radikoのiPhoneアプリに協議会が難色、近日公式アプリ配信
App Storeにおいて、iPhoneでIPサイマルラジオが聴ける「ラジ朗」や「iRadiko」といったアプリが公開されており、話題を集めている。
在京および在阪ラジオ局13社と電通による任意団体「IPサイマルラジオ協議会」では、インターネット網を利用して関東・関西圏のラジオ放送をサイマル配信する実験を展開している。
サイマルとは、「同時に起こる」を意味する「simultaneous」を省略した形で、国内では英語の「simulcast」(simultaneous+broadcast)から、サイマル放送などと呼ばれる。サイマル放送とは、1つの放送局が異なる媒体に同じ内容を配信すること。たとえば、テレビとラジオの同時放送などがそれにあたり、ワンセグ放送の番組もその多くがテレビ放送と同じコンテンツを流す、サイマル放送となっている。
IPサイマルラジオ協議会では、8月末までの期間限定で、ラジオ放送とほぼ同時にネットでサイマル配信する実用化試験「radiko.jp」を展開している。都市部を中心としたラジオの難聴取エリア向けの対策となるため、radiko.jpは現在、関東の1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)と、関西の2府2県(大阪、京都、兵庫、奈良)にエリアを限定して提供されている。なお、2010年9月頃を目途に実用化を目指すとしている。
現在、パソコン向けに提供されており、ネット回線で地域を判別して聴取可能エリアのみにラジオ番組を配信している。前述の通り、IPサイマルラジオ協議会には在京および在阪ラジオ局13社が参加しているため、ネット配信ではあるが、音楽やCMについても権利者許諾を得た上でラジオ放送と原則同じものが提供される。
なお、IPサイマルラジオ協議会では、「使い勝手の良い公式版のスマートフォンアプリを近々リリースする予定」としており、提供される予定の公式版アプリはエリア外では聴けない仕組みになるという。
また、協議会では「ラジ朗」や「iRadiko」といったいわゆる非公式なアプリについて、「黙認するつもりはない」との立場をとっている。「権利者に不利益が、また当協議会と権利者との向き合いに支障を来たすものに関しては、対応策を検討中」としており、非公式アプリへの対策について協議会では「何よりの対応策は公式版をリリースすること」とコメントしている。
なお、IPサイマルラジオ協議会は7日、システムメンテナンスを開始し、ストリーミングのセキュリティを強化したと発表した。協議会は、radikoの目的を「都市部を中心とした難聴取の解消を目的としたもので、実質的な放送エリアに向けた試験配信の枠組み」としている。強化の理由を「エリア外聴取環境の提供、収益を得るものなどradikoの存続を危うくするサービスに対する措置」としており、「ラジオの楽しみを広げるためのさまざまなアプリを排除することが目的ではない」とコメントしている。
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(津田 啓夢)
2010/4/7 19:22
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