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第400回:デジカメのデータをTransferJetでNASに直送
アイ・オー・データ機器「USB2-TJC」


 アイ・オー・データ機器からTransferJet対応クレイドル「USB2-TJC」が発売された。USB接続のクレイドルだが、PCだけでなく、NASに接続してデータを転送できるのが特長だ。実際に製品をテストしてみた。

ソニー製よりちょっと大きめ

 デジタルカメラの画像をもっと手軽に保存したい。そう考えている人にオススメなのが、今回取り上げるアイ・オー・データ機器のTransferJet対応USBクレイドル「USB2-TJC」だ。

 PC向に装着することで、デジタルカメラなどのTransferJet対応機器からデータを受信することができる機器だが、PCだけでなくNASと組み合わせることで、デジタルカメラの画像をNASに直接保存することができるようになっている。

アイ・オー・データ機器のTransferJet対応クレイドル「USB2-TJC」。NASと組み合わせることでデジタルカメラの写真を直接NASへと転送できる

 通常、デジタルカメラのデータを保存するときは、いったんPCに取り込んでからNASに転送することが多いが、本製品を利用すればPCレスで、しかもワイヤレスで直接NASに画像を保存できるというわけだ。

 では、実際に製品を見ていこう。外観は平らな台といった印象だが、サイズが幅120×奥行き126×高さ14.8mmとなっており、ほぼ正方形なうえ、厚みもそれなりにあるため、どことなくUSB接続のCD/DVDドライブのような印象を受ける。

 同様のTransferJet対応機器は、ソニーからも発売されているが、ソニー製のTJS-1に比べてもサイズが大きくなっている。現状、デジタルカメラを置くという用途なら小さい方が便利だが、将来的にビデオカメラやストレージなど、いろいろな機器を乗せる可能性があることを考えると、アイ・オー・データ機器の製品の大きさが実用上のメリットにつながる可能性もありそうだ。

形はほぼ正方形の平たいプレートといった印象 正面にLEDを搭載。厚さがそれなりにあるためDVDドライブのようにも見える
右がソニーのTransferJetステーション「TJS-1」。サイズがかなり違う

 なお、TransferJetは、4.48GHzの電波を利用して最大560Mbpsの通信が可能な近距離通信技術となっており、現状はソニーのサイバーショットシリーズの一部機種(DSC-HX5V、DSC-TX7、DSC-TX9、DSC-WX5、DSC-T99など)に、同社製のTransferJet対応メモリースティック(MS-JX8G)を装着することで利用可能となっている。

 ソニー製のデジタルカメラでは最新機種を中心に対応が進んでいるが、NEXシリーズなど対応していない製品もあるので、利用したいときは事前に対応を確認する必要があるだろう。

つなぐだけで自動的にコピー

 それでは実際にNASで利用してみよう。現状、対応機種として公表されているのはHDL2-S、HDLP-Sとなっており、今回は2TBモデルのHDL2-S2.0を利用してテストしてみた。

 使い方は非常に簡単だ。というよりも、何もしなくてもすぐに利用できる。PCで利用する場合も、基本的にはUSB2-TJCをつなげば自動的にドライバーがインストールされ、すぐにTransferJet対応カメラから写真を取り込むことができるが、HDL2-S2.0の場合も基本的にUSB2-TJCをつなぐだけでいい。

今回のテストに利用したアイ・オー・データ機器製のNAS「HDL2-S2.0」 USB2-TJCをUSBポートに接続することで自動的にデジタルカメラの写真を取り込める

 HDL2-S2.0では、背面のUSBポートが標準で「デジカメコピー」モードに設定されており、USB接続された機器のデータを自動機に「disk」フォルダーにコピーする設定になっている。

 このため、TransferJetを利用する場合も、USB接続したUSB2-TJCの上に、対応カメラ(今回はDSC-HX5V+MS-JX8G利用)を置き、本体の再生モードボタンを押すだけでいい。これで、カメラがTransferJetの転送モードに自動的に切り替わり、これを検知したHDL2-S2.0が自動的に画像の転送を開始する。

USBポートの設定が標準で「デジカメコピー」になっており、機器のデータが自動的に「disk」フォルダーに保存される

 もちろん、NAS上の写真を確認して更新されたデータのみが転送されるうえ、転送が完了するとHDL2-S2.0のビープ音が2回ほど鳴り、転送が完了したことも通知される。また、今回利用したDSC-HX5Vの場合、AVCHDによるハイビジョン動画の撮影にも対応しているが、これも一緒に取り込まれる。

