第303回:日本語版を見越した数々の修正で使いやすく進化
Windows Home Server向けアップデート「Power Pack 1」登場
7月20日、米MicrosoftからWindows Home Server向けのアップデートプログラム「Power Pack 1」が公開された。国内では英語版のDSP版のみが提供されているが、今後登場するであろう日本語版を見越した機能強化になっている。その機能を検証した。
●機能強化を目的としたPower Pack 1登場
英語版かつDSP版のみということで、国内ではまだ普及が進まない状況のWindows Home Server(詳細についてはこちらを参照)だが、NASの普及、ソニーの「Livlog Station HS1」のような個性的な製品の登場もあり、日本語版の登場なども含め、今後の動向が非常に注目されている。
そんな状況を考慮してなのかどうかは定かでないが、つい先日となる7月20日、米Microsoftのダウンロードサイトにおいて、Windows Home Server向けのアップデートプログラム「Power Pack 1」の提供が開始された。
Microsoftが提供する会員制の評価、フィードバックサービスであるMicrosoft Connectなどを通じて、一部のユーザーには評価されていたものだが、ようやく一般向けに公開されることになったわけだ。
このPower Pack 1、OSのメジャーアップデートである「Service Pack」という名称ではなく、わざわざ「Power Pack」という名称が使われており、単なるバグフィックスではなくかなりの機能強化がなされているのが特徴だ。これまでのHome Serverにはなかった新機能もいくつか搭載されている。
そろそろではないかと予想されている日本語版の登場を控え、ここで使いやすさを考慮した大幅なパワーアップを実施したといったところだろう。
●バグフィックス中心もいくつかの新機能を搭載
では、実際にPower Pack 1の詳細について見ていこう。
まずはインストールだが、今回は前述したサイトからダウンロードしたファイルを実行してインストールした。ドキュメントによるとWindows Updateでの提供も予定されているようなので、タイミングによっては自動ダウンロードによる適用もできるだろう。
インストールに関して特に条件はないが、プレリリース版のPower Pack 1がインストールされている場合は事前にアンインストールしておく必要がある。プログラムの追加と削除でアップデートファイルの表示を有効にして、「Windows Home Server Power Pack 1 (KB944289) 」が存在する場合は削除しておこう。
Power Pack 1のインストール画面。特に設定は必要なく、実行すれば自動的にインストールされる。インストール後、プログラムの追加と削除を確認すると、KB944289がインストールされていることが確認できる。 |
続いて、強化された機能について見ていこう。今回のPower Pack 1では、特定条件でサーバーにアップロードしたファイルが破損してしまうという不具合や、クライアント向けのプログラムをタスクバーで隠すとCPU使用率が高くなるといった不具合の修正が含まれているほか(修正自体は以前から提供されていた)、大きく以下の点が機能強化されている。
- Connector Software(クライアント用)
- 64bit版Windows Vistaのサポート
- Connector Softwareのアップデート機能
- バックアップ時のクライアントWake Up選択
- タスクトレイでアイコンを隠した際の不具合の修正
- Home Server Backup
- サーバー共有フォルダのバックアップ機能のサポート
- Remote Access
- リモートデスクトップと共有フォルダアクセスの選択
- リモートアクセス設定時のルーターステータスの確認
- リモートアクセス時のビューの追加(アイコン表示)
- ドラッグアンドドロップによる複数ファイルアップロード
- 複数ファイルダウンロード時のZIP、もしくは自己展開EXE圧縮
- Home Computer Bakcup
- バックアップデータベースの修復機能追加
- VistaやMedia Centerの表示名の改善(以前はLonghornなどと表示されていた)
- リストアCDからの起動時の最新ファイルのダウンロード
- リストアCDのデュアルブートサポート(メモリ使用量を512以下か以上か選択)
- Server Storage
- リードオンリーファイルのデュプリケート不可問題の修正
- 240文字を超えるファイル名のサポート
- ストレージのバランシングの問題の修正
- パフォーマンスの改善
- システム領域を20GB固定から可変に(自動設定)
※一部を抜粋。すべての情報についてはリリースノート「WHS_ReleaseDocs_PP1.doc」を参照
中でも注目すべきは、サーバーのバックアップ機能が搭載された点とリモートアクセス機能の強化だろう。この2つの機能強化によって、これまで以上に実用性が高くなっている。
●サーバーの共有フォルダを自動バックアップ
