はたしてニフティは元気なのか? 第2の創業期に挑むニフティの現在と未来を三竹社長に聞く


 「いまは第2の創業期。様々な観点で転換期にある」と切り出すのは、ニフティの三竹兼司社長である。1986年に創業した同社は、パソコン通信の黎明期から中心的役割を果たしてきたが、インターネットの普及とともに役割が変化。現在、ISP事業のほかに、クラウド事業、ウェブサービス事業を3つの柱として展開している。ニフティの特徴は、長年に渡る経験を背景に、ネットワークに関するノウハウを有していること、さらにパソコン通信時代からのコアなユーザーを持っていることも見逃せない要素だ。

 そうした財産を生かしながら、ニフティは今後どこに向かおうとしているのだろうか。そのひとつの回答が、「家庭の入口を押さえること」だと三竹社長は語る。三竹社長自身、長年に渡り、富士通でPC事業に携わり、約1年間のニフティでの執行役員経験を経て、2012年6月にニフティの社長に就任。まさに満を持しての登板ともいえる。三竹社長に、今後のニフティの取り組みについて聞いた。(大河原克行)

ルールを変えていく企業文化を醸成

ニフティ株式会社 代表取締役社長 三竹兼司氏

――ニフティを取り巻く環境は大きく変化しています。そうした状況を捉えると、はたして、いま、「ニフティは元気なのか?」という点が気になります。社内の雰囲気、ユーザーの評価、そして業績という観点から、三竹社長はどう捉えていますか。

 ニフティは、「元気なのか」、「元気ではないのか」という質問に対しては、明確に「いま、ニフティは元気です」と答えることができます。若いネット企業のような勢いは感じられないかもしれませんが(笑)、ニフティという企業文化のなかで、若い人たちが中心になって、元気に仕事に取り組んでいる。私が見る限り、社内には閉塞感というものはありません。

 たとえば、今年8月からスタートした「温泉ギフト」に関しても、社員自らが、1日に3つも、4つも温泉に入って検証し、真剣になって温泉の素晴らしさや楽しさを伝えようとしている。会社側も、「温泉ギフト」をやるために約款まで変更しました。

 このように、これまでの会社の「枠」にはまらない取り組みをしていこうという機運が、いまのニフティにはあります。ルールは人が作ったものですから、変えた方がよければ、どんどん変えていく。そして、ルールだからこれ以上はできませんという社員はいらない。様々なことに挑戦していく風土を、ますます醸成したいですね。

 私がニフティに来たときに、「ニフティはなにが強みなのか」、「なにが出来るのか」といったことを社員に聞いたのですが、昔からいる社員であればあるほど、「ニフティは老舗であり、多くのユーザーに知っていただいており、お客様からの信頼がある」ということを感じています。

 ただ、正直なところ、私は、ニフティは、それほど知られている存在ではないと思っているんです。むしろ、「知られていない」というスタンスに立って、お客様にニフティを知っていただく活動をすることが必要だと感じています。

 ニフティのコアユーザーは、約200万人の接続サービスを利用しているユーザーであり、この中には長年ご利用いただいているユーザーも多い。2012年8月20~22日の3日間、東京・お台場にあるニフティ直営のイベントスペースである「カルチャーカルチャー」において、NIFTY-Serve25周年記念大同窓会を開催し、パソコン通信時代からのユーザーの方々にお集まりいただきました。私も25周年のイベントには参加したのですが、当時のニフティフォーラムを通じて、ニフティが“人と人がつながる”という役割を果たしてきたことを改めて強く感じましたね。

 振り返ってみれば、パソコン通信の時代は、ニフティが圧倒的なブランド力を誇り、「パソコン通信=ニフティ」というイメージが明確に形成されていました。しかし、今の時代にはそういった印象がない。もう一度、ニフティとしてここにチャレンジする必要があるのではないかと思っています。ただ、これは単に昔のようにコミュニティを作ればいいというのではなく、ニフティのリソースや世の中の変化を捉えてやっていくものになるでしょうね。

今年8月にスタートした「温泉ギフト」。3000円のギフトカードを全国のイオン店舗で販売するNIFTY-Serve25周年記念大同窓会の特設ページ


今後のISP事業への取り組みは

――業績としては、どうしてもISP事業の減少が目に映ります。それが元気のなさに見えてしまう部分もありますが。

 ニフティには、大きく3つの事業があります。ひとつはインターネット接続(ISP)事業。これは創業以来26年間に渡って、ニフティを支えてきた事業です。2つめは、そこから派生しているクラウド事業。そして、3つめがウェブサービスの事業です。これに事業部という点では、主婦のためのケータイサイトである「シュフモ」を担当するシュフモ事業部があります。

