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AMD、出版分野における出版者への権利付与の動きに賛同を表明


 一般社団法人デジタルメディア協会(略称AMD)は7月4日、出版分野における出版者への権利付与について意見を表明。デジタルメディア普及の観点から、紙メディアと電子出版をはじめとした多メディア展開を円滑に進めるため、法制度を整備して出版者に出版に関する権利を付与する動きに対して、賛同の意を明らかにした。

 AMDでは1994年の設立以来、デジタルメディアの普及に向け活動を行っており、電子出版は重要なテーマのひとつとなっており、「出版委員会」を中心として活動してきた。また、電子出版分野も含めた著作権の保護に関しても、「著作権委員会」「ネットワーク・モバイル委員会」を中心として正規流通促進・不正流通対策に向けた活動を続けている。

 今回、第16回国際電子出版EXPO において、AMDも支援するオープンな電子出版の標準フォーマット「EPUB3」のコンファレンスが開催されるにあたり、電子出版を振興促進する立場からAMD の見解を公表することにしたという。

 AMDは、現在の日本の電子出版について、欧米では、出版行為が著作者と出版者との間の著作権の譲渡的契約に基づいて行われるため権利処理の問題が起こりにくく、新しいメディアへにも速やかな対応が可能であるのに対して、日本の電子出版は権利処理が遅れており、電子出版市場の立ち上がりの遅さにつながっているとして、日本でも著作者と出版社の権利処理の明確化が不可欠であると指摘。

 また、AMDは前述のように不正流通対策の活動を続けているが、不正流通対策は、非正規コンテンツを掲載・販売しているウェブサイトや販売者に対する削除要請や訴訟などの対応を継続的に行う必要があるが、現状の出版者はこうした対応を行うに必要な権利を保有していないため、個々にこうした対策についての委任契約を結ぶなど煩雑な作業が必要となり、結果的に不正流通対策の妨げになっている点も指摘した。

 AMDでは、今後デジタル・ネットワーク技術の進展により、マルチメディアコンテンツは、ネットワークのなかでボーンデジタルの融合コンテンツとして発表・流通がされていくことが考えられ、すでに一部そうした創作発表活動が始まっている状況も重視。

 現在の著作権法ではコンテンツの分野ごとに著作者と事業者に付与される権利に差異があるが、文字・音楽・映像・コンピュータプログラムなどが融合したボーンデジタルの無体コンテンツ時代に対応できるよう、出版に関しても他分野と同等の権利を出版者に付与することは、流通促進の観点から検討の価値があるとコメントしている。

 これらの現況を鑑みてAMDでは、「著作権者に有益であると出版者が判断した場合には、柔軟に出版活動を行うため、また、コンテンツの不正流通に対抗する活動を行えるための権利を出版者に付与することが、電子出版の促進に望ましく、デジタル・ネットワーク時代のコンテンツ流通にも対応できるものと考える」との意見を表明した。

 ただし、「出版者の権利はあくまでも著作権者の権利に準じ、健全な流通環境の実現のために付与されるべきものであり、著作権者の権利を不当に制限するものであってはならない」とも指摘している。



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(工藤 ひろえ)

2012/7/4 15:46