清水理史の「イニシャルB」

2026年はWi-Fiルーターも価格上昇か? 2025年の注目製品を振り返りつつ今年の展望を予想する
2026年1月5日 06:00
2025年は、Wi-Fi 7の普及が進んだ年だったと言える。各メーカーから、手ごろな価格の売れ筋の製品が発売され、さらに海外メーカーの新規参入も相次いだ。その一方で、心配されるのが、昨今のメモリ、ストレージ高騰の影響だ。2026年は、Wi-Fiルーターにも価格上昇の波が訪れる可能性がある。
2025年発売の新機種は30モデル以上!
「今年は、Wi-Fiルーターの新機種を紹介する機会が多かったなぁ」という実感はあったが、あらためて2025年に発売された主要な家庭用Wi-Fiルーターをリストアップしてみたところ、以下のように30モデル以上もあった。
| 発売月 | 製品 | 無線/有線最大速度 | 実売価格 |
| 1月 | TP-Link Archer GE550 | 5764+2882+574Mbps 5Gbps | 3万9402円 |
| TP-Link Archer AX300V | 2402+574Mbps 1Gbps | 7000円 | |
| TP-Link Archer BE700 | 11528+2882+688Mbps 10Gbps | 4万392円 | |
| 2月 | エレコム WRC-X1500GS2-B | 1201+300Mbps 1Gbps | 4464円 |
| エレコム WRC-X1800GS2-B | 1201+574Mbps 1Gbps | 4980円 | |
| 3月 | NECプラットフォームズ Aterm 7200D8BE | 5764+1376Mbps 10Gbps | 3万228円 |
| TP-Link Deco X3000 | 2402+574Mbps 1Gbps | 2万592円 (2ユニット) | |
| 4月 | バッファロー WSR3600BE4P | 2882+688Mbps 1Gbps | 1万980円 |
| エレコム WRC-BE94XSD-B | 5765+2882+688Mbps 10Gbps | 3万1150円 | |
| Xiaomi BE3600 Pro | 2882+688Mbps 2.5Gbps | 1万8000円 (2ユニット) | |
| TP-Link Archer BE400 | 5765+688Mbps 2.5Gbps | 1万6632円 | |
| ASUS RT-BE18000 | 11529+5764+688Mbps 10Gbps | 5万800円 | |
| 5月 | TP-Link Archer BE550 Pro | 5764+2882+1032Mbps 10Gbps | 2万5488円 |
| TP-Link Archer BE6500 | 5765+688Mbps 2.5Gbps | 1万4980円 | |
| 6月 | ZTE Sora AX3000 | 2402+574Mbps 1Gbps | 6631円 |
| ZTE Kumo AX3000 | 2402+574Mbps 1Gbps | 8531円 | |
| 7月 | Linksys Velop WRT Pro 7 | 5765+2883+591Mbps 2.5Gbps | 3万9800円 |
| TP-Link Archer BE450 | 5764+1376Mbps 10Gbps | 2万592円 | |
| エレコム WRC-BE36QSD-B | 2882+688Mbps 2.5Gbps | 1万3310円 | |
| 9月 | Ubiquiti UniFi Dream Router 7 | 5764+2882+688Mbps 10Gbps | 5万300円 |
| 10月 | TP-Link Archer BE3600 Pro | 2882+688Mbps 2.5Gbps | 1万2980円 |
| TP-Link Archer BE5000 | 4324+688Mbps 2.5Gbps | 1万4080円 | |
| TP-Link Deco BE22 | 2882+688Mbps 1Gbps | 2万5214円 | |
| バッファロー WSR6500BE6P | 5764+688Mbps 2.5Gbps | 1万8980円 | |
| ASUS ROG Strix GS-BE7200X | 5764+1376Mbps 10Gbps | 3万5152円 | |
| 11月 | TP-Link Archer GE230 | 2882+688Mbps 2.5Gbps | 1万4800円 |
| TP-Link Archer BE260 | 4324+688Mbps 2.5Gbps | 1万3320円 | |
| エレコム WRC-BE72XSD-B | 5764+1376Mbps 10Gbps | 2万680円 | |
| エレコム WRC-BE65QSD-B | 5764+688Mbps 2.5Gbps | 1万7108円 | |
| 12月 | ASUS TUF Gaming BE9400 | 5764+2882+688Mbps 2.5Gbps | 3万6162円 |
有線最大速度は、WAN/LANの中で最大の速度を記載
実売価格は2025年12月下旬時点、著者調べ
TP-Linkに至っては、新機種が発売されない月の方がめずらしいという状況で、上記のリストでも約半数がTP-Link製品となっている。「このモデルと、このモデルって何が違うんだ?」と迷うほど似た新製品も発売されている例もあり、豊富なバリエーションをそろえられる企業としての体力に驚かされる。
その一方で、国内メーカーは方針が分かれた。比較的、積極的に新製品をリリースしたのがエレコムとバッファロー、控えめだったのがNECプラットフォームズとアイ・オー・データ機器となった。
