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第440回:家族で安心して使えるタブレット アップル「iPad 2」


 ようやく国内での発売が開始されたアップルの「iPad 2」。Android 3.0タブレットというライバルが存在する中、どのような存在感を示す製品となっているのか、我が家での使い方を中心にレビューをお届けしよう。

筆者はAndroid 3.0、娘はiPad 2、一方妻はノートPCを手放さない

 正直なところ、筆者はタブレットならAndroid 3.0でも、iPad 2でもどちらでもかまわないと思っている。アプリの切替がスムーズで、Gmailとカレンダーが使いやすく、さらにFlashのサイトが表示できる分、今のところはAndroid 3.0を使う機会が多いが、リビングにいるときにWebとメール、スケジュールをチェックする程度なので、実際には、どちらを使っても大差がない。

 一方、10歳になる我が家の娘が主に使っているのはiPad 2だ。妻の端末を間借りするノートPCと違って、iPad 2は「自由に使って良いよ」とリビングにポンと置いてあるという理由もあるが、宿題の簡単な調べ物や好きなミュージカルのプロモーションビデオの再生などに、もっぱらiPad 2を使っている。

リビング端末として子供の利用に適しているiPad2

 これとは対照的なのが妻だ。彼女のノートPCには液晶に小さなヒビが入っているというのに、これをいつまでも手放さない。iPad 2もリビングに置いてあるうえ、玉突きで余った初代iPadを「専用で使っても良いよ」と渡しても、やっぱりシックリこなかったのか、iPadは放置され、古いノートPCを使い続けている。

 メールとゲームにauのAndroid端末IS05を使っているということもあり、彼女がPCで主に使うのはウェブブラウザーとExcelで、しかも、地図やら案内やら、プリンターをフル稼働させる印刷魔なので、どうもその用途ではiPad、およびiPad 2に違和感を感じたようだ。

 と、ここでふと気づいた。我が家の場合、iPad 2ではなく、初代iPadのままでも、よかったんではないだろうか? と。

 確かに、iPad 2のハードウェアは完成度が高い。薄くなったおかげで、軽く、微妙に持ちやすくなったし、ブラウザやアプリの動作はデュアルコアのCPUの恩恵で実に快適だ。筆者が購入したのは64GBのWi-Fiモデルだが、フロントとリアのカメラも「FaceTime」など、今までできなかったことができるようになったメリットは大きい。「2」と名付けらるだけの進化はきちんとしている。

正面 背面
旧iPad(左)との比較 かなり薄くなり、持ちやすくなった
カメラを搭載し、写真の撮影やFaceTimeなどが使えるようになった

 しかし、我が家ではこのメリットが活かされない。おそらく、現状、iPadを毎日持ち歩き、情報ツールや仕事の道具として使っているのであれば、今までの不満が解消されているiPad 2に買い換える価値は十二分にある。しかし、そうでなければ、できることに大差がない現状は、iPadを使い続けるのも選択肢としては悪くはないだろう。

 特に我が家のように、リビングの共有端末として使うのであれば、iPadでも、iPad 2でも、大きな違いはないということになる。

 

リビング端末に求められるものとは?

 では、リビングで使う限り、iPadでも、iPad 2でも変わらないのなら、Android 3.0でも良いのではないか? とも思えるのだが、これは、これでまた微妙に違う。

 リビングで使う端末と言っても、おそらく大きく2種類の端末がある。1つはパーソナルな端末、もう1つは家族で使う共有端末だ。

 前者の場合なら、Android 3.0でもかまわない。いやむしろFlashが見られるだけ、こちらの方が良いかもしれない。しかし、家族で共有するなら、だんぜんiPad 2が良い(現時点なら旧iPadでもいい)。なぜなら、アプリの質が格段に高いからだ。

 タブレット端末用に開発されたAndroid 3.0の場合、現状では対応するアプリが少ないということもあるが、そもそもAndroidはマーケットに存在するアプリが混沌とし過ぎている。玉石混合であることは、程度の差こそあれ、App Storeも同じであるが、マーケットの場合、定番と言われているアプリ以外、ハズレを引くこともしばしばだ。

 それだけなら、まだ良い。マーケットを検索する場合、用語によっては、高確率でグラビア的なアプリがヒットしてくる。特に「バスケ」や「卓球」などのキーワードは、グラビアアイドルの趣味欄にヒットするようで、ゲームを探したいのに、高確率で子供向けとは言えないアプリがリストアップされる。

