読めば身に付くネットリテラシー

「ネット詐欺を見分ける自信がある」そんな令和のデジタルネイティブがハマる落とし穴

ネット詐欺の手口のことを比較的よく知っている「令和世代(10代)」の若者も、対策まできちんと理解しているわけではないようです。むしろ、その世代の男性において、実際に被害に遭った人の割合が突出して高いことなどが明らかになりました(画像は、生成AIで作成したイメージカットです)

 BBSS株式会社は2月13日、「ネット詐欺に関する意識調査 2026」のレポートを公開しました。

 ネット詐欺の主なターゲットは高齢者、という印象を持つ人は多く、そうした調査を紹介したこともありましたが、一方では若い世代の被害が多いというレポートもあります。いずれにせよ、どの世代も「自分は大丈夫」という思い込みを捨てることが大切でしょう。今回紹介するレポートでは、若い世代がネット詐欺のカモにされてしまう背景について考察しています。

 このレポートは、全国の15~59歳の618人を対象に行った意識調査の結果をまとめたもので、10代を「令和世代」、20代~30代を「平成世代」、40代~50代を「昭和世代」と切り分けて傾向を比較しているのがユニークです。

 まず驚いたのが、ネット詐欺の手口を表す言葉自体の認知率が全体的に高いことです。「フィッシング」の認知率は全体で85.0%、「偽サイト」は82.0%、「スミッシング」は75.2%に上っており、言葉自体は完全に市民権を得ていました。しかし、その手口を知っているだけでなく、「対策まで理解している」と答えた人は、いずれの手口においても2割程度しかいなかったのです。

 なお、フィッシング、偽サイト、スミッシングの「手口や手法を理解している」と回答した割合は、令和世代(10代)が全世代でトップ。特にこの世代の男性が突出して高くなっており、「どう対策するかまでは至らずとも、どういう仕組みでだまされるかはよく知っている」と指摘しています。

ネット詐欺の手口の1つ「スミッシング」についての認知率は高いものの、対策まで理解しているのは2割前後にとどまりました(BBSS「ネット詐欺に関する意識調査 2026」より)

 不審なメッセージや偽サイトを「自分で見分けられる」と答えた人は、全体で7割を超えました。そして、その自信の強さは、若い層ほど高まります。令和世代(10代)では実に73.3%が「見分けられる」と回答し、平成世代(20代~30代)の70.9%、昭和世代(40代~50代)の67.5%を上回ってトップとなりました。生まれたときからスマホを触っている彼らにとって、怪しいサイトなんて直感で分かると言いたいのでしょう。しかし、続く設問の結果は、その自信を打ち砕くものでした。

 偽通販サイトの画面を見せて「詐欺か正規か」を判断させたところ、全体の約2人に1人が詐欺の可能性を見抜けない、あるいは判断がつかないという結果に終わりました。そして、不在通知を装ったSMS(スミッシング詐欺)の検証では、「詐欺の可能性が高い」と正しく警戒できた割合は、令和世代(10代)が最も低く50.0%にとどまりました。一方で、平成世代(20代~30代)では60.2%、慎重派の昭和世代(40代~50代)は68.4%が詐欺の可能性が高いと見抜いています。そもそも、巧妙化する詐欺サイトを画面の見た目だけで見抜かせようとすることに無理があるとも言えますが、「見た目だけで判断しない慎重さが必要である」ということは言えそうです。

 デジタルネイティブである令和世代(10代)にとって、スマホに届く通知やリンクはあまりにも日常的な風景すぎて「見慣れている」という感覚が警戒心の欠如に繋がっているのです。彼らの「見分けられる」という自信は、経験に裏打ちされたものではなく、単なる「慣れ」から来る過信だったようです。

偽通販サイトの見極めテストでは、全体の半数以上が詐欺と見抜けませんでした(BBSS「ネット詐欺に関する意識調査 2026」より)

