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ヤマハ、RTX810の後継VPNルーター「RTX830」を10月に発売 “ヤマハ流SD-WAN”も視野に

 ヤマハ株式会社は13日、中小規模向けVPNルーターの新モデル「RTX830」を発表した。「RTX810」の後継モデルにあたり、互換性を維持しつつ、性能向上やクラウドサービスなどとの接続性を充実させているという。価格は7万5000円(税別)で、10月の発売を予定する。

 RTX830は、主に中小規模のVPNルーター市場を想定したモデル。従来のRTX810で構成されていた既存ネットワークをそのまま利用することも想定し、筐体サイズや設定ファイルなどの互換性を確保している。

 インターフェースはRTX810と同様、主にWAN向けの1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×1ポートと、主にLAN向けの4ポートスイッチ(全ポート1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応)を搭載。モバイル通信対応のUSBポートを備えている点も変わっておらず、3G/LTE対応のUSBデータ通信端末を接続すれば、イベント会場や工事現場といった、常設の有線回線が設置しづらい場所でも利用できる。

RTX830。Interop Tokyo 2017では「X17」として参考展示されていた

 また、USBポートやmicroSDスロットを利用したログのインポート/エクスポート機能も引き続き利用可能。コンソールは、従来のシリアルポートに加えてUSBmini型のシリアル接続を新たにサポートした。

 性能はRTX810よりも向上し、最大スループットが1Gbps→2Gbpsへ、最大VPNスループットが200Mbps→1Gbpsへと高速化。VPN対地数が6→20へ、NATセッション数が1万→65534へ増加している。なお、サイズは43.5×220×160mmで従来とほぼ同等だが、筐体は金属筐体を採用した。最大消費電力も、性能向上を図りながらも従来と同等の11Wを実現しているとのこと。

【お詫びと訂正】

  • 初出時、RTX810のNATセッション数を4096としておりましたが、ヤマハ側より資料の訂正があり、正しくは1万とのことでしたので、記事も訂正しました

ネットワーク構築の利便性を強化

 ハードウェア性能の強化に加えて、ネットワーク構築の利便性を向上させる強化も各種行われている。

 まず、物理的な複数拠点へのVPN接続を、1つのVPN設定のみで実現するマルチポイントトンネル機能を新たに搭載した。この機能を利用すれば、拠点の増設や移設など、VPN環境に変化があった場合の設定変更作業を簡便化されるとのことで、RTX830では拠点側に対応する。センター側は、当初はRTX1210が対応し、今後はRTX3500/RTX5000といった機種が対応する予定。

 また、ネットワークスイッチなどヤマハの他ネットワーク製品と連携し、LANの状態を可視化する最新のLANマップ機能も利用可能になった。

 さらに、宛先のFQDNによって経路制御を行えるように改善したことで、インターネット上に展開されるウェブサイトごとに、宛先経路を振り分けられる。これにより、Windows Updateのトラフィックはセンター拠点を経由せず直接インターネットに接続させる、といった運用を行えるという。

 このほか、利用が拡大するパブリッククラウドサービスとのVPN接続を簡単に設定できる機能が追加されている。サービス元から入手したIDやシークレットキーを入力すると、IPsec VPNやBGP経路設定などの設定が自動生成されてルーターに反映されるため、面倒な設定をしなくとも、クラウドサービスへの接続を行えるようになる。当初は、Amazon Web Services(AWS)が提供するAmazon VPCに対応するとのことだ。

YNOとの連携機能を続々提供予定

 なお、ヤマハのネットワーク統合管理サービス「Yamaha Network Organizer(YNO)」との連携を強化し、SD-WAN(Software Defined WAN)を実現する機能も順次提供されるという。

 例えば、個々の拠点の端末にログインせずに、YNOの画面上ですべてのネットワーク機器のGUI画面操作を行える「GUI Forwarder」、拠点に設置する端末への設定を事前にYNOへ保存しておき、簡単に設定をクラウドから流し込めるようにする「ゼロタッチコンフィグレーション機能」などの提供を予定。

ゼロタッチコンフィグレーション機能

 また、今後RTX830に追加される予定の、アプリケーションを識別してコントロールするディープパケットインスペクション(DPI)機能を利用し、個々のアプリケーションの通信をYNOから一元管理する機能なども計画されているとした。