 クレイドルに置いて、再生ボタンを押すだけ、これですべての画像と動画が自動的にNASに保存されるのだから、非常に手軽だ。

【動画(Flash、クリックで再生)】転送の様子

ソニー製もOKもnet.USBとは排他

 このように、USB2-TJCとHDL2-S2.0を組み合わせることで、デジタルカメラのデータを手軽に取り込むことができるのだが、実は、同様の使い方は別の組み合わせでも可能だ。

 まず、HDL2-S2.0に、ソニー製のTransferJetステーション「TJS-1」を接続してみたが、何の問題もなく利用できた。そもそもTransferJetの受信機はマスストレージクラスのUSB機器として認識されるため、NASから見れば、どちらも同じ機器として扱えるわけだ。

 また、USB2-TJCを別のメーカーのNASに接続してみたが、これも利用可能だった。試しに、QNAPのTS-459Pro、Acer Aspire easyStore H340に接続してみたところ、同様にTransferJetを利用してデジタルカメラのデータをNASに取り込むことができた。

QNAPのNASの設定画面。USBワンタッチコピー機能を利用することで、同様に写真を取り込める AcerのWindows Home Server搭載機Aspire easyStore H340でも利用可能

 ただし、これらの機種の場合、データの取り込みは、本体のボタンなどがトリガーとなっているため、カメラの設置後、NAS本体のボタンを押す必要がある。このあたりを考慮すると、自動的にデータを取り込めるHDL2-S2.0の方が便利だろう。

 なお、HDL2-S2.0には、USB機器をネットワーク経由でPCで利用できるデバイスサーバー機能「net.USB」が搭載されているが、この機能は、前述した「デジカメコピー」と排他となっている。

 このため、net.USBを利用している場合は、いったん設定画面で「デジカメコピー」へと動作モードを切り替えてからでないと、TransferJetでのコピーができない。このあたりは、将来的にうまく共存できるようになるか、本体のスイッチなどで切り替えられるようになってくれるとありがたいところだ。

 また、USB2-TJCの製品ページでは、net.USB機能には対応していない旨の記載があったが、実際に試してみたところnet.USBでの利用も可能だった。HDL2-S2.0をnet.USBモードにしてからUSB2-TJCを接続し、ネットワーク上のPCでnet.USBクライアントを起動したところ、HDL2-S2.0畳のUSB2-TJCを認識し、PCからカメラのメモリを参照することができた。

 ただし、最終的にNASにデータを保存するなら、直接、NASに取り込んだ方が便利だ。製品情報ページに未対応と記述がある以上、何らかの問題もありそうなので、現状、HDL2-S2.0でUSB2-TJCを使う場合は、net.USB機能はあきらめざるを得ないだろう。

デジカメコピーとnet.USB機能は排他となる。net.USBを利用する場合、TransferJetからの直接コピーは使えない 正式には対応していないようだが、net.USBでもUSB2-TJCを認識可能。ただし、PCに転送するならUSB2-TJCを直結した方が効率的

Eye-Fiと迷う

 以上、デジタルカメラのデータをワイヤレスで、直接NASに保存できるアイ・オー・データ機器の「USB2-TJC」を実際に試してみたが、このように機器からワイヤレスで、直接NASにアクセスできるようなソリューションというのは、今後、増えてくれると面白そうだ。

 NASというとどうしてもPCが中心に存在しがちだが、PCレスでの使い方ができるようになれば、さらに用途が広がる可能性が高い。

 ただし、デジタルカメラの画像という点では、前回取り上げたEye-Fiを使う方法もある。最新のEye-Fiでは、FTP転送がサポートされたため、NASのFTPサーバー機能を利用して、撮影した写真をその場でNASへと転送することもできるので、これを使うのも手だ。

 正直、Eye-Fiとどちらが良いかと言われると難しいところだが、写真や動画をまとめて、しかも短時間で転送したいとなると、TransferJetの方が楽な印象がある。オンラインサービスを含め、いろいろ楽しみたいならEye-Fi、とにかくNASへの転送を手軽にということであれば、USB2-TJ+HDL2-S2.0という組み合わせを選ぶのが良さそうだ。


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2010/7/27 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