それでは、具体的な新機能について見ていこう。まずは、サーバーのバックアップ機能だ。
従来のWindows Home Serverでは、サーバーに搭載した複数台のHDDを利用したデータのデュプリケーションによって、データの安全性が確保されてきた。たとえば、PCにUSBなどで外付けHDDをストレージとして追加した後、共有フォルダでデュプリケーションの設定を行うと、そのフォルダに保存したデータが自動的に複数台のHDDに複製され、万が一のトラブルの際などでもデータを保護きた。
しかしながら、このデュプリケーションは構成や解除、さらに実際の故障からの復旧時の再構成に時間がかかるだけでなく、3台以上のハードディスクになると、元データがどのディスクに複製されたかが容易に判断できないなど、いざというときの実用性に難があった。
そこで、よりシンプルな方法で安全性を確保するために今回追加されたのが、追加ハードディスクに対してのバックアップ機能だ。
Home Serverに内蔵、外付けを問わず、新しいストレージを追加しようとすると、従来のように通常のストレージとして追加するか、それともバックアップ用に使うかという選択肢が表示されるようになる。
ここでバックアップ用を選択すると、従来クライアント向けの機能であったバックアップタブにサーバーPC自身が表示されるようになる。ここで、サーバー上の共有フォルダの中から、バックアップしたいフォルダを選択すれば、外付けHDDへのバックアップが可能となるわけだ。
バックアップされたファイルを確認してみると、日付名のフォルダに指定した共有フォルダのファイルが格納されているようで、エクスプローラーを利用してアクセスすることで通常のファイルと同様にアクセスできた。
もちろん、他のOSからの参照可能なため、USB接続のハードディスクなどを利用しておけば、万が一、サーバーが稼働しなくなった場合でも、別のPCにつなぐことで手軽にデータを復元できる。
●使い勝手が向上したリモートアクセス
今回のPower Pack 1でのもう1つの特徴と言えるのがリモートアクセス環境の改善だろう。
まず、リモートアクセスの機能を使いわけることが可能となった。従来のWindows Home Serverでは、ユーザーにリモートアクセスの許可を与えると、PCへのリモートデスクトップと共有フォルダへのアクセスの両方が自動的に許可されていた。
これに対して、Power Pack1では、ユーザーごとにどちらかもしくは両方を許可するかを選択できるようになった。小規模なオフィスなどで利用する場合、管理者以外にリモートデスクトップを使わせたくないというケースもあると思われるが、このようなニーズに対応できるようになったわけだ。
また、ルータの自動設定機能も改善されており、外出先からのアクセスを許可するための設定をUPnPを利用して自動設定する際に、その状況が詳細に表示されるようになった。これにより、設定に失敗するような場合に、どこに問題があるのかが判断しやすくなった。
ユーザーごとにリモートアクセスの機能を選択可能になった | ルータの設定に失敗する場合にどこに問題があるのかが表示されるようになった |
一方、使い勝手の面では実際に外出先から自宅のHome Serverにアクセスした際のインターフェイスが改善されている。具体的には、従来のリスト形式のビューに加えて、フォルダをアイコン形式で表示することができるビューが追加され、ファイルを確認しやすくなった。
さらに、ファイルのアップロード、ダウンロードも手軽になった。複数のファイルをドラッグアンドドロップでアップロードするためのアドインが追加され、PCからファイルをドラッグするだけで手軽にアップロードできるだけでなく、ダウンロード時も複数ファイルを指定するとサーバー側でZIP、もしくは自己展開形式のexeに圧縮してダウンロードすることができるようになった。
モバイル時など、回線速度があまり速くない環境で圧縮を自動的に利用できるのは非常にありがたいところだ。
ファイルの表示形式が変更されたほか、アップロード時のドラッグアンドドロップ、ダウンロード時の自動圧縮など使い勝手が向上している |
●実用性の向上を一般向けとしての弾みに
このほか、クライアントのコネクタソフトウェアにおいて、バックアップ時のWake Upを有効にするかどうかを選択できるようになったり、Connector CDやRestore CDを利用したインストールやリストア時に、サーバーから最新のファイルを自動的にダウンロードして実行できるようになるなど、細かな改善もなされている。クライアントバックアップ時のパフォーマンス向上なども図られており、まさにWindows Home Serverをパワーアップすることができるアップデートと言える。
現状は、まだまだマニア向けの存在と言えるWindows Home Serverだが、今回の機能アップに加えて、日本語化、さらに海外製品のようにハードウェアに組み込まれた状態で出荷されるようになれば、価格的にどうなるかはわからないが、機能的には完全に既存のNASを脅かす存在となり得るだろう。このあたりはマイクロソフト、およびメーカーの思い切った戦略を期待したいところだ。
関連情報
2008/7/29 11:04
-ページの先頭へ-