ゲーム産業の国家支援は当然、エンターブレイン社長が主張

メディア芸術総合センター準備委ヒアリングで


国立メディア芸術総合センター(仮称)設立準備委員会(第3回)の様子

 マンガやアニメ、ゲームなどを収集展示する拠点施設「国立メディア芸術総合センター(仮称)」設立に関する準備委員会の第3回会合が10日に開かれた。会合では関係者のヒアリングが行われ、「週刊ファミ通」などで知られるエンターブレインの浜村弘一代表取締役社長が、「(施設が)“国営マンガ喫茶”となじられているが、ゲームやアニメなど日本が誇る優秀なコンテンツを国が支援するのは至極当然のこと」などと訴えた。

 エンターブレインの試算によれば、ゲームソフト(PCゲームを含む)、ゲーム機本体、周辺機器を合計した2008年における国内ゲーム市場の規模は約6000億円。「ゲームは重要な輸出コンテンツで日本のお家芸」と指摘する浜村氏は、施設の設立に当たっては「人材の育成や最新技術の共有、文化を支える土壌を育てるためにお金が使われれば、非常に評価される政策になるのではないか」と語った。

 さらに浜村氏は、ゲームの視点から見た施設の事業内容として、アーケードゲーム以降のゲームを収集して展示することで、多くの集客が見込めると説明。作品の収集については、「過去のゲームは日々散逸しつつあることから、文化的側面から見ても意義深いこと」と話した。「Wiiのバーチャルコンソールではさまざまな過去のゲームを提供しているが、大規模なソフトメーカーにはソフトが残っていないケースもあるようだ」。

 集客効果が期待される事業内容としてはこのほか、ゲームユーザーが集まる「コミュニケーションスペース」を設置することを提案。具体的には、ネットワークゲームや新作ゲームを体験できるようにしたり、ゲーム内で使われる追加データやサンプル作品を配信することを挙げた。また、ゲームグッズを展示・販売することで、世界各国から観光客が集まるとともに、収益面でも貢献できると語った。

 人材育成につながる事業内容としては、モーションキャプチャーや3DCGツールなどゲームの最新技術が利用できるスタジオをゲームクリエイターに無料で貸し出すことを提案。さらに、メディア芸術総合センターの特設サイトを構築し、開発者とパブリッシャーがコミュニケーションを図れるようにすることで、作品を生み出しやすい環境を整えてはどうかと話した。


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(増田 覚)

2009/7/10 20:04