JASRACの2009年度著作権使用料は1094億円、CD売上低迷で減収額は過去最多
JASRACの菅原瑞夫常務理事 |
JASRACの加藤衛理事長 |
日本音楽著作権協会(JASRAC)は19日、2009年度の音楽著作権使用料の徴収額を公表した。使用料徴収額は1094億6429万円で、前年度から3.1%減少。PC向け音楽配信や動画ストリーム配信が順調に推移したが、音楽CDを含むオーディオディスクが市場縮小により大幅に前年度を下回り、減収額は過去最多となる約35億円となった。
分野別の徴収額では、音楽配信やストリーム配信を含むインタラクティブ配信が94億4716万円(前年度比6.3%増)と前年度を上回った。その一方、オーディオディスクは169億3895万円(17.4%減)と大幅減となったほか、DVDを含むビデオグラムが173億1635万円(0.9%減)、テレビを含む放送等が271億7860万円(2.1%減)と減収だった。
インタラクティブ配信は、PC向け音楽配信を含むダウンロードが51億1988万円(18.2%増)、動画共有サイトを含む動画等ストリームが7億6720万円(43.8%増)で好調だった。動画等ストリームについては、ニコニコ動画やYouTube、GyaOなどの事業者と、JASRAC管理楽曲の利用許諾契約を結んできたことが数字に反映されたかたちだ。
このほか、私的録音補償金は1億3686万円(35.5%減)、私的録画補償金は2億3311万円(1.5%増)だった。JASRACの菅原瑞夫常務理事は「ブルーレイが補償金対象となったことで録画補償金は若干プラスになった」と評価。一方、録画補償金は「新たな機器が指定されていないため、補償金制度が機能していない」として、今後もiPodを含む携帯音楽プレーヤーなどを課金対象とすべく働きかける考えを示した。
2009年度の徴収額が減収した要因についてJASRACの加藤衛理事長は、オーディオディスクの大幅減に加えて、景気低迷の影響で放送業界からの徴収額が少なかったことを挙げたが、インタラクティブ配信が堅調に推移したことで前年度3.1%減にとどまったと振り返った。また、ネット上の違法配信や海賊版には、刑事告訴による対応を強化すると話した。
なお、JASRACでは4月1日付けで「一般社団法人」に移行したことをきっかけに、「S.Q.N」という理念に基づいて事業を推進するという。S.Q.Nとは、ラテン語で「必要不可欠な」という意味を持ち、1997年11月にボスニア・ヘルツェゴビナで設立された著作権管理団体が自らの団体名をSQNと名付けている。
加藤氏は、「自分たちの手で新国家の文化・芸術を守るために著作権管理団体を設立したSQNの理念は、JASRACと志を同じくするもの」として、今後は「人々の生活にとって必要不可欠なもの、音楽を守ることこそがJASRACの使命であることを常に忘れず、これを肝に銘じて新たな一歩を踏み出していく」と力強く宣言した。
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(増田 覚)
2010/5/19 17:23
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