第147回:ブロードバンド回線の利用で携帯電話のパケット代が0円に!!
NTTソルマーレが提供する「パケットゼロ」とは



 NTTソルマーレから、携帯電話のインフラとしてブロードバンド回線を利用するという面白いサービスが開始された。Bフレッツなどの回線を利用することで、パケット通信料をかけずに携帯電話からiモードコンテンツを楽しめるというものだ。一体、どのような仕組みのサービスで、どのようなメリットがあるのかを見てみよう。





Bフレッツ/フレッツ・ADSLを携帯電話のインフラとして活用

 「パケット通信料が無料」。このようなキャッチコピーから、NTTソルマーレの「パケットゼロ」に興味を持っていたユーザーは多いかもしれない。携帯電話のパケット通信料は定額制の登場などもあり、以前に比べればリーズナブルになりつつあるが、それでも月々の請求金額はなるべく押さえたいと誰もが考えるところだ。そのパケット通信料が無料になるというのだから、「本当か?」と少し疑いたくなるほどだ。


NTTソルマーレのパケットゼロ用端末「パケットゼロステーション」。ブロードバンド回線を携帯電話のインフラとして利用するサービスだ

 はじめに断っておくと、この無料というのは、もちろん携帯電話の請求書からパケット通信料の請求が一切なくなるという意味ではない。パケットゼロを利用したとしても、普通にメールを送受信したり、外出先でiモードのコンテンツを利用すれば、その料金が課金される。

 では、何が無料になるのだろうか? パケットゼロでパケット通信料が無料になるのは、パケットゼロ端末を経由して通信を行なった場合だ。具体的には、以下の利用イメージ図を見るとわかりやすい。パケットゼロは、パケットゼロ端末(パケットゼロステーション)、パケットゼロ専用ブラウザ(パケットゼロブラウザ)などで構成されるサービスで、家庭内のブロードバンド回線(Bフレッツ/フレッツ・ADSL)にパケットゼロステーションを接続し、赤外線で携帯電話とパケットゼロステーションの間を接続することで、インターネットに接続できる。


Bフレッツ/フレッツ・ADSLを通信インフラとして利用し、専用ブラウザを利用してインターネットに接続する

 要するに、携帯電話から電波でインターネットにアクセスするのではなく、パケット通信料がかからないブロードバンド回線を利用するという仕組みだ。このため、家庭内で、しかもパケットゼロステーション経由でアクセスするという条件下でのみ、パケット通信料が無料になる。

 なお、パケットゼロは、現状、Bフレッツ/フレッツ・ADSLでのみ利用可能なサービスとなっており(地域IP網経由で接続するため)、利用可能な携帯電話もNTTドコモの505i/506i/FOMA900i/FOMA901iシリーズに限られている。さらに、地域IP網経由で接続する関係から、ルータ側でマルチセッションの利用が必須(フレッツ・スクウェアに接続しておく)となっている。どの携帯電話でも、どの回線でも利用できるわけではない点には注意が必要だ。





アクセス先はインターネットに限られる

 このように、パケット通信料が無料になると言っても、一定の条件下で利用した場合の話となるわけだが、さらにもう1つ重要な条件がある。アクセス先はインターネット上のサイトに限られるという点だ。

 前述したように、パケットゼロは、Bフレッツなどのブロードバンド回線を利用し、地域IP網経由で、インターネットに接続するサービスだ。このため、インターネット上に存在する一般向けのiモードサイトにアクセスすることは問題なくできるが、別のネットワーク上に存在するサイトにはアクセスできない。たとえばiモードのiMenuなどの公式サイトなどがそうだ。

 また、パケットゼロステーション経由でのアクセスには、必ず専用アプリ(パケットゼロブラウザ)を利用する必要がある。このため、通常のメールの送受信や公式サイトの閲覧、iアプリによる通信などは、従来通り携帯電話の回線を使用する。このような使い方もパケットゼロの対象外だ。

 長々と制限事項を書いてきたが、最終的にどういう用途に使えばいいのかというと、家からiモード公式サイト以外のインターネット上のiモードサイトの閲覧、掲示板などを利用するときに使うとメリットがある。こういった使い方を日常的にしている人は、パケットゼロの導入を検討する価値はあるだろう。





意外に短い赤外線の通信距離

 実際に使ってみたところ、使い方自体は非常に簡単だった。すでにBフレッツなどのブロードバンド環境で利用しているルータにフレッツ・スクウェアに接続する設定ができている場合、パケットゼロステーション側の設定は一切不要で、単にLANに有線で接続するだけでいい(パケットゼロステーション側にPPPoEセッションを設定することも可能)。

