インタビュー

「ライトなラノベコンテスト」特別賞の晴海まどかさんにインタビューしてみた

 ライブドアブログとimpress QuickBooksによる「ライトなラノベコンテスト」の結果が発表されました。受賞作品の発売予定などはimpressQuickBooksのブログで随時発表されるとのことなので、そちらをご参照ください。

 今回は、特別賞を受賞した晴海まどかさんに、受賞の喜びや、創作で大変だった点などについて、話を伺ってみました。

「ライトなラノベコンテスト」で特別賞を受賞した晴海まどかさん

―─ 特別賞、受賞おめでとうございます。いまの率直な気持ちをお聞かせ下さい。

 やっぱり嬉しいです。賞をいただけたってことは、少なくとも選考の段階で複数の審査員の方に評価いただいて、商品として出してもいいっていう判断をいただけたということなので。あとは、名乗ってもいい肩書きをいただけたことも嬉しいです。

── 「ライトなラノベコンテスト」が開始され、翌日にはすぐ第1話を公開されています。すごい早さです。

 実は、数年前に書き上げてあった手持ちの原稿です。コンテスト募集の情報をTwitterで知って、手持ちもあるし参加してみようかなと思って。改稿しながらブログにアップしていきました。何事においても二の足を踏むのは嫌だし、出遅れるのが嫌いです。

── そういえば、群雛創刊号も、1番乗りでしたね。

 そうなんです。挑戦できるものにはできるかぎり挑戦したいし、そのチャンスがあるなら早く参加するに越したことはないと思っています。

── 通常、ライトノベルの読者層は中高生がメインだと言われていますが、今回は「ライトなラノベ」ということで、読者層はどのあたりを想定しましたか?

 想定読者は中学生以上です。むしろ、そういう想定読者の原稿があるので、ララノコンに参加してみようかなと思ったんです。

── 私は、最初に読んだ晴海さんの作品が、短編集「大きな樹の下で」だったので、ホラー系のイメージが強かったんです。ところが、本作「明日が雨でも晴れでも」も、「月刊群雛」創刊号掲載の「君には傘がよく似合う」も、甘酸っぱいラブストーリーですよね。まだ他の作品まで目を通せていないのですが、いろんなジャンルを書かれているのだなと。得意なジャンルってどの辺りですか?

 ヤング・アダルト(以下、YA)です。中高生が活躍する、ミステリーや恋愛もの、部活もの、学園抗争ものなどを中心に書いています。Kindleストアで出している作品も過半数がこれです。ラノベを書いている人だと思われている節もありますが、中高生が主人公なだけで自分的には今どきのラノベを書いたことはほぼないです。

── あ、そうだったんですね。

 最近のYA作品の有名どころだと、あさのあつこさんの「No.6」とか荻原規子さんの「RDG-レッドデータガール」とかありますね。講談社に「YA!ENTERTAINMENT」っていうレーベルがあるんですが、その辺りも好みにどんぴしゃです。一昔前だと森絵都さんの「DIVE!!」「カラフル」とか好きです。

 とはいえ、欲張りなので書きたいものはなんでも書きます。大人が主人公のものも書きますし、純文学っぽいものやホラー・サスペンスも書きます。自分でもジャンルが色々ありすぎてよくわからなくなってきたので、最近作品目録を作りました。

 ただどの作品も、共通して読みやすさだけは強く意識しています。じっくり一口ずつ味わって飲むような濃厚な果汁100%のオレンジジュースもいいと思うんですが、自分は気軽に手に入るファンタオレンジでいいかなと。気軽にさくっと読んでいただいて、「面白かったー」と言ってもらえれば。

── 最優秀賞と特別賞受賞作は Impress QuickBooks から、5月上旬くらいに電子書籍として発売される予定になっています。今回、最終結果発表の段階で、特別審査員と監修が「Gene Mapper」や「オービタル・クラウド」の藤井太洋さんというのが明かされたわけですが、あれは正直びっくりしました。

 自分もメールで教えていただいてかなりびっくりしました。特別審査員の存在自体知らされてませんでしたし。とはいえ、電子書籍出版する賞だしなるほど、という気もしました。藤井さんはやっぱり電子書籍の方というイメージがあります。

── 藤井太洋さんから晴海さんに、いくつか「聞いてみて欲しい」と言われていることがあります。まず、監修のメモをもらって、率直なところどう思われましたか?

