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Androidスマホの紛失・盗難・マルウェア対策アプリ「Lookout」に2つの新機能

端末を拾った人に「お願い! 返して」と遠隔訴求も

 米Lookoutは28日、スマートフォンの紛失・盗難対策やマルウェア対策の機能を提供するセキュリティアプリ「Lookout」のAndroid版をアップデートし、紛失・盗難対策で2つの新機能を追加したと発表した。日本語版も用意されており、Google Playよりダウンロードできる。基本機能は無料で利用可能。端末のリモート管理などの付加機能を備えたプレミアム版は、月額250円または年額2500円。

 Lookoutの紛失・盗難対策機能としては従来より、アドレス帳のクラウドへのバックアップおよび元の端末へのデータ復元機能、PCなど他の端末から「Lookout.com」にログインすることで、端末の位置情報を検索してGoogle マップに表示する機能やリモート操作で端末から警報音を鳴らす「スクリーム」機能などが提供されていた。

 また、プレミアム版では、Lookout.com上からリモートで端末をロックしたりデータを消去できる機能もあるほか、バックアップ機能が通話履歴と写真データにも対応。あわせて、バックアップからのデータ復元も、元の端末だけでなく新しい端末にも行えるなど機能が強化されている。

 今回、紛失・盗難対策機能として追加されたのは、「ロックカメラ」機能と、端末のロック画面へのメッセージ表示機能だ。

「ロックカメラ」機能で送信される写真と位置情報
ロック画面へのメッセージ表示例

 ロックカメラでは、誰かが許可なく端末を操作しようとした際など、端末のロック画面で誤ったパスワードが3回入力されると、自動的にフロントカメラでその操作を行った人物の写真を撮影し、位置情報とともに持ち主にメール送信する機能だ。無料版・プレミアム版ともに搭載されたが、Android 2.3以上が必要。

 メッセージ表示機能は、例えば「お願い! この端末のは私のです! 返却していただけるようお願いします。」といったメッセージ(最大300文字)とともに、連絡先の電話番号やメールアドレスをロック画面に表示するものだ。端末を見つけた人が持ち主に連絡を取りやすくなるほか、さらに謝礼金についても言及すれば端末が戻ってくる確率が上がることも考えられるとしている。この機能はプレミアム版だけでの提供で、メッセージの入力はLookout.comのロック画面管理機能から行う。

ロック画面へのメッセージ入力画面

ユーザー3000万人のビッグデータでスマートフォンの脅威を検出

 Lookoutによると、同社のセキュリティアプリは170カ国・12言語で提供しており、2012年12月時点でユーザーが3000万人に達したという。日本語版は2012年2月にリリースし、それから1年間で100万ユーザーを獲得。英語版に次ぐ規模の利用があるとしてる。

 ウイルスやスパイウェア、不正アプリなどのマルウェア対策面では、今回は新機能の追加はなかったが、Lookoutではこうした世界規模のユーザーベースを生かし、スマートフォンを狙って日々発生している脅威を検出している。スキャン件数は1日あたり5億件に上り、100万種類のアプリをデータベース化しているという。ユーザーがアプリをダウンロードすると、Lookoutがアプリを構成要素に分解。その要素の中に悪質なコードが見つかると、他のアプリの要素ともパターン照合してモバイルマルウェアを特定していく仕組みだ。

 スマートフォンアプリにおける脅威の傾向としては、2011年第3四半期にはスパイウェアが67%を占めて最多だったが、2012年第2四半期には19%にまで低下。これに代わって、SMSメッセージなどを悪用して高額な料金を不正請求する詐欺アプリが62%を占めるまで増加した。人気のある正規のゲームアプリやユーティリティアプリのプログラムに、犯罪者が悪質なコードを追加(リパッケージ)して配布したり、アダルトアプリに悪質なコードがパッケージされて配布されている例が多いという。

 日本ではこうした高額料金を不正請求するスマートフォンアプリは目立っていないようだが、アドレス帳など端末内の個人情報を裏で収集する不正アプリは多く見つかっており、Lookoutでもそれら日本の不正アプリの検出に対応しているとしてる。

 なお、Lookoutでは処理が重い作業はすべてクラウド側で行っているため、端末のバッテリーとメモリに負担をかけないようになっているという。

 紛失・盗難対策の部分でも、バッテリーに配慮した機能を備えているのがLookoutの特徴という。バッテリーの消耗が激しくなる端末のGPS機能を通常はオフにしておき、リモートでオンにした上で位置を検索できるとしている。また、バッテリーの残量がわずかになった時に自動的に端末の位置を検索し、その位置情報を保存しておく「シングルフレア」という機能もあり、バッテリーが切れた場合にも端末を捜索する手がかりを提供する。

「ロックカメラ」「シグナルフレア」などのオン/オフ画面
「シグナルフレア」機能で送信される情報

日本におけるモバイルマルウェア感染率は比較的低いが……

 世界のLookoutの新規ユーザーにおけるモバイルマルウェア感染率は2012年10月時点で1.0%を超えた。国によって大きく差があり、ロシアでは40%という数字も出ているというが、日本は感染率が最も低い国の1つで、0.1%以下。

 一方、Lookout.comからの端末の位置検索は、世界3000万人のユーザーによって3秒に1回のペースで行われており、その内訳は紛失が87%、盗難が13%ほどだとしている。日本はモバイルマルウェアの感染率が低いとはいえ、スマートフォンのセキュリティ上の脅威はそれだけでなく、リスクの種類は異なるものの紛失・盗難という脅威も考慮しなければならない。

 Lookoutでは、「スマートフォンに入っている情報がどれだけ貴重なものかという認識は日本のユーザーは比較的高いが、それをどうやって保護していくかということに対する認識も持ってもらえれば」として、同社のセキュリティアプリをアピールしている。

「Lookout」起動画面
「Lookout」スキャン画面

(永沢 茂)