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15年前のDTPデータもiPad電子書籍化可能、「QuarkXPress」最新版を4月発売


 米Quarkは23日、DTP用ページレイアウトソフトの新バージョン「QuarkXPress 9」を発表した。4月に出荷予定で、新規購入価格は9万7650円、バージョン8/6からのアップグレードは3万2550円。推奨システムは、Mac OS X 10.5.8/10.6.4以降、Windows 7/Vista/XP(SP2以降)。

 新バージョンの特徴は、デジタルパブリッシングへのアプローチだという。誌面レイアウトから電子書籍への書き出しまで、QuarkXPress上から行なえるようにした。

「QuarkXPress 9」のスプラッシュ画面 「QuarkXPress 9」のパッケージ

 まずiPad向け電子書籍については、オンラインサービスである「App Studio for QuarkXPress」で対応する。App Studioでは、iPad向けコンテンツを作成するための専用のデザイン環境をQuarkXPress 9上で提供。紙の誌面のような静的なレイアウトだけでなく、動画や音声を埋め込んだり、スライドショーやスクロール領域、ポップアップウィンドウ、ハイパーリンクなども設定でき、これをiPadアプリとして書き出してApp Storeで配布可能だ。

 なお、App Studioはすでに1月、大企業・中堅企業向けのコンテンツ制作・管理ソリューション「Quark Publishing System(QPS)」のモジュールとして、米国での提供開始が発表されていた。同様の機能がQuarkXPressからも利用可能になるかたちだ。QuarkXPress 9の出荷から90日以内に、同製品のユーザーに提供開始する予定だ。

 このほか、WindowsやiOS、Androidなどに対応する無料電子書籍リーダー「Blio eReader」向けにも出力できる。Quarkによれば、Blio eReaderに直接対応しているページレイアウトソフトはQuarkXPress 9だけだという。

 QuarkXPressで制作したレイアウトを、EPUBで簡単に出力できる機能も備える。EPUBのリフローベースの出力に対応するリフロービュー機能も新たに搭載した。

米Quarkの製品開発担当副社長であるPG Bartlett氏 クォークジャパン株式会社の日本・韓国地区統括兼代表取締役社長である山下進一氏

 クォークジャパン株式会社の日本・韓国地区統括兼代表取締役社長である
山下進一氏によると、約2年ごとに行われているQuarkXPressのメジャーバージョンアップでは、旧バージョンで制作したファイルを新バージョンでも開けるよう上位互換を保つのが同社のポリシーだという。今回の電子書籍関連の機能により、出版社が過去にQuarkXPressで制作したDTPデータ資産を電子書籍として活用できるとアピールした。

 製品発表に先立ち報道関係者向けに行われた事前説明会では、インプレスがその昔、QuarkXPress 3.1で制作したという出版物のDTPデータを借り、これをQuarkXPress 9で開いて電子書籍として出力するデモも行われた。同バージョンがリリースされたのは1990年代のこと。QuarkXPressはかつて日本のDTPソフト市場を席巻するシェアも持っていた時代があり、出版社にはQuarkXPressによるDTPデータが多く残っている可能性もある。権利処理という大きなハードルはあるため、あくまでも技術的にではあるが、過去の資産を電子書籍に生かせる環境が提供されることになるとしている。

条件付きスタイル コールアウト(吹き出し)
イメージグリッド シェイプメーカー

 QuarkXPress 9ではこのほか、テキストのパターンに応じて自動的にスタイルを適用できる「条件付きスタイル」、Microsoft Wordの取り込み・書き出しと互換性があり、アウトラインの書式設定が簡単に行える「箇条書きおよび番号付きリスト」、指定した文字などを基点にして、本文枠の外のアンカーボックスを自動的に配置する「コールアウト(吹き出し)」、キャプションを含む画像のグリッドを自動的に作成できる「イメージグリッド」、波形や多角形、星、渦巻きなどの形状を作成・編集できるウィザード「シェイプメーカー」など、レイアウトの新機能を追加した。

 また、レイアウト内のテキストを抜き出して表示できるワープロライクなウィンドウ「ストーリーエディタ」も新たに搭載した。レイアウト上では文字が小さかったり、複数のページにまたがっているような場合でも、テキストに集中できるとしている。レイアウト上のフォーマットに影響を与えずにテキストを編集できるため、QuarkXPress上で直接原稿を書くような場合にも役立ちそうだ。

 このほか、表の取り込みでExcelの最新形式である「.xlsx」に対応するなど、多数の機能強化も図っている。


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(永沢 茂)

2011/2/23 15:00