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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿

中国で過去最大規模の個人情報漏洩〜トータルで1億超えか ほか2011年12月


  本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国を取材拠点とする筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。

中国で過去最大規模の個人情報漏洩〜トータルで1億超えか

 中国の開発者向けサイト「CSDN」に登録する600万アカウントの個人情報が、ハッカーの攻撃により漏洩していたことが判明したと報道され、開発者が多い北京中関村を震撼させた。さらにその後、マイクロブログ大手の「新浪微博」、SNS大手の「人人網」や「開心網」のアカウントや、4000万のアカウントを抱える老舗掲示板サイト「天涯」、大手結婚仲介サイト「世紀佳縁」、ブラウザーゲームを集めたサイト「7K7K」「多玩網」「178遊戯」でも漏洩が疑われ、さらなる騒ぎとなる。

 その後、「新浪微博」や「人人網」は情報漏洩を否定したものの、トータルで1億を超える可能性もある過去最大規模の個人情報漏洩の話題は「泄密門(大きな事件にはXX門と命名される)」と名付けられた。漏えい事件がユーザーに与えた衝撃は大きく、電子マネー「支付宝」、オンラインショッピングサイト「京東商城」「当当網」、大手ポータル「網易」などのポータルサイトや普及中のオンラインバンキングにも疑惑は飛び火。一時は利用者の間で支付宝をすぐに使い切ろうとする動きまで現れた。利用サイト全てで同一のパスワードを使っているユーザーも多いことから、パスワードをときどき変更するなど、セキュリティ意識を向上させるきっかけにもなった。

 発端となった出回ってしまったCSDNの個人情報を分析すると、23万5000アカウントでパスワードが「123456789」に、882アカウントで「誓って一生あなたを愛します」の中国語発音にあたる「5845201314」、741アカウントで「愛してる、一生愛してる」の中国語の発音にあたる「5201314520」を設定していることがわかり「利用者にはロマンチストがかなり多い」とニュースは報じた。

 個人情報は売れるので、クラッカーによる個人情報取得のニュースは中国国内でよく聞く。現在のクラッカーはビジネスなので会員数が多いところを狙うのだ。新浪微博やチャットの「QQ」は日本でもサービスを開始しているが、中国のサービスを利用する際は、パスワード管理にはより注意を払ったほうがよいかもしれない。

個人情報漏洩については、各報道メディアが12月下旬にひんぱんに取り上げた


中国版マイクロブログ「微博」が実名制へと急遽決定

 2011年はさらに中国版マイクロブログ「微博」が普及した。微博の利用者は3億人を突破したが、中国高速鉄道事故などの大事件での情報拡散で、ますます市民メディアとして微博が注目される年となった。そんな2011年の最後の月に北京(16日)を皮切りに上海、天津、深センなどで微博実名制の制度が発表、即施行された。著名微博サービスの「新浪微博」「騰訊微博」「捜狐微博」「網易微博」のいずれもが対象となった。中国政府は「デマ」の類にナーバスになっているのか、発言人に責任を持たせ「デマ」を減少させる効果を期待するニュースがいくつもあがっている。

 過去にネットカフェやオンラインゲームが実名制になる際に反対意見が多数出たように、微博の実名制もまた反対の声が多数上がっている。一方で微博をPRツールとして利用すべく、フォロワーを金で買う人が多くいるのもまた実態としてあり、このゾンビアカウントをある程度抑える効果はあるだろう。

 中国政府は微博対策として微博実名化とは別に、「政務微博」と呼ばれる政府や公安関係者がネットでの窓口として公式アカウントを作成し、どの「デマ」よりも早くプレスリリースを公開しようとする動きがある。この政務微博のうち最有力の微博サービスである「新浪微博」の政府・共産党・公安アカウントの実態をまとめた「2011年政務微博報告」が発表された。

 これによると1万弱の政府系アカウントと8000強の公務員によるアカウントがあり、うち43%が公安系アカウント、14%が政府系アカウント、10%が観光局系アカウントと続いた。このレポートでは人気となっている政務微博をいくつか例として取り上げ、さらに近年中国で発刊されている「ネット世論白書」同様に、大きな事件が発生した際、微博を中心としたネット世論に如何に公式アカウントで対処し沈静化したかといった事例がいくつも挙げられている。中国語が読めて興味があればボリュームはあるが一読してみることをお勧めする(プレスリリース:http://news.sina.com.cn/z/zwwbdh/index.shtml http://magazine.sina.com.cn/weibo/zwwbbg20111211.pdf)。

省別政府関連マイクロブログアカウント数 中国政府は民とマイクロブログでも対話しようとする


金正日元総書記の死去で中国各ポータルサイトは素早い反応

 17日、金正日元総書記が亡くなるという速報が入ると、「新浪」「QQ」「捜狐」「網易」など中国の著名ポータルサイトは特集ページを作成、また各微博では一時期金正日の単語が含まれるつぶやきが検索できなくなった(が、数時間のうちに元に戻り検索可能となった)。

 急ぎ作られた特集ページは拡充され、各ポータルサイトの特集では、ニュースの画像や動画、政治体制、街頭の様子や、北朝鮮関係の過去記事がまとめられている。北朝鮮の様子を日本とは異なる情報ソースで見たいならお勧めだ。百度(中国)などの検索サイトから金正日を検索キーに検索してみよう。

金正日の死去を伝えるポータルサイトの特集ページ


B2Cオンラインショッピングサイト、試行錯誤の2011年年末

 2011年に盛り上がったサイトジャンルのひとつに、B2Cオンラインショッピングサイトが挙げられる。中国のオンラインショッピングサイト市場は、出店者の審査無きC2C(個人対個人)オンラインショッピングサイト「淘宝網(Taobao)」が人気だが、トラブルが多いためにテレビやパソコンなどの高額商品はリスクが高いと見るユーザーが多く、取引が少なかった。

