有罪判決受けた「The Pirate Bay」、約7億5000万円で買収される


 スウェーデンのGlobal Gaming Factory X AB(GGF)は6月30日、海賊版コンテンツを検索・ダウンロードできる仕組みを提供していたサイト「The Pirate Bay」を、6000万スウェーデンクローナ(約7億5000万円)で買収することで合意したと発表した。

 The Pirate Bayを運営していた4人の管理人は、音楽・映画業界からの訴えを受け、4月に海賊行為に対して有罪判決が下されていた。GGFは、買収によって合法的なビジネスモデルを確立したい考えだ。

 GGFは、インド人CEOのHans Pandeya氏によって設立されたスウェーデン企業。スウェーデン国内最大のインターネットカフェとゲームセンターを経営しており、同国で上場もしている。

 GGFは今回、The Pirate Bayを買収すると同時に、スウェーデンのP2P技術企業であるPeerialism ABも買収した。Peerialismは、KTH Royal Institute of TechnologyとSICS(Swedish Institute for Computer Science)という2つの学術研究組織を母体として設立されたテクノロジー企業だ。Peerialismの技術は、既存の技術に比べてネットワークリソースを効率よく使用し、ISPトラフィックを減少させるなど、大規模なメディア配信に優れたソリューションだとされる。買収によってGGFは、Peerialismのすべての技術にアクセスできることになっている。

 GGFのHans Pandeya CEOは今回の買収の意義について、「The Pirate BayとPeerialismの買収によって、GGFは国際的デジタルディストリビューション市場における戦略的なポジションに立つことになる。ファイル交換トラフィックは、今日の世界的インターネットトラフィックの半分以上を占めると推定されている。The Pirate Bayはグローバルなブランドであり、毎月2000万ビジターと10億を超えるページビューを記録するなど、重要な位置を占めている」とコメントしている。

 今後の計画については「我々は、コンテンツプロバイダーと著作権所有者が、このサイトからダウンロードされるコンテンツに対して、支払いを受けられるようなビジネスモデルを紹介したいと考えている」と説明している。

 歴史を振り返ると、NapsterやKazaaなどのファイル交換プラットフォーム企業が、法廷闘争を経て、合法的有料ビジネスモデルへと転換しようとする試みが行われてきた。今後、The Pirate Bayが新しい運営者を得て、どのような変化を遂げていくかに注目が集まりそうだ。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2009/7/1 14:50