 ニフティは、月額100円、200円の収入の積み重ねによって構成されている会社であり、ストック型のビジネスモデルです。9月に入った途端に、9月度の売上高の8~9割は見えているわけです。ISP事業という観点でみると、固定回線の成長は止まっていますし、これからの成長も見込めない。しかし、無くなるわけではない。これを維持するためにはどうするのかという点に取り組んでいきます。

 その一方で、ISP事業の成長領域として、モバイルブロードバンドがあります。端的な例がLTEですね。いま様々なキャリアから登場するLTEサービスのすべてに対応する方向で準備を進めていますが、ここにどんなビジネスチャンスがあるのか、どんなメリットをユーザーに与えられるのかといったことを考えていきたい。

 また、多くの方々がスマートフォンを利用していますが、セキュリティに対して、あまりにも無関心だという現状があります。スマホの中身はPCと一緒だということが、なんとなくわかっていながらも(笑)、携帯電話から派生してきたものだという意識があるため、どうしてもセキュリティに対する関心が低くなる。ここに我々のビジネスのチャンスがないだろうかということも考えています。


――ISP事業においては、今後、どんなところにニフティの強みを発揮できますか。

 もはや、ネットに接続するだけのビジネスには限界があります。では、どうするか。ひとつの方向性が、「家庭の入口を押さえる」ということです。これは富士通時代から、ずっとPCでやりたいと思っていたのですが、時代が変わり、むしろ、ネットで押さえる方が適切になってきた。これから数年先の世の中は、すべてのものがネットワークにつながることになる。PCやスマホ、デジタル家電だけでなく、白物家電までが接続されることになる。そして、単にネットを通じて、家庭内の様々なデバイスがつながるだけでなく、クラウドなどによって、セキュアな環境で、様々な体験ができる環境が求められるようになる。

 そうしたなかで、ひとつのメーカーに閉じずに提案できる企業のひとつがニフティだといえます。ニフティの立場であれば、メーカーの枠を超えて、スマート家電やスマートシティの世界における提案ができるのではないか、とも考えています。

 ニフティの創業以来の基本姿勢は、人と人、人とモノ、モノとモノをつなげていくことに尽きます。ニフティが介在することで、ユーザーに価値を与えることができる。これがニフティの価値になるはずです。もちろん、ISP事業だけではなく、クラウド事業、ウェブサービス事業などが連携しなければ、これは実現しえない。その具体的な解を社員と一緒に考えていくつもりです。


――これはいつ頃に事業として具体化するものですか。

 すでに仕込みに入りつつあるものもあります。ですから、それほど遠い時期ではないと考えています。HEMSはすでに現実のものとなっており、その上で行われている電力管理などは、クラウドを通じたひとつのサービスとして提供されています。また、それ以外の数多くのアプリケーションも、今後、クラウド上で提供されることになるでしょう。

 そこに、ニフティが長年培ってきたプロバイダーとしてのノウハウと、ニフティクラウドやウェブサービスとの組み合わせによって、新たな価値が提供できないかと考えています。ひとつの事業を独立して推進するのではなく、組み合わせるところに、今後のニフティの強みが発揮できるのではないかと思っています。


社内に向けて社長が「大ボラ」を吹く

――三竹社長は、長年に渡り、富士通でPC事業に携わってきたわけですが、外から見たニフティと、実際に中に入ってみたニフティの印象の違いというのはありましたか。

 実は、私が入ってみて感じたことは、知っている以上に結構いろいろなことをやっているんだな、ということでした。これは、ユーザー自身がニフティを知れば知るほど、同じような印象を持つかもしれません。

 私自身、ニフティとは、ネット接続事業を中心にして、10数年前から仕事上での連携がありましたが、これだけ近いところで仕事をしていても、知らないことが多い。裏を返せば、もっと情報を発信していく余地があるともいえますね。とくに、20代、30代の若い人たちに、もっとニフティを知ってもらいたい。

 新入社員の面接でも、「デイリーポータルZはよく見ています」という声はあるように(笑)、尖がったものは一部ユーザーには知られていても、これがどこまでニフティと紐づいているのか、あるいはそれ以外のニフティのサービスを利用しているのかというと、まだまだだと思います。これはシュフモにもいえます。シュフモはよく見ていただくとわかるのですが、ニフティというブランドはどこにもついていないのです。これがニフティのサービスだと知っているユーザーは少ないと思います。改めてニフティというブランドイメージをもう一度構築しなくてはならない時期にあると感じています。

