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YouTube、権利者の動画を識別する「コンテンツID」、ミラーイメージも逃さず


 グーグル株式会社は4日、動画共有サイト「YouTube」において、パートナー企業(権利者)の動画を識別するシステム「コンテンツID」を改善したと発表した。識別アルゴリズムの能力を向上させたほか、運用面の改善も行った。

 コンテンツIDは、権利者が自社の保有するコンテンツのサンプル映像をシステムにアップロードすることで、その映像の特徴を抜き出したIDファイル(フィンガープリント)が生成され、以降、YouTubeにアップロードされた動画に該当するものがないか自動的に検知する仕組み。該当する動画がアップロードされると権利者に通知され、権利者はその動画の扱いを決定できる。具体的には、公開させない「ブロック」、そのまま公開して利用状況を調査する「トラッキング」、同じく公開して広告を表示することで収益につなげる「マネタイズ」――の3つから選べる。

「コンテンツID」の仕組み

 IDファイルによるマッチング技術は、全く同じ映像にとどまらず、ブラウン管のテレビに映したものをビデオカメラで撮影したようなゆがんだ動画でも同一のものと識別できるようになっており、従来より継続して改良を重ねている。今回、さらにマッチング機能を大幅に改善させたという。詳しい技術は明らかにしていないが、動画を左右対称に反転させたミラーイメージに加工することで識別されるのを回避するような“既知の脆弱性”に対処したとしている。このほか、異なるアスペクト比やサイズへ変換した動画なども対応した模様だ。

マッチング可能な動画の例。左がオリジナル、右が投稿動画

改良したマッチング機能の例(一番上がミラーイメージの例)

 運用面での改善は2点ある。まず、権利者からの申し立てが無効である可能性がある場合に、これを手動で精査するプロセスを追加した。GoogleのYouTubeプロダクトマネージャーであるデービッド・ローゼンシュタイン氏によると、パートナーが間違って、権利を保有していないサンプル映像をアップロードし、他者の動画が影響を受ける事例があったという。今回、無効な可能性のある申し立てを発見した際に、パートナーの管理画面に確認を促すようにした。

 さらに、権利者から申し立てを受けた動画投稿者が利用できる新しい意義申し立てプロセスを追加した。従来より動画投稿者は、権利者に対して申し立てが無効であると主張できたが、権利者がこれを拒否すると、動画投稿者はマネタイズなどに対して異議を唱える権利はなかったという。これに対して今回より、動画投稿者が異議申し立てを行えるようにした。一方、動画投稿者から異議申し立てを受けた権利者は、当初の申し立てを取りやめるか、米国のDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づいた正式な通知を提出するか選ぶ必要がある。

GoogleのYouTubeプロダクトマネージャーであるデービッド・ローゼンシュタイン氏(ベルリンからビデオ会議で説明した)

 ローゼンシュタイン氏によると、コンテンツIDシステムを利用しているパートナーは世界で3000社以上。米国の主要なコンテンツ企業が使っているほか、アジア太平洋地域でも数百社のパートナーがおり、アップロードされたサンプル動画ファイルは1000万件以上、50万時間以上に上る。コンテンツIDシステムではこれを基に、毎日100年分の動画をスキャンしているという。

 これまでにコンテンツIDで識別され、権利者の申し立てを受けた動画は2億件以上。そのうちマネタイズが選択された動画が3分の1以上を占めるという。Googleでは当初、ブロックを選択するパートナーが多いと見込んでいたが、特に米国ではマネタイズが非常に多く、大手スタジオやレコードレーベルなどの収益源になっているとしている。


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(永沢 茂)

2012/10/4 19:49