地図と位置情報
地図だらけの1日間、いよいよ来週に迫る。7月2日(水)に「ジオ展2025」開催
片岡義明も注目する初出展の企業・団体はココだ!
2025年6月25日 06:00
マップボックス・ジャパン合同会社(Mapbox)、株式会社MIERUNE、アドソル日進株式会社の3社は共同で、地図や位置情報ビジネスに関連する企業や団体が参加するイベント「ジオ展2025」を、7月2日に大手町三井ホール(東京都千代田区大手町1-2-1 Otemachi One 3F)にて開催する。入場は無料で、事前申し込みによる来場登録(Peatix)が必要となる。
出展企業は、株式会社ゼンリンやジオテクノロジーズ株式会社、株式会社マップルのような地図会社から、MapboxやHERE Technologies Japan、株式会社Geoloniaなど地図開発プラットフォームの提供会社、国際航業株式会社などの航空測量会社、ESRIジャパン株式会社や日本スーパーマップ株式会社などのGIS会社、MIERUNEや株式会社ゴーガなど地図・位置情報ソリューションの提供会社まで、幅広い企業が集結する。また、パイオニア株式会社やソフトバンク株式会社などの大手企業も参加する。
企業だけでなく、青山学院大学・古橋研究室や立正大学・デジタルグリーン研究会、名古屋大学・河口研究室、國學院大學地理学研究会など大学関連の展示や、位置情報ビジネスの事業者団体である一般社団法人LBMA Japan、地理空間データの流通支援プラットフォーム「G空間情報センター」を運営する一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)、オープンストリートマップ(OSM)のプロジェクトを支援する一般社団法人OpenStreetMap Foundation Japanなど地理空間情報に関連した組織、さらには国土交通省や国土地理院など行政組織も参加する。
会場内では展示ブースのほかにプレゼンテーションステージも設置され、24の企業・団体によるプレゼンテーションも行われる。プレゼンテーションは1企業・団体につき10分間で、各社の取り組みや製品・サービスの紹介が行われる。
「赤色立体地図」を開発したあの航空測量会社などが初出展
このジオ展には毎年さまざまな企業や団体が新規に出展しており、今年も9つの企業と8つの非営利団体が初参加となる。
まず注目されるのが、登山地図アプリを提供する株式会社ヤマップ。2024年は全国の河川の流域を網羅した「YAMAP 流域地図」を公開したり、歩行距離と保険料が連動する世界初の損害保険「山歩(さんぽ)保険」を提供開始したりと、新たな取り組みを展開している。
1枚の地図で立体的に見える表現技法「赤色立体地図」を開発したアジア航測株式会社もジオ展への初参加となる。同社は釣り人向けの海底地形図サービス「釣りドコ」を展示。航空測量会社の出展は、国際航業と朝日航洋株式会社(7月1日付でエアロトヨタ株式会社に社名変更)とあわせて計3社の出展となる。
三井物産株式会社とKDDI株式会社の合弁会社である株式会社GEOTRAも注目される。同社は独自開発のAIにより生成した人流データ「GEOTRA Activity Data」を提供するとともに、人流データと機械学習技術を組み合わせたまちづくりに関するシミュレーションや予測モデルの構築も行っている。今回のジオ展では、GEOTRA Activity Dataを活用した道路・交通分野や観光・都市政策のソリューションを紹介するほか、都市計画シミュレーションや防災関連のシミュレーションなどを紹介する。
3DCG技術をベースとしたコンテンツやシミュレーション制作などを手がける株式会社キャドセンターも初参加となる。同社はデジタルツインビューアー「REAL 3DMAP Viewer」やUnrealEnigineを使ったAI避難シミュレーター、Apple Vision Proを使用した水害体験VR、直感的な操作で災害シミュレーションや都市計画に活用可能なGISプラットフォームなどを展示する予定だ。
NTTデータグループの民間気象会社である株式会社ハレックスも初参加となる。GIS向け気象データAPI「HalexSmart!」を紹介する。このほか、オムロンソフトウェア株式会社と東芝デジタルソリューションズの2社が共同で出展し、地図と連携可能な音声入力や音声合成のソリューションを紹介する。また、屋久島発のIT系スタートアップであるKotobaMedia株式会社や、3DマップARアプリ「XR CHANNEL」を提供するSoVeC株式会社なども初参加の企業として注目される。
国土地理院が主催する「Geoアクティビティコンテスト」の2024年度で「オープンデータ活用賞」を受賞した土地家屋調査士の白土洋介氏も初参加となる。法務省の登記所備付地図(地図XML)をウェブブラウザー上で見られる「今ここ何番地?」や、12時間で投稿ポイントが消えるクチコミウェブ地図「リミット12」などを紹介する。
国土交通省の地理空間情報課や、ジオラマ制作の「ママテツクラブ」にも注目
非営利団体の枠で注目されるのは、国土交通省政策統括官付地理空間情報課が初めて出展すること。同課は基礎的な地理空間情報を収録したGISデータ「国土数値情報」の整備や、不動産関連の情報を集約したウェブサイト「不動産情報ライブラリ」の運営、データ連携環境の構築などに取り組んでおり、2024年には同課の実験的な取り組みを紹介するとともにデータ連携に関する課題解決アイデアを募集する「地理空間情報課ラボ」を開設した。ジオ展では不動産情報ライブラリの展示を中心に同課の取り組みを紹介する。
また、筆者が個人的な趣味で気になっているのが、ジオラマ制作団体のママテツクラブ。各地の学生や教職員、諸職の現役・シニア、親子、ジオラマ材料専門店店長などが交流しながら新たな発想による制作・展示・発表に取り組んでいるというこの団体、展示ブースでどのような作品が見られるのか楽しみである。
このほかの初出展者としては、BIM(Building Information Modering)モデルや図面作成業務を通じてホテルの改修や歴史遺産、遺跡の三次元化などのプロジェクトに取り組んでいるOGC Japan、革新的な宇宙システムの研究開発に取り組んでいる東京大学ISSL(Intelligent Space Systems Laboratory)などが注目される。
アウトドアや気象・防災、不動産、人流、ジオラマ、宇宙開発など、地理空間情報というテーマを核として多種多様な企業や団体が集まるこのイベント、興味のある人は会場を訪れてみてはいかがだろうか。
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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。