 とにかく内容の細かさと量にびっくりしました。監修ってなんだろうと思いつつファイルを開いて、46ページも!? と。大まかな話から、校正レベルの指摘まであったのも意外でした。藤井さんって何者なんだと(笑)。指摘量がかなりあったので、普段から原稿を添削されるのに慣れていてよかったとも思いました。書かれている指摘はどれも納得のいくものだったので、非常に勉強になりました。

── 監修メモ、私も拝見しましたが、かなりたくさんの指摘があるとともに、「いいですね!」と褒めている箇所がいくつもあるのが印象的でした。

 自分も「おぉ」と思いました。やっぱり褒められると嬉しいですよね。同時に、ここが褒められるんだ、という自分の長所みたいなものを教えてもらったような気にもなりました。

監修の藤井大洋さんのメモがびっしり。指摘だけでなく、「いいですね!」と褒めている箇所も。晴海さんは「自分の長所を教えてもらったような気にもなった」という

── 監修メモを見て、どのように直していこうと思いましたか?

 正直なところ、この作品はいわゆる今どきのラノベじゃないと思っていました。ラノベだとしても、1980年代のコバルト文庫とかそういう少女小説のイメージ。やっぱり自分的にはヤング・アダルトなんですよね。会話劇もないし萌えキャラもいないしハーレム展開もないし主人公暗いし。何より、自分でもかなり意識して叙情的に書いてますし。ただ、その叙情的な部分を評価いただいたので、もうその辺は割り切って徹底的に叙情的にしてやろうと思いました。

── 日本独立作家同盟についてお聞かせ下さい。晴海さんは同盟発足3日目からご参加頂いているわけですが、きっかけは何だったんでしょうか?

 発足を知ったのはTwitterです。前述しましたが、基本的によほど怪しげなものでなければ飛びつく傾向にはあります。あとは普段やりとりしているインディーズ作家さんも参加してるし、Twitter上では知っていた鷹野さんが発起人だったこともあり、早々に参加してしまおうと。

── 1月から「月刊群雛」の発行が始まり、晴海さんは作品掲載のみならず、編集としてもご参加いただいてます。一方で、「明日が雨でも晴れでも」の手直しや、新作の執筆なども同時並行で進められていて、客観的に見てかなり大変じゃないかと思うのですが。このバイタリティはどこから湧いてくるのでしょうか?

 一言で言えば「好きだから」。創作活動は単純に好きですし、編集作業は自分の中では修行の場に近いですが、そういう風に鍛練すること自体も嫌いじゃない。何よりその内容にかかわらず「文章を書く」という行為が変態的に好きです。

── Google+のプロフィールにも「ライティング・ホリック」って書いてありますよね。

「ライトなラノベコンテスト」で特別賞を受賞した作品「明日が雨でも晴れでも」(発行:Impress QuickBooks)

 そうなんです。書けない日が3日続くと不安になります。あとは、中学時代から「作家になりたい」と友人たちに公言し続け早18年なので、もうあとには引けないって気持ちもあります(笑)。

 ただ、さすがに3月末は大変でした。実は3月は長編短編合わせて8作ぐらいの推敲作業が並行していて、そこに「明日が雨でも晴れでも」の改稿が割り込んできたので「ヒィ!」ってなりました。

 ちなみに、普段はExcelファイルで作業管理しています。執筆は並行ではやりませんが、推敲はたいてい何作か並行してやっています。1作あたり10回以上読み返すので、1作だけに集中すると飽きちゃって逆にできません。なので、推敲はバイトのシフトを組むようにシステマチックにやってます。


── 日本独立作家同盟の、他の参加者へ向けてエールをお願いします。

 まずはやれることをやれる限りやってみよう、でしょうか。あとは楽しむ。自分がネット上で積極的に活動するようになったのはこの1年、Kindleダイレクト・パブリッシングを始めてからです。それまではずっと1人で書いてました。

 今はSNSとかプラットフォームがたくさんあるってことをKindleダイレクト・パブリッシングを始めてから知って、じゃあやれることは全部やってみようと決めました。あとは楽しむことですね。楽しくないと続かない。

── 最後に、読者の方へ向けて一言お願いします。

 先に断っておきます、ハーレム展開はないし萌えキャラもでてきませんし異世界にも行きません。ですが、中学生特有の自意識過剰な部分とか、そういう時代に憧れるような恋愛とか友情とか、そういうものを丁寧に描いたつもりです。

 今まさに中学生の方から、かつては中学生だった方まで、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。

── 本日はどうもありがとうございました。

【取材を終えて(鷹野 凌)】
 晴海まどかさんの改稿版「明日が雨でも晴れでも」は、impress QuickBooks から5月15日発売予定で、本日から予約開始です。藤井太洋さんによる監修メモによって、どのように改稿されたかが楽しみです。

(鷹野 凌)