質問を繰り返して、ユーザーの意思決定を支援する「Hunch」公開
意思決定エンジン「Hunch」。画面は、ユーザーの考え方を把握するために最初にたずねる20件の質問の1つ |
質問を繰り返すことでユーザーの意思決定を助ける、ユニークな意思決定エンジン「Hunch」が15日、公開された。英語の「Hunch」には「予感」「直感」「当て推量」といった意味がある。
Microsoftのサーチエンジン「Bing」も同じく意思決定エンジンとうたっているが、Hunchはサーチエンジンとは全く異なる方法でユーザーの意思決定を助ける。Hunchはまず最初に20件の質問をユーザーに投げかけ、その回答によってユーザーの考え方や常識を理解しようと努める。それによって、その後ユーザーが行う質問に最適な答えを返そうとする。
例えば、ユーザーがどの大学に進学すればいいのかといった質問をすると、Hunchがユーザーに対していくつかの具体的な質問を投げかけ、それに回答していくことで、そのユーザーに適した進学先を提示するといった具合だ。
このアルゴリズムは、MIT出身で、機械学習のバックグラウンドを持つコンピュータ科学者たちが開発したものがベースになっている。
どのような質問をするかということが、Hunchの最も重要なアルゴリズムだ。Hunch内部の常識と照らし合わせながら質問を繰り返すことで、最適な答えに近づいていかなくてはならないからだ。Hunchの内部にはそのための一般常識とアルゴリズムが詰め込まれている。
全く関係ないと思われるような質問でも、有用な結論を導き出し得ることがある。例えば、米国の共和党員はセレブ御用達のミネラルウォーター「フィジーウォーター」を好むのに対して、民主党員は「エビアン」を好むという常識を持っている。このような高度な常識は、Hunchが利用されるにつれて学習していくため、ユーザーの協力が求められている。
現在、Hunchは公開されたばかりであり、アカウントを作成できる人数は限られているが、アカウントを持てば、Hunchはユーザーについてより多くを学習し、より適切な回答を出せるようになるとしている。
Hunchは現時点ではアフィリエイトを収益源として考えている。例えば、「どのようなハイビジョンテレビを買えばよいか」という質問に対して、特定の機種のハイビジョンテレビを勧め、そのテレビを購入できるアフィリエイトリンクを張る。なお、Hunchでは、ユーザーの趣味・趣向などの個人的データを外部に売り渡したり、公開するつもりはないと説明している。
Hunchは、写真共有サイト「Flickr」の創業者であるCatrina Fake氏が共同創業者となっている。同氏は、Flickrが米Yahoo!に買収された後、Q&Aサイト「Yahoo! Answers」の開発にも携わっていた。HunchのエンジニアのほとんどはMIT出身で、多くはセキュリティサービス「SiteAdvisor」の開発に携わった経験者だという。
関連情報
(青木 大我 taiga@scientist.com)
2009/6/16 12:43
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