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ソースネクスト、言語学習プログラム「ロゼッタストーン」を30万本限定で4980円に、中上級者・子ども向け製品もラインアップに追加

 ソースネクスト株式会社は26日、3月13日付で国内独占販売権を取得した言語学習プログラム「ロゼッタストーン」を30万本限定で4980円で販売する。あわせて中上級者向け新製品の販売や、ロゼッタストーン・ジャパン株式会社を完全子会社化したことを発表した。

 ロゼッタストーン・ジャパンは、米Rosetta Stoneの子会社。ソースネクストでは4月25日に、全株式を50万ドルで取得して完全子会社化した。なお、ソースネクストでは、ロゼッタストーンブランドの国内無期限商標使用権、国内独占販売権、改変権(デジタルダウンロード製品を複製し、変更し又は二次的著作物を作成する権利)を、3月に米Rosetta Stoneより1350万ドル(約15億5200万円)で取得していた。

ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏(左)と米Rosetta Stone社長CEOのJohn Hass氏(右)

 ソースネクストでは、「ロゼッタストーン」が対応する24の各言語版を先着30万本で81%引きの4980円(税別)で販売するキャンペーンを実施する。なお、ソースネクストでは3月に、ロゼッタストーンの国内独占販売権取得を記念して、同様に4980円で販売するキャンペーンをに実施し、好調な販売を記録していた。

 ソースネクストでは、日本国内の語学ビジネスについて、年間8200億円以上としている。同社代表取締役社長の松田憲幸氏は、訪日外国人について「2011年の620万から2015年には2000万人弱、2020年には3700万人に増加すると見込まれる」とし、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、さらに市場が拡大することを見込んでいるとした。

 ロゼッタストーンについて「世界だけでなく日本でも圧倒的なブランド力と実績があり、自社の調査ではほぼ半数の人が認知していた」とのことだ。米Rosetta Stoneとの提携については、「日本市場で、これまでやっていなかった大規模プロモーションによる拡販を進めるとともに、今後はラインアップの大幅拡充も行う。世界市場では、本社の販路を通じた世界展開も行う」とした。

 ソースネクストでは、2016年12月にストックフォトの販売を手掛けるMIXAを子会社化、2017年4月には、年賀状ソフトの開発・販売を手掛ける筆まめを子会社化し、「M&Aを進めている」(松田氏)という。

 ロゼッタストーンは世界3万7000以上の企業・機関で数百万人に利用されている言語学習プログラム。3月からのキャンペーンによる販売では、「英語以外の言語にも多くの需要があることが分かった」と述べた。

 ソースネクストでは20年ほど前からロゼッタストーンの販売を手がけているが、松田氏は、「これまでと一番違うところは『言葉の壁をなくす』をミッションに掲げる点」とし、「日本はまだまだ壁が厳しいが、これを真剣にやっていくのが当社の意気込み」とした。

 続けて松田氏は、言語の未来には2つの見方が存在するとした。「将来の世界では英語が使われるようになるという見方から、外国語習得者が増加するとされる一方で、AIなどの活用により、言語学習が不要になるとの考え方もある」とした。そして「言語の壁をなくすというミッションから考えれば同じことで、このいずれにも対応することが、ソースネクストとロゼッタストーンのアライアンスの大きな狙い」だとした。

 今回、これまで27593円で販売していたロゼッタストーンを、限定とはいえ30万もの本数を4980円で販売することについては、言語学習では31.5%が挫折を経験しており、「お金をかけられない(42.3%)」「時間がない(41.9%)」「実際に言語を使う機会がない(27.6%)」などが障壁になっている点を挙げた。

 現在、企業では、グローバル人材の採用が加速しており、外国語を公用語化する企業も増加。これに伴いTOEIC受験者数は240万人を超えるなど年々増加しているのが現状だが、日本に限れば、TOEICの平均スコアは停滞しており、世界的には48カ国中40位となっている。

 これを受け、TOEICでは700点前後のレベルの初心者向けの言語学習ソフトに位置付けられる従来版に加え、TOEICのスコア別ラインアップや、ビジネス向けの中・上級者向けのラインアップを新たに追加する。

 さらに、2020年学習指導要領改訂を受け、これに沿った内容とするロゼッタストーンの「For Kids」を自社開発。こども一人で楽しめる独自ストーリーの要素も追加されているという。また、ヘッドセット付属パッケージ版もラインアップに加える。

 異なるプラットフォーム間で学習内容や進捗、辞書、フレーズ帳などを同期し、ユーザーの学習を支援する「ロゼッタストーンプラットフォーム」の開発を現在進めているとのことだ。

 一方、AIの進展により翻訳精度が向上し、言語学習の必要性がなくなる未来に対しては、80言語に対応するPC向けソフト「ロゼッタストーン翻訳」と、専用デバイスを用いる自動翻訳機「ロゼッタストーンポケット」の開発を進めており、年内に発売を予定している。松田氏は「2020年までに(ロゼッタストーンの)ラインアップを50以上に拡充する」とした。

 松田氏は「自動翻訳機があれば言語学習は不要ではないかと考える人もいるが、機械に教えてもらえばますます英語への興味が深まり、直接話したいという欲求が出てくることで、ますます外国語学習が増えるのではないかと思っている。最終的には言葉の壁がなくなっていく世界を一日も早く実現したい」と述べ、3年後の2020年までに国内で100億円の売り上げを目指すとした。「相当多くのプロモーションは必要だが、それだけ多くの方に届けて、ミッションに近づきたい」と語った。

 このほか、ソースネクストでAndroid/iOS向けに提供している「スマート留守電」アプリのアップデートについても紹介。従来から音声の留守番電話のメッセージをテキストで受け取れるサービスを、Androidは290円(税別)、iOSは360円(税込)の月額課金で提供しているが、新たに多言語に対応し、例えば英語の音声を英語のテキストで出力可能になる。また、Facebook Messengerでのテキスト受信に対応した。

 スマート留守電について松田氏は「言葉の壁をなくすミッションから元々きている」とし、5月までにLINEでのメッセージ受信に対応、その後、今夏をめどに翻訳機能も実装するとした。