清水理史の「イニシャルB」

USB3.0? それならNASという選択肢も
100MB/s越えの高速NASバッファロー「LS410D0201」

 バッファローからLinkStationシリーズの新モデル「LS410D」シリーズが発売された。同社のラインナップの中で超高速モデルとして位置づけられる製品だが、シングルドライブで実売25000円前後と購入しやすい価格帯のNASだ。その実力を検証してみた。

ローカルのデータ保存先としてのNAS〜USB3.0接続HDDかNASか

 Ultrabookなど、ストレージにSSDを採用したPCが増えてきたこともあり、データの保存先をどうしようか? と悩んでいる人も少なくないことだろう。

 もちろん、今ならクラウドのオンラインストレージサービスを利用するのが一般的と言えるかもしれないが、ビデオのようなサイズの大きなデータや外部に保存することは避けたいパーソナルなデータまで、預けるのは躊躇してしまう場合がある。

バッファローのLS410D0201。シングルドライブのNASながら、100MB/s越えのパフォーマンスを実現する高速モデル

 そこで、利用を検討したいのがNASだ。PC向けのストレージとしては、USB接続の外付けHDDが一般的で、USB3.0に対応するなど高速化も図られているが、複数のユーザーでの利用や、今後、普及が見込まれるタブレットなどでの利用を考えると、いつまでもUSB接続というわけにもいかない。

 その一方で、今回取り上げるバッファローの「LS410D」シリーズのように、2万5000円前後というリーズナブルなシングルドライブのNASながら、高い転送速度を実現した製品が登場してきた。

 メディア共有や外出先からのリモートアクセスなど、機能的にも充実したNASも増えてきているので、これまでUSB接続HDDを使ってきたような一般的な家庭でも、そろそろローカルのストレージとしてNASの導入を検討してもいい時期と言えそうだ。

転送速度を向上

 では、実際の製品を見ていこう。今回、取り上げたバッファローの「LS410D0201」は、2TBの容量を持つシングルドライブのNASだ。同社のNASとしては、スタンダードのLS-YLシリーズ、高速モデルのLS-VLシリーズなどがすでにラインナップしているが、今回のLS410Dシリーズは、これらのさらに上となるプレミアムシリーズとして位置づけられているモデルとなる。

正面
側面
背面

 同様に、プレミアムシリーズとして位置づけられたモデルには、「LS410DX」と末尾に「X」が付加されたモデルもあるが、これは地上デジタル放送などの映像を外出先からも視聴可能な「DTCP+」に対応したモデルとなる。DTCP+は、対応アプリも入手可能になりつつあり、徐々に知名度が上がってきているが、まだ誰もが気軽に使える機能とまでは言えない。一般的な利用であれば、DTCP+に対応しない今回の「LS410D」でも十分だろう。

 LS410Dシリーズの最大の特徴は、高速なCPUを搭載したことによる処理性能の向上だ。公称値で最大100MB/sの転送速度を誇っており、シングルドライブのエントリー層向け製品としては高速なアクセスを可能としている。

 また、同社のDraft11ac対応無線LANルーターで採用されているのと同様の新しいデザインの設定画面が採用されているのだが、高速なCPUのおかげで、このレスポンスも良好で、ストレスなく利用することが可能となった。

 実際、Core i5/メモリ16GB/SSD(Samsung 840)を搭載したPCから、CrystalDiskMark 3.0.2fを実行した値は以下の通りだ。

標準設定でのCrystalDsikMark3.0.2fの結果

 シーケンシャルリードで60MB/s弱、ライトで70MB/s、ランダムでもライトを中心に高い値を計測できている。海外製のNASのエントリーモデルなどと比べても十分に高い結果だが、RAIDなしのシングルドライブの製品で、これはこれで十分な値と言っていいだろう。

 ただし、値としては公称の100MB/sに遠く及ばない。これは設定の問題だ。LS410Dシリーズには、Windows Vista以降のOSでファイル共有のパフォーマンスを向上させることができる「SMB2」に対応しているが、このプロトコルは標準では無効になっている。

 そこで、SMB2を有効にした状態で、もう一度、同じテストを実行してみたのが、以下の画面だ。クライアントOSとして、Windows 8.1 preview版を使用しているが、シーケンシャルリードで100MB/sを見事に超えている。

SMB2を有効化した状態でのCrystalDiskMark3.0.2fの結果。リードで100MB/s越えを実現できている
SMB2を有効にするとVista以降のOSで転送速度が高速化される。100MB/s越えは、これを有効にすると実現可能

 ただし、シーケンシャルリードが高くなった分、ライトの値が若干低くなってしまっている。このあたりは、どのようなクライアントを利用するか、リードとライトのどちらのパフォーマンスを重視するかによって設定を切替えるといいだろう。