 それと、これだけ多くのものがあるわけですから、私は、経営トップとして、社内に向けて「大ボラ」を吹こうかなと思っているんですよ(笑)。

 いまニフティが持っているリソースを活用すれば、こんなことができるという「夢」を提示していきたい。ニフティの将来の方向はこうだということを示し、全社員がそれに向かっていく。これこそが、ニフティがもっと元気になる源泉になるのではないかとも思っています。

 ひとつひとつの事業を切り分けて考えると、コストダウンだとか、新たな顧客ターゲットを開拓するといった話になりがちですが、それだけではなくて、それぞれの事業が連携したときになにができるのか。それに向けて、社員はなにをやっていけばいいのかというように、将来に向かって取り組める環境を作りたいですね。

ミクロな視点の面白ニュースでおなじみ「@nifty:デイリーポータルZ」
http://portal.nifty.com/
ケータイ・スマホ向け特売情報サービス「シュフモ」
http://shuf.jp/pc/


リアルとの接点を重視するウェブサービスに

――デジタルコンテンツやコマース、広告などで構成されるウェブサービス事業に対しては、今後、どんな姿勢で取り組んでいきますか。

 これまではウェブ上で完結しているサービスが多かったのですが、これからは、リアルとの接点をもっと重視していきたいと考えています。
 例えば、ウェブサービスで旅行に申し込んだ場合、それだけで終わるのではなく、旅先のちょっとした情報が手に入り、もっと楽しく、あるいは効率的に旅行ができるリアルのサービスと結びつけるということもできるかと思います。温泉ギフトもその取り組みのひとつです。

 そして、シュフモも、単にレシピを紹介するだけでなく、食材を提供する企業と結びつけて、よりリアルでの接点を強化しようとしています。

 また、今年5月には、プロミクロスを買収して、100%子会社としました。プロミクロスは、全国1万か所の動物病院などが利用する約3万点の医療材料を、短期間に、小ロットで提供するサービスを展開しています。関東地区であれば、午前10時までに注文を受ければ、その日のうちに注射針1本でも配達できるインフラを持っています。

 現在、日本では、2000万世帯でペットを飼っていると言われますが、そのうち、年間600万人が動物病院を利用している。動物病院との接点を持つことで、次のステップとして、動物病院を訪れるエンドユーザーにアプローチするのが、この買収の狙いです。ペットに関するコミュニティサイトを作り、医療だけでなく、トリミングや食材などのペットに関する店舗情報などを集約し、地域店舗の創客にも寄与できる仕組みを構築したいと考えています。お客様にとっても、割引を利用できるといったメリットを提供できると思います。ペットに関する展開においては、これからも深堀りをしていこうと考えていますよ。

 これらに共通しているのは、人のリアルでの行動を支援するサービスであり、それによって楽しさを享受してもらうサービスであること。また、お客様の顔が見えるサービスであること、ターゲットを絞り込み、いままでよりも一歩、二歩、深堀りすることで、こんなに便利である、このサービスがなければ困る、といったところまで価値を引き上げていくという点です。

 実は、競馬関連サイト(Keiba@nifty)において、「馬群探知機」というサービスがありました。この予想が極めてよく当たると評判で、これも深堀りしてサービスを提供した結果、高い評価を得ていたものです。ある事情があってこれを終了することになりました。終了する時点での会員数は約1500人と少なかったのですが、少ない理由は、月3000円という高い料金設定が問題ではなく、当たるので人に教えたくないというのが理由だった(笑)。なかには月10万円払うので続けてほしいという声もあったほどです。

 このように、一歩踏み込むことで利用価値を見いだせるサービスをいくつ作れるのかということか重要。そして、それを口コミで人に教えたくなるというサイクルにつなげていきたい。競馬では、特殊事情があり、ちょっとうまくいきませんでしたが。

 ニフティにはそうしたサイトがたくさんあり、生活の上で、かけがえのないパートナーであるということが定着すれば、ウェブサービス事業におけるニフティの価値も高まるといえます。


――プロミクロスのような、ウェブサービス事業におけるM&Aについては、今後どう取り組んでいきますか。

 売上高を拡大するという攻めの経営には取り組んでいきたいと考えています。そして、ウェブサービスを展開する上で、ニフティ1社ではなにもできないというのも事実です。そうしたノウハウを持っている企業を買収したり、ジョイントベンチャーをやるなりといったことが求められる。様々な企業との連携はこれからも模索していきたいですね。

