“アニメの殿堂”お台場以外の可能性も? 既存施設の活用も検討
国立メディア芸術総合センター(仮称)設立準備委員会(第4回)の様子 |
マンガやアニメ、ゲームなどを収集展示する拠点施設「国立メディア芸術総合センター(仮称)」設立に関する準備委員会の第4回会合が17日に開かれた。会合では施設の基本計画策定に向けた提案が行われ、文化庁がショールームやアーカイブ、人材養成などの機能を盛り込む考えを示した。
また、施設の建設形態については、国会などにおける指摘も踏まえて、ソフトの充実を重視すると説明。具体的には、当初提案されていたお台場での施設建設にこだわらず、既存の施設の改修や合築を含めて検討するという。「メディア芸術の発信拠点としてふさわしい立地、形態を柔軟に検討する」。
建設場所については、委員からも「お台場のような不特定観光客が集う場所ではなく、都心で交通の便もよいお茶の水あたり」「渋谷、六本木、秋葉原などに近く、東京以外の人が宿泊している場所から近い場所」「杉並、練馬あたりで駅から徒歩圏内の交通の便がよい場所」などさまざまな意見が上がっている。
メディア芸術総合センターは、2009年度補正予算に約117億円が盛り込まれている。同センターをめぐっては賛否両論が巻き起こっており、民主党代表の鳩山由紀夫氏が「アニメの殿堂」や「巨大な国営漫画喫茶」などと指摘しており、一部では「箱物行政」と批判する声も上がっている。
準備委員会は今後、各委員の意見や国民から寄せられた提案を踏まえ、具体的な事業案を盛り込んだ基本計画を策定する予定。
なお、文化庁は7月7日から13日まで、施設の事業内容や運営方法などに関するアイデアをWebサイト上で一般募集していた。文化庁によれば、法人を含む387人から意見が寄せられたという。
文化庁が募集したアイデアの対象項目は「事業内容」「施設内容・規模等」「管理運営」「その他全般」――。このうち、最も意見が多かったのは「事業内容」で235件、次いで多かったのは「施設内容・規模等」が112件、「センターの管理運営」が83件の順で、「その他全般」が230件。
事業内容に関しては、「期間限定で展示されている実寸『機動戦士ガンダム』の移設」「『ニコニコ動画』や『YouTube』と連携した動画の上映」「アニメ、マンガのセル画・原画の保存。作品自体はデジタル化して広く閲覧が可能となるよう整備」「民間のアニメ制作会社やテレビ局と連動した人材育成」などの意見が寄せられた。
施設内容・規模等では、「手塚治虫達がいた『トキワ荘』を忠実に再現」「日本の版権物でディズニーランドのようなアミューズメント施設を作る」などに加え、「既存の建物を有効活用」が20件寄せられた。管理運営では「民間委託すべき」が11件、「天下りは禁止」が5件あった。「(施設は)不要である」という意見も34件寄せられた。
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(増田 覚)
2009/7/17 19:04
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