 なお、消費電力は、アイドル時で9W前後、ベンチマーク中で12W前後と低いうえ、動作音も非常に静かだ。電源投入直後から十数秒ほどは、背面のファンの音が聞こえるものの、その後はほぼ無音と言って良いレベルにまで静かになる。設置場所によっては、HDDが回転する際の振動が若干気になる可能性があるが、底面に何かマットなどを敷けば解消できるレベルだ。家庭用のNASとして見てもなかなか完成度は高いと言って良いだろう。

ユーザーインターフェイスを刷新

 使いやすさも申し分ない。セットアップは、付属のCDを利用して、ネットワーク上のNASを発見し、ウィザードで管理者パスワードの変更と共有フォルダの作成(標準の「Share」のみでOKならスキップ可能)を実行するだけと簡単にできるように工夫されている。

付属のユーティリティやウィザード形式のセットアップで初期設定も簡単にできる

 おそらく、現状、外付けHDDを利用しているユーザーがNASに切替える場合に、障害となるのはセットアップだと思われるが、さすがにネットワーク製品を長く扱ってきたメーカーだけあって、このあたりの心配もない。とにかく簡単に使い始めることができる。

 詳細な設定に関しても、刷新されたユーザーインターフェイスのおかげでわかりやすくなった。大きな文字とアイコンを多用した新ユーザーインターフェイスは、同社のDraft11ac対応無線LANルーターなどでも採用されている新世代のもので、よく使う機能に簡単にアクセスできるようになっている。

 もちろん、詳細設定を選択すれば、共有フォルダやユーザー、グループ、各種サービスのオン/オフなどの設定も可能となっている。こちらも大きな文字で、わかりやすい画面構成となっているうえ、標準ではオフになっているヘルプ表示をオンにすると、各項目の説明が表示されるなど、使いやすさの工夫がなされている。シンプルな画面でも、ヘルプを表示したわかりやすい画面でも使えるというのは、なかなか良いアイデアだ。

 外出先からNASへのアクセスを可能にするWebAccessなどの使い方は、はじめての場合は若干迷うかもしれないが、設定画面に設けられたユーティリティのダウンロードリンクからユーザーマニュアルをダウンロードすることもできるので、高度な機能については、マニュアルを参照しながら設定するといいだろう。

デザインが一新された設定画面。シンプルでわかりやすい
詳細設定画面も文字が大きくわかりやすい。各機能の説明は、ヘルプをオンにした場合のみ表示される。はじめて使うときはオンにし、慣れたらオフにするといいだろう

使い切れないほど豊富な機能

 機能的には、前述した通り、DTCP+こそ省かれているものの、DTCP-IPに対応したメディアサーバー機能を搭載しており、著作権保護コンテンツの再生やネットワークダビング(ムーブイン/ムーブアウト両方)に対応している。

 また、先にも少し触れたWebAccessによる外出先からの利用にも対応しており、PCからブラウザを利用してNAS上の外出先からファイルを参照することはもちろんのこと、スマートフォンやタブレットからもNASを利用することができる。外出先だけでなく、自宅内でもタブレットなどでファイルを参照できるため、写真や音楽、動画などのデータをタブレットやスマートフォンから活用することが可能だ。

WebAccessを有効にすると外出先から自宅のNASにアクセス可能
AndroidやiOS向けのアプリもあるたまめ、タブレットのストレージとしても重宝する

 このほか、本体背面に搭載されたUSBポートを利用し、データのバックアップやプリンターの共有に利用できるほか、デバイスサーバーとして活用することもできる。デバイスサーバーとプリントサーバー機能は排他となるため、用途によって使い分ける必要はあるものの、地デジチューナーなどをネットワーク経由で利用できるのは便利だ。

 PCのデータ同期にも対応しており、PC用のユーティリティであるNAS Navigator 2上で、フォルダリンク(ローカルのフォルダをNAS上のフォルダにリンク)したり、同期(指定したフォルダを同期)させることができる。NASをクラウドストレージ的に利用できるもメリットと言えるだろう。

 さらには、スマートフォンからもダウンロードジョブを設定できるBitTorrent機能、USB HDDや他のNASにLS410D自体のデータをバックアップできるバックアップ機能、iTunesサーバー機能、TimeMachine対応など、とにかく機能が豊富だ。

デバイスサーバー機能を利用すると、ネットワーク経由でUSBデバイスを利用可能。画面はiPhoneを接続したところ
付属のユーティリティを利用するとPCのローカルフォルダをNAS上の共有フォルダにリンクしたり、同期させることもできる

中上級者にもおすすめ

 以上、バッファローの「LS410D0201」を実際に利用してみたが、100MB/sを超えるパフォーマンスを実現しながら、多機能で、しかも使いやすいと、非常に完成度の高いNASに仕上がっている。これなら、NASをはじめて使うという場合でも安心して使えるうえ、中上級者でも、その機能やパフォーマンスに満足できるだろう。

 今後、おそらくデータはクラウドに保存することが一般的な状況になることは間違いない。しかしながら、クラウドに移行できない、もしくはあえてローカルに残しておきたいデータは、まだまだ残るはずだ。そう考えると、今回のLS410Dシリーズのような手軽なNASが家庭に一台あると、何かと重宝するはずだ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