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iPadやゲーム機の接続に〜小型無線LANアダプタ4製品をチェック


 アクセスポイントとしても利用できる小型の無線LANアダプタが人気だ。2000円前後とリーズナブルな価格ながら、iPadやゲーム機などを簡単に接続できる手軽さが評価されている。店頭でよくみかける主要な4製品の使用感をチェックしてみた。

とりあえず無線LANでつなぎたいという人に

 個人的な意見を先に言わせてもらえば、iPhone/iPadにしろ、ゲーム機にしろ、家電にしろ、無線LANで機器をネットワークに接続したいのであれば、やはり無線LANルーターを購入することをおすすめしたい。

 中には敷居が高いと感じる人もいるかもしれないが、安定感が高いうえ、高いパフォーマンスが期待でき、さらに最近ではUSB HDDの共有など多機能な製品も増えてきている。価格的にもかなり入手しやすくなってきており、5000円ほども出せば150Mbps対応のIEEE802.11n/b/g対応製品を購入することができる。IEEE802.11nの規格も落ち着き、今後、スマートフォンや家電などで、無線LANが標準的に使えるようになることを考えれば、無線LANルーターへの投資というのは決してムダにならないだろう。

 しかしながら、対戦するときだけゲーム機をつなげたいとか、試しにiPhoneやiPadを無線LANにつないでみたいなど、利用頻度があまり高くない場合、価格や設置、設定の手間などを考慮して、なかなか無線LANルーターにまでは手を出せないという人も少なくない。そんなときに便利なのが、今回紹介するアクセスポイントモード搭載のUSB無線LANアダプタだ。

アクセスポイントモードを搭載したUSB接続の無線LANアダプタ。iPhoneやiPad、ゲーム機などを手軽かつ、低価格で接続することができる

 無線LANアダプタというと、これまでは親機であるアクセスポイントの子機として利用するための製品であったが、最近の製品にはアクセスポイントモードが搭載されており、iPhone/iPadやゲーム機などを接続し、有線LANなどの別のインターフェイスを利用してインターネットに接続することが可能となっている。

 同様の使い方は、Intel製無線LANモジュールで利用可能なMyWiFi、「Connectify(窓の杜の紹介記事はこちらhttp://www.forest.impress.co.jp/docs/news/20100629_377457.html)」などを利用することでも可能だが、これらは高機能なものの対応する無線LANモジュールやドライバのバージョンが限られるうえ、セットアップも若干難しい。

 市販のアクセスポイントモード付きUSB無線LANアダプタは、インターネット接続共有を使うなどしくみとしては単純だが、あらかじめアクセスポイントモードでの利用が想定されているため、セットアップが短時間かつ手軽にできるのがメリットだ。

 最近では、iPhone用、ゲーム機用など、接続する機器ごとにパッケージも個別に用意されるなど、わかりやすさを工夫している製品も多い。そういった点を考慮しながら、主要な製品をチェックしていこう。

店頭でよくみかける4製品を用意

 今回用意したのは、家電量販店の店頭やオンラインショップなどで目にすることが多い以下の4製品だ。

今回用意した4製品。後列左:ロジテック「LAN-W150N/U2IPH」、後列右:プラネックス「GW-USValue-EZ」、前列左:コレガ「CG-WLUSB300NM」、前列右:プラネックス「GW-USNano-M」
【製品概要】
製品名 CG-
WLUSB300NM
LAN-W150N/
U2IPH
GW-
USNano-M
GW-
USValue-EZ
メーカー コレガ ロジテック プラネックス プラネックス
対応規格 802.11n/b/g 802.11n/b/g 802.11n/b/g 802.11n/b/g
最大速度 300Mbps 150Mbps 150Mbps 150Mbps
ボタン設定 ×
標準価格 3360円 1900円 1470円 1890円

 なお、より小型の無線LANモジュールが市場に投入された影響か、バッファロー(WLI-UC-GNM)やロジテック(LAN-GMW)からも小型の無線LANアダプタの発売が相次いでいるが、残念ながら、これらの製品は今回の記事には出荷が間に合わなかったため、評価できなかったことをあらかじめお断りしておく。