 ここまでの準備ができたら、通常の方法(電波)で携帯電話でパケットゼロのサイトに接続し、専用ブラウザである「パケットゼロブラウザ」をダウンロードする。次にパケットゼロブラウザを起動し、携帯電話をパケットゼロステーションにかざしながら通信すれば、NTTソルマーレが提供しているポータルサイトに接続できる。ポータルに用意されているメニューからさまざまなコンテンツを楽しむこともできるし、URLを指定して、インターネット上のiモード向けサイトにアクセスすることも可能だ。


パケットゼロブラウザを起動し、接続を開始すると赤外線での通信が行なわれサイトに接続できる。NTTソルマーレのトップページからさまざまなコンテンツが提供される

 赤外線通信が必要になるたびに通信中の画面が表示されるのがやや煩わしいが、コンテンツが表示されるまでの待ち時間なども携帯電話の回線での通信とさほど変わらない感じで、ストレスなく利用できる。試しに、インターネット上の掲示板にアクセスしてみたが、確かにこういった使い方が無料でできるのであればニーズがあるのではないかと実感できた。また、NTTソルマーレのサイトでは映像などのコンテンツも提供されているが、容量の大きなコンテンツも気兼ねなくダウンロードできる。


インターネット上の掲示板を利用したり、映像などをダウンロードすることも料金を気にせずできる。速度的もさほど気にならない

 ただ、個人的に気になったのは、赤外線通信の範囲が狭い点だ。マニュアルにも記載されているのだが、パケットゼロステーションの赤外線ポートから距離で30cm以内、角度で15度以内に携帯電話を設置しないと、正常に通信できない。離れた場所にパケットゼロステーションを設置して、テレビのリモコンのように操作することは到底無理で、まさにパケットゼロステーションに携帯電話を「かざす」という感じでないと利用できない。


赤外線通信の範囲は意外に狭いため、携帯電話をなるべく近づけ、角度にも注意しないと通信できない場合が多々ある

 利用する携帯電話によっては、液晶面をパケットゼロステーションの赤外線ポートとほぼ水平にしないと通信できないこともあり、画面を見ながらの操作がしにくく、さらに長時間使うと手が疲れてしまう。できれば、もう少し、距離と角度に余裕が欲しいところだ。

 なお、パケットゼロブラウザによる通信はパケットゼロステーションのみ購入(税込み14,490円)すれば無料で利用できるサービスだが、このほかにパケットゼロメッセンジャーという有料(月額525円)のサービスも用意されている。このパケットゼロメッセンジャーは、いわばメーラーだ。テキストによるメッセージの送信や画像などを添付したメールの送信が、パケットゼロステーション経由で利用できる。


パケットゼロメッセンジャーの利用によって、メールの送受信なども可能。ただし、受信通知は通常のメールで行なわれるため、このパケット料金は課金される(受信側)

 パケットゼロメッセンジャーは上図のように、NTTソルマーレのサーバーを介して、メッセージがやり取りされるようになっている。メールの到着が通常のiモードメールで送られるようになっており、通知を受けてからパケットゼロステーションを利用するといった使い方ができたり、パケットゼロを利用していない場合でもそのままiモードでメールを参照することなどが可能になっている。なかなかよく考えられていると感じた。





第二のポータルとなれるか

 このように、パケットゼロは、環境や使い方が限られるものの、パケット通信料を節約できる個性的なサービスだ。誰にでもメリットがあるとは言えないが、インターネット上のサイトを多く利用するものの、定額制の料金プランに移行するほどではないという場合は、検討する価値は十分にあるだろう。

 ただ、このサービスが最終的に目指しているのは、料金的な部分ではないのだろう。前述したように、パケットゼロ経由での接続の場合、まずNTTソルマーレのサイトに接続され、そこからほかのサイトへと誘導する格好になる。そういう意味では、公式メニューとは別の第二のポータルとして発展していく可能性も期待できる。

 もちろん、メニューからの誘導というモデルが正しいのかという議論もあるし、そうなるためにはそもそもパケットゼロの利用者が増えなければならないが、現状の料金的なメリットがそのきっかけとなる可能性はあるだろう。いずれにせよ、今後の展開が注目されるところだ。


関連情報

2005/5/17 11:03


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。