 細かな情報まで検索できると言えば、その通りなのだが、これを子供に渡して「自由に使っていいよ」と言うのは躊躇される。

 もちろん、AppStoreが完全だとは言わないが、おすすめのアプリから表示されるなどアプリが整理されていることもあって、子供が使って困るようなシーンは極めて少ない。加えて、教育用アプリが充実している。たとえば、AppStoreから「子供向け学習用App」のカテゴリを表示すると、音声を録音して再生できる絵本やゲームライクな知育アプリが多数表示される。

子供向けアプリが充実しているApp Store。検索で子供向けではないアプリがヒットすることもまずない

 我が家でも昨年、学校で星座の授業を受けたときに購入した「星座表」を今も娘が使っているし、インターネットを使った学校の調べ物に「Wikipanion」を使っている姿をよく見かける。

 もちろん、Androidマーケットにも教育用のアプリは存在する。数で言えば、むしろAppStoreより多いうえ、無料のアプリもたくさんある。しかしながら、英語のものが多いうえ、ダウンロードして実際に使ってみないと、子供に使わせて良いものか判断できない場合が多く、それだけで手間がかかってしまうので非効率的だ。

 いろいろな用途があるので一概には言えないが、少なくとも子供のいる家庭のリビングに設置する端末という観点で考えると、これだけでもiPad 2を選ぶ理由になる。

 

アプリがフィルタリングの役割を果たす

 ちなみに、良質のアプリを選ぶということは、アプリからたどり着ける情報を選別するということと同じだ。

 情報の選別(フィルタリング)というと、現状はネットワーク側でのアプローチが主流だが、特定の情報にしかアクセスできないアプリを利用することで、不適切な情報から利用者(主に子供)を保護することができる。

 iPad 2のような「やりたいこと」=「アプリ」となっているタブレットを使う場合、回線側でのフィルタリングよりも、むしろ前述したWikipanionのように、アクセスできる情報が限定されたアプリのみを使わせることの方が安心なうえ、ブラウザでの検索のように膨大な情報の中から必要なものを選別する必要ないという意味でも効率的だ。

 情報の選別も教育の1つだと考えるなら、利用するウェブブラウザーアプリを選ぶことでフィルタリングするという選択肢もある。たとえば、「Yahoo!あんしんねっとHD」をインストールし、SafariはiPad 2の機能制限によってオフにしてしまうという手がある。ウェブブラウザーのレベルでフィルリングが設定されるため、Wi-Fiでインターネットに接続している場合でもフィルタリングが適用される。これを利用すれば、子供にiPad 2を渡しても安心だろう。

iPad 2では機能制限によって使わせたくないアプリを表示しないようにできる 「Yahoo!あんしんねっとHD」を利用すればWebの情報もフィルタリングできる

 このように、アプリでインターネット上の情報をフィルタリングするという手法は、今後、コンテンツを持つ事業者が、もう少し、真剣に考えるようにした方が良さそうだ。実現度は低そうだが、将来的には、ぜひ「Twitterきっず」や「Facebookきっず」のようなアプリも使える時代になって欲しいところだ。

 ちなみに、Android端末も、回線や端末でのフィルタリング設定が可能だが、これらの機能は基本的に3Gでの通信時に適用されるものとなる。このあたりは、無線LANやタブレットでの利用を想定して、もう少し、機能の拡充を図った方がよさそうに思える。事業者まかせではなく、端末としてどう取り組むか、マーケットなどのサービスとしてどう取り組むかという姿勢を見せて欲しいところだ。

 

リビングに1台あってもいいiPad 2

 以上、iPad 2固有のレビューからだいぶ離れてしまったが、冒頭でも触れたように、リビングで使う端末として、iPad 2の完成度は非常に高いということがわかる。まだタブレットを体験したことがない人は、この機会にiPad 2に手を出してみる価値はあるだろう。特に子供がいる家庭では、安心して使えるリビング端末としておすすめだ。

 ただ、使ってみると、複数のユーザーが共有する端末として、少し物足りないところもある。たとえば、メールやカレンダーなどの機能がそうだ。誰もが使える端末として置いておくなら、ここに個人的なメールアドレスなどを登録しておくのは気が引ける。

 メールやカレンダーは使わないというのも手だが、個人ごとに個別のアプリでメールを使えるようにしたり、カレンダーももっと手軽に家族のカレンダーを共有できるようにしてほしいところだ(特にGoogleカレンダー)。

 こういったパーソナルなだけでない世界観を、ぜひiPadシリーズには見せて欲しいところだ。


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2011/5/17 08:29


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