 まずは、サイズから見ていこう。今回用意した製品の中でも、ひときわその小ささが際立つのは、プラネックスの「GW-USValue-EZ」だ。本体サイズは高さ約7.1×幅14.9×奥行き18.5mmと、まさに極小サイズとなっている。

4製品のサイズを比較。左からコレガ「CG-WLUSB300NM」、ロジテック「LAN-W150N/U2IPH」、プラネックス「GW-USNano-M」、プラネックス「GW-USValue-EZ」 側面からの写真。厚さに関してはUSBの制約からか、さほど違いはない

 一方、もっとも大きいのはコレガの「CG-WLUSB300NM」だが、これは今回の製品の中で唯一300Mbpsの通信に対応している製品となる。MIMOによる通信のために2ストリーム分の送受信モジュールが必要となるうえ、アンテナもある程度離れた位置に配置せざるを得ないため、小型化に限界があるのは致し方ないところだろう。

 実際にPCに装着した際の印象は以下のようになる。PCに装着したまま使うのであれば、やはり小型の「GW-USValue-EZ」はやはり有利だ。本体からほとんどはみ出さないため、装着したままでもまったく邪魔にならない。取り外すときに指でつまむことができるギリギリのサイズでもあるので、これ以上の小型化は無理ではないかというほどまで小さくなっている。

ThinkPad X200に装着した様子。コレガ「CG-WLUSB300NM」 ロジテック「LAN-W150N/U2IPH」
プラネックス「GW-USNano-M」 プラネックス「GW-USValue-EZ」

 個人的には、GW-USNano-M程度のサイズで十分に小さいと思えるが、とにかくサイズ重視という人には、GW-USValue-EZがおすすめだ。

 なお、コレガのCG-WLUSB300NMには、フレキシブルケーブルが同梱されており、設置場所や受信感度などを考慮した装着が可能になっている。デスクトップPCなどに接続する場合、あまりにも小さいと、背面に埋もれて無線LANの受信状態が悪くなることも考えられる。このような場合は、フレキシブルケーブルとある程度の大きさがあるCG-WLUSB300NMが逆に有利だろう。

今回の製品の中では唯一フレキシブルケーブルが同梱されていた、コレガの「CG-WLUSB300NM」

使いやすさと機能を検証する

 続いて、使いやすさについて見ていこう。まずは、付属のマニュアルだが、これはコレガの製品がよくできている。

付属品とマニュアル。コレガ「CG-WLUSB300NM」 ロジテック「LAN-W150N/U2IPH」
プラネックス「GW-USNano-M」 プラネックス「GW-USValue-EZ」

 本体の装着、ゲーム機の接続に関するポスタータイプのマニュアルが2点付属しているのだが、カラー印刷となっているうえ、手順の説明も丁寧で非常にわかりやすい。

 しかも、感心したのは、無線LANの暗号化設定方法が初期セットアップの手順の中できちんと紹介されている点だ。

 手軽さを特徴とした無線LAN製品の場合、設定の手間がかかるうえ、トラブルや問い合わせの増加につながる暗号化設定について触れなかったり、あえて暗号化なしで接続する方法を紹介する製品などもあるが、本製品ではゲーム機を考慮してWEPとなっているものの、きちんとその設定方法が紹介されている。

 手軽さだけでなく、きちんとユーザーの安全性も考慮したマニュアル作りがなされているのは、メーカーの姿勢として高く評価したいところだ。

丁寧に解説されたマニュアル。少々見づらいが右下に暗号化設定の方法もきちんと紹介されている もともと子機としての用途が主となっているため、アクセスポイントモードで使うには手動切り替えが必要

 一方、プラネックスの製品(GW-USNano-M、GW-USValue-EZ両方)も使いやすさという意味ではかなり好印象だ。付属のマニュアルに関してはごく一般的だが、ユーティリティの完成度が非常に高い。

 付属のCDを利用してドライバーやユーティリティがほぼ自動的にインストールされるのは、他の製品とほぼ変わらないのだが、初回起動時に無線LANアダプタの用途を選択する画面が表示される。

用途を選択するとそのモードで自動的にユーティリティが切り替わる。下2つがアクセスポイントモード

 「パソコンをインターネットに接続する」、「ゲームをする」、「携帯電話を接続する」と、後ろ2つの文言は若干わかりにくい印象もあるが、ここで「パソコンをインターネットに接続する」を選べば既存の無線LANルーターに接続するための「ステーションモード」となり、後ろ2つを選べば他の機器を接続するための「アクセスポイントモード」となる。

