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「Acronis Backup 12.5」発売、クラウド対応した法人向けバックアップ/データ保護ソリューション

 アクロニス・ジャパン株式会社は、クラウドへのバックアップに対応し、ランサムウェア対策やブロックチェーン技術によるファイルの非改ざん証明機能に対応した法人向けデータ保護ソリューション「Acronis Backup 12.5」を発売する。

 Acronis Backup 12.5では、従来分かれていた「Acronis Backup」と「Acronis Backup Advance」の2製品を統合した上で、2つのエディションとして提供する。また、Acronis Backup Advanceでは従来は21あったライセンスを9に整理している。

 アクロニス・ジャパン株式会社セールスエンジニアマネージャーの佐藤匡史氏はAcronis Backupについて、「仮想、クラウド、物理、アプリ、エンドポイントなどを包括的に保護できる点が特徴」とし、「サポート環境が幅広いのも特徴。フリーのLinux、(サポートの終了している)Windows XPやVista、Mac、もちろんモバイル端末も守備範囲で、IT環境を最新技術でまるっと保護できる。新バージョンには(リカバリーなど)さまざまな操作を自動化して復元を効率化する新機能も含まれる」とした。さらに、ランサムウェア対策機能とブロックチェーンを使用してバックアップデータの非改ざん性を証明する機能を新たに搭載。計170以上の機能を拡張した。

アクロニス・ジャパン株式会社セールスエンジニアマネージャーの佐藤匡史氏
「Acronis Backup 12.5」が搭載する新機能の一部

 ライセンスには永続とサブスクリプションの2つがあり、30日間試用版も提供される。

 2016年9月に提供を開始した「Acronis Backup 12」では、新たにウェブベースの管理UIを導入。今回の新バージョンより製品ラインを統合したことで、Acronis Backup Advanceでもこれを利用可能となった。さらに、Advanceでは、2000台以上の構成を集中管理できるという。ダッシュボードと連携する「アドバンスドレポート」では、テンプレートを組み合わせてレポートフォーマットを作成できる。スケジュールに応じて管理者に送信も可能。

管理機能をウェブベースのUIで提供する「ダッシュボード」
「アドバンスドレポート」はPDFやExcel、ダンプデータのCSVでのダウンロードも行える
「管理者ロール」では、管理対象ユーザーを階層化し、セクションごとに管理権限を移譲するマルチテナントを構成できる
これまでハイパーバイザー側のものを使用していた仮想環境のSANストレージへのスナップショットバックアップに対応

 新バージョンでは、Oracle Databaseのバックアップに対応。計21のプラットフォームをバックアップ可能になった。これまではスクリプトを用い、静止点を作成すればOracle Databaseをバックアップできたが、新バージョンではデータベースを止めずにバックアップが可能だ。このほか、すでに提供しているOffice 365バックアップもニーズが高いという。

 バックアップイメージを用いるベアメタル復元では、リカバリメディア作成時に、起動時に管理サーバーに接続するスクリプトを埋め込んでおくことができ、シャットダウンされている状態からリモートで管理し、復旧を自動化できる。

Oracle Databaseのバックアップに対応。復元はデータベース、テーブルスペース、ログの単位で行える
ベアメタル復元は、「ユーザーからのニーズが高かった機能」(佐藤氏)
Microsoft SQL Server/Exchange Server/Active Directoryのバックアップも可能だ
Oracle Databaseバックアップの専用エージェントが新たに提供される。現在は英語だが日本語化される予定

 また、保存したバックアップからの起動・リストアのテストを自動化できる機能も搭載した。佐藤氏は「バックアップが本当に戻せるか、リカバリテストは一部の企業でしかされておらず、戻せなければバックアップに意味がない」とした。オフホスト処理は、バックアップ後にエージェントが行うさまざまな作業を、ネットワーク内のほかのPCやサーバーに割り振れるもので、ハイバーバイザーの負荷を軽減できる。

スケジュールに従って、イメージバックアップからのクライアント起動テストを行い、管理サーバーにログを送信する
バックアップしたデータのベリファイや複製、クリーンアップ、仮想マシン変換といった処理が行える。代行用マシンのソフトウェアライセンスは不要だ

 ランサムウェア対策機能の「Acronis Active Protection」は、ファイルを監視して、暗号化や改変が加えられたファイルのコピーを専用キャッシュに退避する機能。通知やキャッシュからのデータ復元などのアクションを設定できる。佐藤氏によれば、「暗号化の実行などの挙動から材料を収集し、振る舞い検知のエンジンで疑わしいと判断するとランサムウェアとして遮断する」という。

常駐エージェント自体を保護する自己防衛機能も搭載する
Acronis Active Protectionの機能は、すでに各種のランサムウェアでのテストも行われている
Acronis Active Protectionの設定画面で検出時のアクションを設定できる
ランサムウェアにファイルを暗号化されている様子
設定しておけば、暗号化されたファイルが自動的に修復される
管理コンソールからは不審なアクティビティとして確認できる
バックアップデータの削除などの操作を拒否できる
Acronis Active Protectionはサービスとして動作しており、「自己保護」を有効にしていると停止されても自動的に起動する

 「Acronis Nortary」は、ブロックチェーン技術をデータ保護にいち早く活用したもの。ファイルやフォルダーのバックアップ時に設定が可能。ファイルのハッシュ値を改ざんできない状態で、ブロックチェーン技術を活用する「Ethereum」に保存し、非改ざん性を保証するものとなる。

バックアップの対象で「ファイル/フォルダ」を選ぶと「ノータリゼーション」を「オン」にできる
ノータリゼーションされたバックアップデータはアイコンが変更され、ハッシュ値がEtherscanに自動でアップロードされる
べリファイルを行うと、ファイルの非改ざん性を表示できる
証明書を表示したところ
証明書画面の下には「トランザクションID」が表示される
EthereumのIDトランザクションを確認できるウェブサイト「Etherscan」のウェブサイトで、ファイルの非改ざん性を証明できる

データは最新であればあるほど重要で価値がある

 アクロニス・ジャパン株式会社代表取締役の大岩憲三氏は、新バージョンの発売について、「すべてがクラウドレディになる」とした。そして「バックアップというと、過去の起点から、それ以前に対してのものだが、データは最新であればあるほど重要で価値がある。クラウドにより、バッチではなくリアルタイムに近いかたちでデータをバックアップし、高いセキュリティを担保することで、これまでのバックアップベンダーから、データ保護ソリューションベンダーとして生まれ変わる」と述べた。

 同社では、サービスプロバイダー向けのクラウドバックアップソリューションを、日本国内でも2014年より提供している。クラウドでのデータ保有量は国内でも昨年比で約4倍に伸びているという。

 そして、本番データと2つのバックアップの3つのデータを持ち、2つのメディアに分け、1つはオフサイトに保存するバックアップの基本的な「3-2-1ルール」をあらためて紹介した。

アクロニス・ジャパン株式会社代表取締役の大岩憲三氏
バックアップの数とメディア、オフサイト保存に関する基本的な「3-2-1ルール」

 また、「モバイル機器が多用されるほど、紛失などのヒューマンエラーが増え、重要な最新のデータ喪失も多くなる」としたほか、WannaCryやPytya亜種などのランサムウェアをはじめとしたセキュリティ脅威にも言及し、バックアップの重要性を説いた。

WannaCryをはじめとするランサムウェアへの対策機能も搭載
イメージバックアップとクラウド保存のメリット