショッピングの最大の問題点は?」という質問で、「製品のクオリティや購入後のメーカーサポートが保証されない」(42.4%)、「安全性が保障されない」(34.3%)という回答に集中したことからもうかがえる。店やメーカーを信用できれば、前向きに利用したいといったところだろう。


人口普及率はまだ1割、「根本的に利用する気はない」人も多数

 中国のインターネット人口は調査を重ねるごとに堅調に増え、今回の第15回調査で9,400万人になった(表2)。とはいえ、この数字は全人口13億人のうちの9割以上がまだインターネットユーザーではないことの裏返しでもある。インターネットを利用しない理由は、「PCやインターネットがわからない」(40.1%)が最も多く、以下「利用するための設備がない」(23.1%)、「必要ない」(16.1%)、「利用する時間がない」(15.9%)、「費用が高い」(10.5%)と続く。

■表2 中国のインターネット人口の推移(クリックで拡大)

 「あとどのくらいの期間のうちに利用する予定か?」との質問には、「根本的に利用する気はない」(47.4%)という回答が半数近くを占め、具体的な時期を示した回答を大きく上回った。一方、1カ月先であれ1年先であれ将来的にインターネットを利用したいとした人も3割以上おり、年齢別で見ると中年層を中心に多かった。数年後には、中国の中年以上を対象にしたインターネットサービスがビジネスとして成り立つ可能性もある。

 調査でこのほか、インターネットに対する考え方を聞くアンケートも実施している。まず、「インターネットは学習と仕事効率を向上させる」との考え方には8割以上が賛成。一方、「インターネットを利用することでよくない友人ができる」には、賛成できないとした人が過半数を超えた。

 インターネットの利用者と非利用者では、その傾向に違いが現われたものもあった。「インターネットから悪い情報の影響を受ける」については、インターネット利用者のほうが賛成する割合が高かったという。また、「インターネットで流れる情報を信用できる」については、利用者の9割弱が「ある程度信じる」または「半信半疑」と回答。非利用者の回答も「ある程度信じる」と「半信半疑」に集中したが、「完全に信用する」(17.1%)、「信用しない」(14.3%)という回答が利用者に比べて多かった。

( 山谷剛史 )
2005/02/24

- ページの先頭へ-

Internet Watch ホームページ
 Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.