 そんな中で台頭してきたのが審査された企業のみが出店できるB2Cオンラインショッピングサイトだ。2011年はB2Cオンラインショッピングサイトの普及が進んだ一年となった。B2Cサイトが台頭する中で、複数サイトの商品価格を串刺し比較する「一淘網」というサイトも2011年に台頭。調査会社のiResearchからは2011年に最も伸びたサイトと評された。

 成長著しいB2C市場の中でも、特に元気なのが淘宝網のB2C版「淘宝商城(Tmall)」、デジタル製品に強い「京東商城(360buy)」、Amazon中国を越す人気で書籍に強い「当当網(dangdang)」。アパレルの「凡客誠品(Vancl)」の4サイトだ。12月は淘宝商城以外の3サイトの話題が出たので紹介したい。

 まずは上場を目指す「凡客誠品」。今年の同社の売上げは芳しくなく、売上げ100億元を目標としていたが、半分にも満たない35億元に止まり、年6億元の赤字を出していると報道された。その後あるブロガーが、凡客誠品は業務を拡張しすぎたこともあり大量に不良在庫が発生していると指摘した。アパレルショッピングサイト最大手の凡客誠品は大丈夫なのか、という声が上がりながら年を越した。

 今最もリアルショップの勢いがなくなっているのはデジタル製品と書籍だ。デジタル製品に強いサイト「京東商城」は、その勢いで凡客誠品を買収するという話題も上がった。とはいえ京東商城の全てが順風満帆ではなく、苦労している側面もある。同社はデジタル製品とは無縁のバッグや宝石などのブランド専門店「360Top」をオープン。著名サイトによるブランド専門店は初で話題性はあるが、ブランド品を販売する許可を得ることが難しいなど難航しているようだ。ある経済誌は、「いずれブランド品バブルは崩壊する」と警告している。

 オンライン書店最大手の当当網は21日、コンテンツストアをオープン。電子ブックには最も力を入れていた電子ブックリーダーメーカーの「漢王」の業績が悪化した先の出来事となった。動画も音楽も小説も「コンテンツは無料」が染みついた中国の消費者が当当網でコンテンツを買うのだろうか。

各種ブランド品を販売する「360Top」 当当網のデジタルコンテンツのコーナー


位置情報サービス、早くも3分の1が消える業界再編の動き

 近年Foursquareの影響を受けた位置情報サービス(LBS)が続々と登場した。最も多いときには50もの位置情報サービスが乱立していたが、2001年末の時点では早くも15サイトにまで絞られていた。主なサービスとしては、「LBS+SNS」「LBS+オンラインショッピング」「LBS+ゲーム」の組み合わせが生きているが、利用地域が限定されているうえに、1+1=2以上の面白さとなるようなサービスがなく、サイトだけが乱立した状態となっていた。

 位置情報サービスの利用者は9月末の段階で利用者は1830万人。

2011年第3四半期LBSサイトシェア(出典:易観国際) 人気LBSサイトのひとつ「切客」


百度、検索ランキングを発表。蒼井そら氏が最も検索された日本人に

蒼井そら氏が最も検索された美女に選ばれる

 検索最大手の百度が2011年の検索ランキングを発表した(http://hot.baidu.com/)。 

 これによると2011年に最もホットだった検索ワードは、1位よりロケットの「天宮一号」、以下「スティーブ・ジョブズ」、「カダフィ」、「地震」、「食品安全」、所得税に関連のワード「個税起征点」、「不動産価格」、「建党九十周年」、「オサマ・ビン・ラディン」、「欧州債券」と続いた。

 同サイトでは「10大ネット小説」「10大”なぜ”」「10大映画」などジャンル別で表示。「十大社会焦点」の1位に「日本地震」、「十大急上昇ワード」と「10大百科ワード」の1位に「スティーブ・ジョブズ」、「十大美女」の1位に「蒼井そら」が選ばれた。


BBS利用者が中国でも高齢化。微博を兼用する割合も上昇

 中国のリサーチ会社「iResearch」は中国のBBSの利用者・管理人・サイトオーナーについての調査結果をまとめた「中国社区論壇用戸和站長研究報告」を発表した。

 報告によれば、BBSユーザーは前年よりも全般的に平均年齢が高くなり、インターネットユーザーの平均年齢が低い中国においては年齢の高さが目立つ。日本の2ちゃんねるユーザーも高齢化が言われているが、中国においてもBBS利用者の高齢化がおきている。

 BBS利用者のインターネット利用用途は「微博(70.0%)」「検索(69.3%)」「BBS(64.9%)」「ポータルサイト(64.8%)」「オンラインショッピングサイト(62.9%)」が比較的に高く、以下「音楽・動画サイト(49.9%)」「SNS(28.9%)」と続き、「ゲームサイト(14.6%)」利用は低いという結果に。BBS利用者の微博利用率は去年より6.5ポイント上昇。またBBSの利用目的は「討論(75.3%)」「資料閲覧(72.5%)」「ファイルのダウンロード(42.3%)」「人脈作り(35.0%)」「時間つぶし(31.5%)」「日常のストレスからの解放(19.3%)」と続いた。

 掲示板に表示される広告には13.5%が「よくクリックする」、41.4%が「ときどきクリックする」、32.8%が「稀にクリックする(32.8%)」、12.3%が「クリックしない」と回答。またオンラインショッピングは81.4%が「経験済」で、11.7%が「ないが将来やってみたい」、6.9%が「ないし、将来もやりたくない」と回答している。


関連情報

2012/1/13 14:44


山谷 剛史
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。著書に「新しい中国人」。