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JEITA新会長にNEC会長の新野氏が就任、「テクノロジーを社会価値へとつなぐ」姿勢を表明

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の新会長に就任した新野隆氏(NEC会長)

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の新会長に就任したNECの新野隆会長が会見を行い、今後の活動方針などについて説明した。

 新野会長は、「AIの急速な進歩などにより、産業構造や雇用形態が変わり、変化が激しい時代を迎えている。日本の競争力を高めるために、JEITAが果たす役割はますます重要になる」とし、「世界が大きな転換点を迎えるいま、JEITAは、会員企業とともに、テクノロジーを社会価値へとつなぎ、日本の産業競争力の向上と、社会課題解決の両立に貢献する」との姿勢を示した。

 新野会長は、2026年度の活動方針として3点をあげた。

 1つ目は、「デジタル産業の発展」である。

 「デジタル産業は、成長産業であるだけでなく、社会のあらゆるインフラに深く組み込まれ、その基盤システムを担う産業である。日本のデジタル産業の発展に向けて、産業横断での取り組みを進める」とし、「AIの動きをはじめ、社会のあらゆる側面のSDx化(Software-Defined everything)に向き合うことが、JEITAとしての主要な課題のひとつになる。AIは、実験的な活用から、社会実装へと移行している。いま問われるのは、AIを導入したかどうかではなく、AIを前提として、産業や社会の仕組みを、どのように変革していくかである。今後は、AIを活用しながら、現実社会そのものを高度化していく取り組みがますます重要になる」とした。

 その上で、「製造や制御などの現実社会の領域ではフィジカルAIが進展している。これは、日本のデジタル産業が強みとしなければならない分野である。リアルな現場データとデジタルが融合し、実世界で価値を生み出すことが日本の産業界の強みであり、競争力の源泉になる。とくに、SDV(Software-Defined Vehicle)は、重視しなければならない領域である」と位置づけた。

 JEITAは、2026年10月13日~16日に、千葉市の幕張メッセで、「CEATEC 2026」を開催する予定であり、今回は、日本自動車工業会(JAMA)の「Japan Mobility Show bizweek」と併催することが決定している。

 「自動車に占めるソフトウェアの比重は増加傾向にある。自動車業界で培ったノウハウに、デジタル産業が加わることで、SDV化が進展する。小さなグループでの取り組みには限界がある。産業界全体がひとつになって、日本としての強さを発揮することが大切である」とした。

 また、「CEATEC 2026では、さまざまな業種やスタートアップ企業と、電子情報産業の連携が深化する。CEATECは、個社で新たなものを作り、それを展示する場ではなく、コラボレーションしながら社会実装し、社会価値を創造することが重要になる。それらの観点から具体的な事例を示し、JEITA会員企業の技術がどう生かされているのかを強調したい」と述べた。

 AIに関しても言及。「これまで多くの企業が取り組んでいるのは、これまでの仕組みのなかで、AIを活用して、効率化や省力化することであった。今後は、さまざまなAIを使いこなしながら、やりたいことを実現しなくてはならない。これは、簡単にできることではなく、知識が必要になる。AIによって職が失われると言われるが、本質的な部分は、AIによって、仕事の中身が変わってくるという点である。AIを使いこなす能力が不足している。これを埋める人材を育成していく必要がある」と発言した。

 2つ目が、「デジタルを活用した社会構造改革」である。

 JEITAは、2026年6月に「デジタルエコシステム検討会」を設置して、産業データスペースの社会実装に向けた議論を開始したことを報告。「産業データスペースに対する機運が官民で高まっている。だが、実装には、相互信頼や一体感の醸成が不可欠である。安心、安全なデータの流通が実現し、データを提供する人たちが大きな恩恵を得られる仕組みが必要である。検討会では、JEITA会員内外の幅広い産業界のプレイヤーが参加し、議論を深めることで、産業データスペースの社会実装に貢献したい」と抱負を述べた。

 3つ目は、「経済安全保障など国際経済環境への対応」である。

 「地政学リスクや経済安全保障の重要性の高まりや、サプライチェーン分断のリスクなど、国際経済の足元で秩序が大きく揺らいでいる。なかでも、半導体や電子部品は、AI時代の産業や社会を支える重要な基盤であり、その安定供給と競争力強化はますます重要になっている」と指摘。さらに、「サイバーセキュリティを巡っては、AIの進歩によってこれまで見つかっていなかった脆弱性が発見されるなど、新たな段階に入っている。JEITAでは、国内外から情報を入手し、会員と幅広く共有するとともに、各国政府の政策への対応、日本の政策づくりへの貢献などに力を尽くす」とした。

 部材不足や調達高騰については、「この傾向は、世界的に見ても、しばらく続くだろう。関係機関と連携しながら情報を共有し、世の中が回っていけるように、産業全体として取り組んでいきたい」と述べた一方、「ナフサについては、政府の代替調達や備蓄放出により、2027年上期までは大丈夫だとの見通しがある。だが、現場では流通段階での目詰まりが懸念されている。JEITAでは、各企業の施策を共有しながら、問題の最小化に貢献したい」と語った。

 また、日銀の政策金利の利上げ見通しについては、「日本全体が金利のある状況のなかで、成長していくことが大事である」とコメント。「個社ごとに状況は異なるが、会員企業にとっての大きな問題は円安の方である。日本経済が発展していけるように、バランスが取れた金融政策を取ってもらいたい」と要望した。

 デジタル赤字に陥っている日本の産業構造についても言及。「日本のデジタル産業は、米国主導で開発、製品化されたものを使用するという構造であった。汎用AIは、米国および中国の企業が、大規模な投資をして開発している。ここで日本のデジタル産業が戦うことは難しい。だが、日本は製造現場で、さまざまなデータを持ち、データ化されていない知識も蓄積している。これをAIと融合させることで、特定領域を定め、そこで価値を出すことができる。フィジカルAIは、日本の強みを発揮できる分野であり、日本のさまざまな企業と共創していく必要がある。データの価値化は、今後1年間で大きく進展するだろう。データの価値化はJEITA会長として力を注ぎたい。JEITA会員企業と、さまざまな産業の企業が協業することで、日本の産業力を強化して、世界に出ていくことができる。十分な勝機がある」とした。