“アニメの殿堂”基本計画案、「お台場・新設」にこだわらず
マンガやアニメ、ゲームなどのメディア芸術を収集展示する拠点施設「国立メディア芸術総合センター(仮称)」設立に関する準備委員会の第6回会合が21日に開かれ、施設の事業内容や管理運営のあり方などを含む基本計画案が公表された。
基本計画案によれば、施設では「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品をはじめ、歴史的価値のある作品や失われるおそれがある貴重な資料などを収集して保存・継承するとともに、メディア芸術の歴史的な流れを常設展や企画展などを通じて紹介する。
常設展については陳腐化しないよう適宜見直しを行う。「一部で報じられている『マンガ喫茶』のような形態はとらず、マンガについてはイラストの一場面を紹介するような展示を行う予定」(文化庁)という。
また、メディア芸術の歴史および最先端の動向を調査研究するとともに、クリエイターらが作品を試作・修復したり、人的ネットワークを形成する場所を設置。作品を展示する機会を提供したり、企業や関係団体、大学と連携するなどして人材育成も行う。
このほか、「既存のメディア芸術関連施設の連携が十分ではない」という指摘があったことから、国内外の各分野の既存施設との連携を強化。映画については、東京国立近代美術館フィルムセンターとの緊密な連携・協力体制を構築するとしている。
当初は東京・お台場に新設する予定だった施設の建築形態に関しては、既存の施設の改修や合築などを含め柔軟に対応する。設置場所は未定だが、交通の利便性が高く、周辺の景観や環境がメディア芸術にふさわしい場所を条件として挙げている。
建物の延べ床面積は1万平方メートルを予定。面積の配分は展示室に約3100平方メートルを割くほか、メディア芸術作品を保存する収蔵庫に約1100平方メートル、上映ホールに約800平方メートル、レストラン・カフェに約200平方メートルなどを割り当てる。
施設の管理は、独立行政法人国立美術館から外部に運営を委託。施設の運営費は未定だが、原則として自己収入でまかなうため、入場料のほか関連商品の販売、映像配信、広告などによる収入に加えて、企業からの協賛金や寄付金も積極的に受け入れるという。
なお、施設の名称については「利用者に親しまれ、ブランドとしての力を発揮する愛称や略称なども適宜検討する」と説明。ただし、当面は「国立メディア芸術総合センター」と仮称するという。
準備委員会では26日に基本計画案を文化庁長官に提出する。なお、基本計画案に関するパブリックコメントの募集は行わず、同日に準備委員会が記者会見を開き、質疑応答などを経た上で基本計画を確定する。
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(増田 覚)
2009/8/25 13:54
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