IPv4枯渇対策の製品に高い関心、大塚商会もIPv6対応サービスをアピール


 「Interop Tokyo 2011」では、IPv4アドレスの枯渇状況を受け、今後のIPv6への移行に向けた製品の展示が数多く行われた。

 NTT東西の「フレッツ 光ネクスト」やKDDIの「auひかり」で一般向けのIPv6接続サービスが開始され、Interop Tokyo 2011初日の6月8日には「World IPv6 Day」が実施されたこともあり、会場でもIPv6関連の展示について来場者が説明員に質問している光景が多く見られた。

 大塚商会のブースでは、IPv6環境の構築運用を行う「Small Office IPv6おまかせパック」など、IPv6への対応を大きくアピール。大塚商会では、中小企業などIT担当者のいない企業向けに、インターネットの接続や設定、セキュリティ、保守などをまとめて請け負う「インターネットおまかせパック」を提供しており、今後はこうしたサービスでもIPv6への対応を進めていくという。

大塚商会のブースSmall Office IPv6おまかせパック

 IPv4とIPv6が混在する環境に対応する製品としては、IPv4とIPv6のプロトコル変換を行う「IPv4/IPv6トランスレーター」が、ディーリンクジャパン(D-Link)の「DFL-1660/IT」や、セイコープレシジョンの「TX-3740」(仮称)など複数展示されていた。

 今後のIPv6への移行にあたっては、まずはIPv6からのアクセスが少しずつ増えてくることが想定される。こうした場合にIPv4/IPv6トランスレーターを導入することで、IPv4のみに対応する既存のウェブサーバーなどもIPv6からのアクセスに対応可能となる。さらにその後もIPv4とIPv6は併用される期間が続くと思われるが、IPv4/IPv6トランスレーターは変換を相互に行うため、IPv6が主流となって一部にIPv4環境が残るといった状況下でも利用できる製品だと各社はアピールしている。

D-Linkの「DFL-1660/IT」セイコープレシジョンの「TX-3740」(仮称)
A10ネットワークスの「AXシリーズ」

 A10ネットワークスでは、ロードバランサーなどの用途で利用されているアプリケーションデリバリープラットフォーム製品の「AXシリーズ」を、通信事業者やISPなどのIPv4枯渇対策として活用するソリューションを展示していた。

 日本でも新規のIPv4アドレスの通常割り当てが終了し、今後通信事業者やISPなどではIPv4アドレスが足りなくなる事態も想定される。こうした場合の対策として、ISP自身がネットワークでNATを利用する「キャリアグレードNAT」や、ユーザー宅内のIPv4プライベートアドレスをIPv6トンネルでISP側に転送し、ISP側のNATでIPv4グローバルアドレスに変換する「Dual-Stack Lite」などの方法が考えられており、こうした用途にAXシリーズが利用できるという。

 ブースでは、キャリアグレードNATとDual-Stack Liteの2つの方式でネットワークに接続している2台のWii間でも、対戦ゲームが実際に行えるというデモを展示している。A10ネットワークスでは、通信事業者やISPなどのサービス提供者は、IPv4サービスを提供しつつ、IPv6への移行を円滑に進める必要があり、IPv4からIPv6の過渡期にはこうした対策が必要になることが考えられると説明。AXシリーズはこのほかにも、IPv4/IPv6相互のサーバーロードバランスなどの機能を同一筐体で提供できるため、事業者ごとの需要に応じて異なるサービスにも柔軟に対応できるとしている。

キャリアグレードNATやDual-Stack Liteによるインターネット接続デモWiiで実際にゲームもできることを紹介している

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(三柳 英樹)

2011/6/10 12:00