「ひかりTV」が3D対応、スタートオーバー機能も提供へ


NTTぷららの板東浩二代表取締役社長

 NTTぷららは、「フレッツ光」および「フレッツ 光ネクスト」加入者向けの多チャンネル映像配信サービス「ひかりTV」において、2010年度第1四半期(4~7月)中に3D対応コンテンツの配信を開始する。また、放送中の番組を録画することなく頭から視聴できる「スタートオーバー機能」の試験提供を2010年度中に開始する。23日、NTTぷららの板東浩二代表取締役社長が、今後の事業展開について説明した。

 ひかりTVにおける3D対応コンテンツの技術検証はすでに完了しており、メーカー各社の家庭用3D対応テレビが発売されるのに合わせ、夏ごろまでに提供を開始したい考えだ。ただし、配信するコンテンツは慎重に検討する必要があるとし、まずはトライアルとして試験的に提供する予定。コンテンツはサイドバイサイド方式で伝送し、既存のひかりTVのチューナーを3D対応テレビに接続することで3D表示となる。さらに今後、ひかりTVチューナー内臓の3D対応テレビが発売されれば、それにも対応させていきたい考えだ。必要なネットワーク帯域も従来の2Dコンテンツと変わりないという。なお、料金プランなどは今後検討する。

 スタートオーバー機能は、例えばスポーツ中継の途中で帰宅した際、試合の最初からさかのぼって視聴したい場合などに便利な機能。これまでは、録画していなければ最初から再生することができなかった。板東社長によると、実現するには、番組の放送中にビデオオンデマンドを行える権利処理が必要。現在はその許諾をとれるコンテンツを探している段階であり、コンテンツホルダーと調整中だという。


「ひかりTV」による3D対応サンプルのデモデモでは、「ひかりTV」対応チューナー「PM-700」にパナソニックのVIERAを接続

3D対応コンテンツおよびコンテンツのHD化のスケジュール「スタートオーバー機能」の概要

 ひかりTVは2008年3月にサービスを開始し、2010年3月末で会員数が101万人に達した。板東社長は「2年間で会員を100万人集めて顧客基盤を作ることが大きな目標だったが、それは達成できた」とコメント。また、この2年間は基本サービスを拡充することがメインだったのに対して、2010年度は第2ステップとして、映像コンテンツのさらなる拡充とIPTVによる新たなライフスタイルの創造を進めると説明する。

 コンテンツ拡充としては、3D対応のほか、HD化も推進するという。現在、多チャンネルサービスは75チャンネルを提供中で、このうちHD対応チャンネルは30チャンネルある。これを2010年度中に約40チャンネルへ拡大し、多チャンネルサービスの半分以上をHD対応にする。このほか、ビデオオンデマンドサービスについても、HD対応作品を現在の3000本以上から3500本以上に増やす。

 なお、エリアによってはこのほかにも地上デジタル放送のIP再送信がHD対応で行われており、東京では9チャンネルが見られる。さらに、BSデジタル放送のIP再送信も検討しており、技術的検証はほぼ終了しているという。あとはBSテレビ局との調整を残すのみだとしており、板東社長は何とか2010年度中にサービス開始にこぎ着けたいとした。


「ひかりTV」会員数の推移HD対応チャンネルの状況

 新たなライフスタイルの創造分野では、スタートオーバー機能のほか、携帯電話や家庭内LANとの連携がある。まず、HDD内蔵ひかりTVチューナーを6月から提供。7月より、外出先の携帯電話やPCから録画予約を行えるようにする。さらに2010年度中には、同チューナーに録画してある番組を、LAN経由で別の部屋のテレビやPCから視聴できるマルチルーム対応も行う。

 このほか、リモコン操作で注文できるNTTぷらら独自のショッピングサービスを7月より試験提供する。また、会員の視聴データに基づいてお勧めのコンテンツを提示するレコメンド機能も2010年度中に開始予定だ。

 NTTぷららでは2010年度、ひかりTVの会員数40万人の純増を目指す。


6月から提供予定のHDD内蔵「ひかりTV」チューナー携帯電話対応やマルチルーム対応など、HDD内蔵チューナーによる新機能

2010年度の会員獲得目標会員数100万人突破記念のひかりカエサル像

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(永沢 茂)

2010/4/23 18:40