 無線LANをすでに利用したことがあるユーザーであれば、手動でモードを切り替えることに抵抗はないかもしれないが、はじめて無線LANを利用するユーザーにとって、どういうときにどちらのモードを選べば良いのかは判断できない。このナビゲーションを用途から選べるようになっているのは、すばらしい工夫と言えるだろう。

 また、安全性への配慮もきちんとできている。アクセスポイントモードとして動作する用途を選択すると、自動的に「122333444」というキーを利用したWEPによる暗号化が設定される。プラネックス製品共通となるため、そのまま使うのは問題があるが、それでも暗号化なしでは使えないようになっているのは高く評価したい。

 このほか、ヘルプも充実しており、たとえば64bit版Windows 7で利用する場合、ドライバーがうまくインストールされないことがあるのだが、この対処もエラーメッセージが表示された画面から、直接対処方法が記載されたヘルプを表示できるなど、かなり細かな気配りがなされている。

アクセスポイントモードに設定するとウィザードで自動的にWEPによる暗号化が設定される オンラインヘルプのトラブルシューティングも充実。実際に困るケースなども画面を見ながら簡単に対処できる

 一方、機能面で特徴的なのはロジテックの製品だ。自動チャンネル選択機能がないのが惜しいところだが、第三者がSSIDを検索しても表示されないとうにするステルス機能、無線クライアント間の通信遮断などが搭載されている。

 移動中や出張先のホテルなど、第三者にも無線LANの電波が届く範囲で利用したり、数人の友人などで本製品をアクセスポイントとして共有する場合などは、これらの機能が使えるのは大きな魅力だ。

 64bit版OSに未対応だったり、設定がほぼ手動で若干わかりにくいので、万人向けとは言えないが、これらの機能が使いたい場合はロジテックの製品を選ぶメリットがあるだろう。

SSIDのステルスや無線クライアント間通信の遮断機能などを搭載
【メーカー別機能比較表】
ユーティリティ機能比較 コレガ ロジテック プラネックス
暗号化設定 手動 手動 自動
MACアドレスフィルタ ×
自動チャネル設定 × ×
SSIDステルス ×
無線クライアント間通信遮断 × ×
ログ記録 × ×

使いやすさとサイズが決め手

 パフォーマンスに関しては、300Mbps対応のコレガ「CG-WLUSB300NM」が有利かと思われたが、実際に計測してみると各製品でそれほど差はなく、ほとんど20Mbps〜30Mbps程度であった。また、iPadからも速度を計測してみたが、こちらも20Mbps前後となった。

Core i7-860/RAM4GB/HDD1TB/Windows 7 Ultimate 64bit版搭載PCにプラネックス「GW-USValue-EZ」を装着しアクセスポイントとして設定。ThinkPad X200から速度を計測した結果。他のアダプタも誤差はあるもののほぼ同様の結果となった 同じ環境でiPadから計測。海外サイトを利用するSpeedTestX HDでは4Mbps止まりだが、国内サーバーを利用するサイトであれば20Mbps前後で通信できた

 そもそも、iPhoneやiPad、ゲーム機など、絶対的な速度が要求される端末を接続するわけではないため、速度よりも、前述した使いやすさを基準に製品を選んだ方が良いだろう。

 そう考えると、今回、評価した製品を総合的に考えると、プラネックスの「GW-USValue-EZ」を個人的には良い選択ではないかと考える。使いやすいユーティリティが同梱されながら、抜群の小ささが実現されているのはやはり魅力だ。価格も実売で1000円前後となるため、すでに無線LANを利用しているユーザーでも1つ持っておいて損はない製品と言える。発売当初はiPhoneからの接続が不安定になる不具合があったようだが、現状、ベータ版のソフトウェアが提供されており、この問題も改善されているようだ。

 ただし、冒頭でも紹介したように、ほぼ同じサイズの製品が、今後、バッファローとロジテックからも登場する。実際に製品を購入する際は、これらの製品とも比較してみると良いだろう。


関連情報

2010/7/6 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