イベントレポート
第2回ウェアラブルEXPO
グンゼ、導電性素材でウェアラブル肌着や発熱ニット、牛用の「ウシブル」も
(2016/1/15 12:26)
東京ビッグサイト(東京都江東区)で1月13~15日に開催の「第2回ウェアラブルEXPO」で、グンゼ株式会社は、日本電気株式会社(NEC)の技術協力による「衣料型ウェアラブルシステム」のほか、同社が提案するコンセプト製品とサービス「バイタルデータ取得用ウェア」「家畜冷感システム」「発熱ニット」「導電性ニット線材」「静電容量タッチセンサー」を紹介している。いずれもグンゼの導電性素材を用いたもので、展示ブースは多くの来場者の関心を集めていた。
バイタルデータ取得用ウェアは、アパレルの技術を応用したもの。柔軟かつ蒸れにくい素材を採用しており、メディカルストッキング、コンプレッションウェアで培った着圧技術で着圧部分や着圧強度を変えられるという。心拍、心電、体表温などのバイタルデータの計測も可能で、スポーツトレーニングや日常のヘルスケア、研究用途にも向いているとしている。
衣料型ウェアラブルシステムは、姿勢、消費カロリー、心拍などの生体情報を計測可能。取得した各種情報はスマートフォンなどを経由してクラウド上で管理できる。グンゼのニット技術で導電性繊維をインナーに加工し、姿勢センサーや配線として活用。センサーや配線部分も伸縮するため、「伸縮性や通気性に優れ、洗濯可能な日常的に着用できるインナー」としている。
発熱ニットは、生地に電気回路を形成し、外部電源により特定箇所を暖めることができるニット構造物。柄表現の技術を用いて、配線の長さ、太さを変化させ、抵抗値のコントロールができるほか、発熱部の位置を自由に設定可能。発熱ソックスや発熱タイツなどに応用することができる。
導電性ニット線材は、金属細線、金属めっき糸などの導電性繊維を編みこんだ柔軟かつ伸縮性のあるもの。金属めっき糸タイプは柔軟性、通気性に優れ、伸縮による抵抗変化特性の設計が可能。エナメル銅線タイプは金属めっきタイプと比較すると低抵抗で表面絶縁という特徴がある。耐熱性繊維とエナメル線の複合によりはんだ付けも可能だ。
また、導電性ニット線材を使って、乳牛の酷暑ストレス対策用のウェアラブルシステム「ウシブル」が開発された。開発の背景として、従来の送風、日除け、散水・ミストなどの暑さ対策だけでは、牛乳の生産性維持が困難な状況にあるという。グンゼの特殊繊維開発から生まれたオリジナルの繊維「ラディクール」で、高い吸熱、放熱性能と冷感性を持続するほか、生地に含浸された水分を効率よく気化する。導電性ニット線材を複数個所に配置し、計測・判断することで床を濡らさず衛生的かつ効率的な注水による冷却が可能だという。
静電容量タッチセンサーは、3次元形状の樹脂や柔軟性のあるニット基材を用いたもの。曲面にも検知電極形成が可能で、自由度の高いデザインを実現できる。導電繊維の配線形状編み込みによる柔軟性のある導電パターン形成を可能としている。