 実際にスミッシング詐欺やフィッシング詐欺の被害に遭ったことがある人の割合は、全体平均で見れば3%程度と、そこまで高くはありませんでした。しかし、属性別に見ると、令和世代(10代)の男性だけが突出して高くなっており、被害経験率はスミッシング詐欺が9.4%、フィッシング詐欺が8.5%に上っていました。これは全体平均の約3倍の数値です。

 対照的なのが、昭和世代(40代~50代)の男性です。例えば、彼らはスミッシング詐欺への遭遇率(メッセージを見たことがある割合)は45.6%と高いにもかかわらず、実際の被害経験率は1.0%にとどまっています。昭和世代(40代~50代)は、怪しいメッセージやサイトに頻繁に出くわしていますが、持ち前の慎重さや社会経験で「これは危ない」と踏みとどまっているのです。

 一方で、令和世代(10代)の男性は、スミッシング詐欺の遭遇率も44.4%と高いうえに、そのままだまされてしまう傾向も他の属性と比較して強いと言えます。

令和世代(10代)男性におけるスミッシング詐欺の被害経験率が突出していました(BBSS「ネット詐欺に関する意識調査 2026」より)

 レポートでは、年代ごとの「心の隙」を詐欺師が巧妙に突いている可能性も指摘しています。

 詐欺だと気付きにくくなる状況について聞いたところ、令和世代(10代)では「誰にも相談できない状況に関する内容だったとき」を挙げた人が26.7%となっており、これは全体平均より10ポイント以上も高い割合です。

 親や先生にスマホの使い方を制限されていたり、あるいは後ろめたいサイトを見ていたりといった事情があるのかもしれません。「バレたら怒られる」「スマホを取り上げられる」という恐怖が、相談という安全弁を塞いでしまいます。ネット詐欺師の思うつぼにハマっているのです。

 一方、平成世代(20代~30代)では、実際に被害に遭遇した際の意識として、「相談しない(自分で解決を試みる、もしくは諦める)」という人が22.8%となり、全世代で最も高い割合を示しました。

 レポートでは、令和世代(10代)が「周囲への相談を遮断される状況」に弱いのに対し、平成世代(20代~30代)は被害をひとりで抱え込みやすい実態が判明したとしています。

「誰にも相談できない状況だとだまされやすい」という人が、若い世代ほど多くなっています(BBSS「ネット詐欺に関する意識調査 2026」より)

 このほか、ネット詐欺についての情報収集の手段が世代間で分断されていることも、対策を難しくしていると指摘しています。昭和世代(40代~50代)の半数がテレビやラジオから詐欺の手口などに関する情報を得ているのに対し、令和世代(10代)はYouTube(32.0%)、X(27.7%)、TikTok(26.7%)がメインの情報源です。特にTikTokでの情報収集は全体平均の約7倍にも上ります。マスメディアでいくら「詐欺に注意」と叫んでも、彼らのタイムラインには届きません。

 逆に言えば、彼らは、普段楽しんでいるSNSのフィードの中に紛れ込んだ詐欺広告や、インフルエンサーを装った誘導に対して、無防備になりやすい環境にいるのです。

 BBSSの今回のレポートによると、ネット詐欺の被害者は、もはや「デジタルに疎い高齢者」というステレオタイプには当てはまりません。むしろ、知識があり、自信もある、日常的にネットを使い倒している「令和のデジタルネイティブ」たちが、格好の標的ともなっているのです。

 「自分はだまされない」と思っている人こそ、一度考え直してみてください。単に「まだだまされていないだけ」なのかもしれません。自分の生活や財産を守るのは適切なリテラシーです。基本的なネット詐欺の手口や事例を知り、対策を一通り身に付けておきましょう。

 また、知識があっても、一瞬の気の緩みや心理的な動揺でだまされてしまうのが人間です。今回のレポートをとりまとめたBBSSは、ブラックリスト検知やAI検知を駆使して危険なサイトなどを“見破る”ための「みやブル」という詐欺対策アプリを提供しています。「ネット詐欺の手口のことはよく知っている。見分ける自信もある」という人も、こうした詐欺対策アプリのような、人間の判断力が鈍る瞬間をカバーしてくれるテクノロジーを活用することを検討してみるのもよいのではないでしょうか。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。