 いま、シニアやキッズに対して、どんなサービスが提供できるかということを考えています。これまで様々な企業がシニア向けサービスを展開してきましたが、あまりうまくいっていないのが現状です。それには、キーボードという、入力面での高いハードルがあったと思っています。

 しかしここにきて、タブレット端末が登場しはじめ、キーボードを使わずに入力ができる環境が整ってきた。これによって、シニアやキッズにとって、デジタルデバイスをも使いやすい環境が出来上がってきました。

 私は、富士通でらくらくパソコンの開発、マーケティングにも携わってきましたが、らくらくパソコンの究極の形はタブレット端末であろうと思っていましたから、まさにその時代がやってきた。ニフティの立場からみれば、ネットに接続して、こうしたタブレット端末から様々なサービスが利用できるようになれば、状況は大きく変わると思っています。また、新たにシニア層にいわれる人たちが、すでにPCを使いこなしていたり、もともとのニフティの古いユーザーだったりというケースも出てきている。もう一度、シニアに対して、どんなことが提供できるかということを考えていきたいですね。

プロミクロスの医療従事者向け通販サイト「PROMICROS VET」
http://vet.promiclos.co.jp/
富士通「らくらくパソコン」製品情報ページ。らくらくホンで中高年層に多くの固定客を持つ富士通はパソコンにもらくらくブランドを展開


2013年度に100億円の売上高を目指すニフティクラウド

―一方で、ニフティクラウドは成長領域として捉えていますね。この手応えをどう捉えていますか。

 1200社の企業に利用をしていただいている実績などを考えると、手応えは決して悪くはありません。ただ、これをどう発展させるのかが難しい(笑)。

 ニフティが提供しているクラウドサービスは、IaaSの部分であり、この世界は設備産業に近く、競合が多い。規模が求められる世界において、GoogleやAmazonのような競合に対して、ニフティが伍して戦えるのかというと、答えはノーでしかない。

 ただ、ニフティクラウドであれば、国産であり、安心して利用できること、太いネットワークがあり、ニフティ独自のコントロールパネルも使い勝手がいい、という評価もいただいている。この点は他社との差別化として今後も強化していきたい。さらに、SaaSやPaaSといったサービスを加えることで、ニフティならではの強みをさらに出していきたい。

 いま、マーケットプレイスを提供するなど、プラットフォームとしてのビジネスにも乗り出しています。まずは、EC事業者向けに提供を開始していますが、ニフティクラウドのプラットフォームを利用してもらえば、サービスを開始するのに必要なパーツがすでに揃っており、組み合わせて提供できる。こうした考え方は、海外展開にも応用していきます。今年5月には産業革新機構とともに、グロザスという会社を作り、海外に進出したいコンテンツホルダーに対する支援を、プラットフォームの提供を含め行っていく体制を作りました。まずはインドネシアやマレーシアを対象にビジネスを行える体制を構築しています。これを切り口に、ニフティも、海外を視野に入れた展開が開始できると思っています。

――ニフティクウラドの事業計画はどうなっていますか。

 2013年度に100億円の売り上げ規模を目指しています。2011年度の実績が22億円、2012年度の計画が41億円。2013年度まで、倍増を続けるという計画です。100億円の目標は、IaaSだけでは達成できませんから、プラットフォームの提供や、120社のパートナーとのコラボレーションなどを行っていきたい。もちろんIaaSでも、いくつかのプロバイダーに対してニフティクラウドをOEMで提供したり、ストレージサービス事業を加速するといったことも考えています。一方で、7月から開始した「ニフティクラウド C4SA」は、個人でも利用可能な複数言語対応のPaaSであり、汎用的なソフトウェアをあらかじめ用意し、開発および運用にも手軽に活用してもらえるようにしています。パーソナルクラウドとして、多くの個人ユーザーに利用してもらいたいと考えています。

ニフティクラウド
http://cloud.nifty.com/
株式会社グロザス
http://www.gloczus.com/


ニフティIDにこだわらないサービス体系も

――三竹社長が、長年、PC事業に携わってきた経験は、今後のニフティの経営にどう生きますか。とくに富士通のユビキタスプロダクト事業グループで展開しているマイクラウドとの棲み分け、あるいは連携が気になりますが。

 富士通のマイクラウドは、コンシューマ向けのサービス基盤を提供するものになります。一方でニフティは、ターゲットを絞り、ネット事業を行う人たちに対してプラットフォームを提供するというスタンスがあります。ウェブサービスの部分では、一部には重なる部分はあるでしょうが、ぶつかるものでなく、むしろ連携する部分が多いといえます。

 しかし、ここにひとつの課題があります。

 これまでのニフティのサービスは、すべてニフティIDによって管理してきたわけです。ニフティIDがあって、初めてニフティのサイトに入ることができて、そこでサービスを利用して、課金するという流れがあった。しかし、この仕組みが、結果としてハードルを高めることになっているのではないかという反省があります。

 いま私が各事業部に言っているのは、「お客様をどう捉えるべきか、ということを考えてほしい」ということです。すべてのサービスにおいて、ニフティIDありきでいいのかということなんです。例えば、ワンショットのサービスであれば、ニフティIDにとらわれなくてもいいのではないかという考え方もできる。占いのサービスを利用したいという場合、すでにニフティIDを持っていて、ルーチンが出来ている人であればいいが、SNSなどを通じてたまたまニフティの占いサービスを知り、興味を持ち、購入しようと思っても、ニフティIDを取得し認証をして初めて購入することができる――それでは使っていただけません。

 場合によっては、他のポータルサイトのIDで入っているユーザーが、そこからニフティのサービスを使ってもらって、使っているIDに課金してもらい、ニフティはそこから徴収すればいいわけです。

 いまのニフティのインフラをみると、こうしたことに柔軟に対応できるものにはなっていません。これからのビジネスを考えると、柔軟な仕組みがないと、ビジネスチャンスを逃すばかりか、他社連携もできない。

 仮に、富士通が、マイクラウドを一緒にやろうといっても、いまのニフティの仕組みでは実際にはできないのです。

 そうしたID連携、課金連携をしていかないと、いくらニフティがいいサービスを提供しても、ユーザーに使ってもらえる幅が限定される。また、ニフティを通じて、他のサービスを利用してもらえず、ニフティユーザーに対して、さらなる利便性が提供できない。

 ニフティIDを持つユーザーには引き続ききっちりとしたサービスを提供していきますが、それ以外のユーザーに対しても使っていただく仕組みを作りたいと考えているんです。


第2の創業期を迎えたニフティ

いまのニフティは「第2の創業期」という三竹社長

――こうしてみると、いま、ニフティは転換期であり、発想を変えなくてはいけないフェーズにあることを感じますね。

 そうですね。いまのニフティを適切に表す言葉は、「第2の創業期」だといえます。これは昨年から社内で使っている言葉なのですが、いままでのISPの事業を軸とした発想を変え、新たな事業軸で物事を考えていかなくてはならない。

 私は、社長就任から3カ月の間に、社員に向けてメッセージを考え、それを10月に発信するつもりです。すべてのものがネットワークでつながったときに、ニフティはなにができるのか、家庭の入口を抑えるにはどうしたらいいのか、そのときにどんな価値が実現できるのかといったことを盛り込んで、その方向性を示す考えです。ニフティは、ネットワークの会社ですから、そこは外しません。しかし、そこには人と人がつながるというネットワークも存在するわけです。そういう意味で、ネットワークをどう実現していけるのかが、ニフティの社員が、いま考えてかなくてはならないことだと考えています。

――2012年度下期、そして、2013年度はどんなことに挑みますか。

 2012年度下期は大きく変わるということはありません。まずはステイクホルダーやお客様にお約束した数字を達成することを目指します。一方で、2013年度の数字もすでに公表していますから、この達成に向けて取り組むなかで、事業分野別の計画などについては、自分の想いといったもりを盛り込みたい。とくにニフティクラウドの100億円は必ず達成しなくてはならない。この実現に向けて、より詳細なプランを積み上げたい。さらに、M&Aなどの投資はまだはっきりとした形で数字になっていませんが、どのぐらいの投資をしていくとか、どんな計画になるのかといった方向感は打ちだしたい。

 INTERNET Watchの読者の方をはじめ、多くの方々に、これからのニフティから、目を離さずに見ていてもらいたいですね。これからきっと「何か」がありますから(笑)。私自身、じっとしているのは好きではありませんから、まずは、「ニフティが変わった」といってもらえるようなものをお見せしたいですね。なにかいろんなことをやっているな、ということを感じてもらえる会社にしていきますよ。



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(大河原 克行)

2012/9/24 06:00