NECプラットフォームズに関しては、市販の製品は少ないものの、回線事業者向けの製品のシェアが高いという状況だが、アイ・オー・データ機器は2025年発売の新製品はゼロとなった。競争の激しい市場で、各社の戦略に大きな違いが出た印象だ。
価格も二極化
2025年には、各社で新製品のリリースペースが二極化しただけでなく、製品の価格面にも二極化の傾向が見られた。
エントリー向けモデルで激しい価格競争を繰り広げているのは、TP-Linkとエレコムだ。Amazonのセールのたびに、どちらがWi-Fi 7最安の価格を付けたのかチェックするのが楽しみなのだが、TP-LinkのArcher BE220(2882+688Mbps/1Gbps)とエレコムのWRC-W701-B(2882+688Mbps/2.5Gbps)を筆頭に、エレコムはかなりTP-Linkを意識した低価格戦略をしている。なるべく安い製品やコスパの高い製品が欲しいというユーザーは、現状、TP-Linkとエレコムの製品に注目するといいだろう。
こうした価格競争を避け、品質や信頼性、付加価値で戦うのが、NECプラットフォームズやASUSだ。この2メーカーは、「信頼性重視」「性能重視」で指名買いするファンが多いため、無理に価格競争する必要がない状況にある。
残りのバッファローは、この二極化する状況を冷静に見ている印象で、最安を争うほどではないが、競合に対して少し高い程度の価格のモデルをラインアップしている。ただ、方向性としては、品質や信頼性を重視する方向と考えていいだろう。
価格上昇? 調達力がモノを言う時代へ
Wi-Fi 7ルーターの低価格化が2025年には大幅に進み、われわれ消費者にとってはうれしい状況だった。が、これが今後も続くとは考えにくい。むしろ、価格について考えると、2026年は厳しい時代になると予想される。
すでに、PCの分野ではメモリとストレージの高騰が大きな問題となっており、今後安くなる見通しすら厳しいという意見もあるが、同じ状況がWi-Fiルーターにも訪れる可能性がある。
もちろん、現状のWi-Fi 7ルーターで採用されているメモリはDDR4がメインで、容量も512MB~2GBとさほど多くない。ストレージも256MBほどで済む。このため、価格が上昇したとしても、PCなどに比べればその幅は小さいだろう。
しかし、現状のメモリ市場やストレージ市場の価格上昇は異常で、実際に「Wi-Fiルーターでも、メモリやストレージ高騰の影響がある」という声も筆者の耳に入ってきている。
2026年は、Wi-Fiルーターの価格が上昇していく可能性が高く、2025年ほどの激しい価格競争は見られなくなる可能性があるばかりか、徐々に価格が上昇していくと予想される。
TP-LinkやASUSのようにグローバルで大量にメモリやストレージを調達できるメーカーであれば、値上げ幅を吸収できる可能性はあるが、国内メーカーが真正面から価格で戦うのは、今後、難しいと予想される。
このため、各メーカーとも、2026年は高付加価値製品のラインアップを充実させていくのではないかと予想される。具体的には、新たなセキュリティ基準となる「JC-STAR」への対応なども考えられるが、個人的にはシンプルにスペックを追求したハイエンドモデルが充実してくるのではないかと予想する。
2025年までで、エントリーからミドルレンジのお手頃価格の製品が出そろったので、もう一度、原点に戻ってWi-Fi 7のパフォーマンスや機能性に着目したハイエンドモデルに回帰することが考えられる。
実際、Wi-Fi 7ルーターの初期モデル(バッファローのWXR-18000BE10PやTP-LinkのArcher BE900)が登場したのが2024年なので、そろそろモデルチェンジしてもいい時機と言える。
せっかくWi-Fi 7にするなら、トライバンド、4ストリーム、10Gbps対応と、高性能な製品が欲しいという人も少なくないはずだ。その場合は、2026年発売の製品に注目してみるといいだろう。
有線の高速化も加速
また、冒頭で掲示した2025年発売の新製品を見ると、多くの製品が10Gbpsや2.5Gbpsの有線LANに対応していることがわかる。PCの有線LANポートも2.5Gbpsが一般的になってきた状況を考えると、2.5Gbps以上のネットワーク環境が、より普及することが予想される。
例えば、2025年12月にエレコムから2.5Gbps対応の5ポートスイッチ「EHC-Q05MA2-HB」が発売されたが、この実売価格は税込みで6000円前後と、国内メーカー製品としてはかなり安い。こうした製品の登場によって、2.5Gbpsネットワークがより広い層に普及することが予想される。
個人的には、Realtekの新世代チップによって10Gbps化がもっと進むと予想していたが、USB接続の10Gbps対応LANアダプターなど、思ったほどバリエーションも増えず、価格が下がってこないので、10Gbps化はもう少し先になりそうな印象だ。
ちなみに、NTT東日本が2026年3月から25Gbpsの「フレッツ 光25G」の提供を開始すると発表した。まだ一部地域のみの限定的なサービスだが、もしかすると2026年3月のタイミングで25Gbpsに対応したWi-Fiルーターが登場する可能性もある。このあたりも、前述したWi-Fiルーターのハイエンドモデルに注目する理由のひとつとなりそうだ。
エントリーからミドルのWi-Fiルーターはお買い得
以上、2025年のWi-Fiルーターの状況をおさらいしつつ、2026年の状況を予測してみた。大きな課題になりそうなのは、やはり価格だろう。
個人的には、2025年発売製品の中でも、1万円前後のエントリークラス(2882+688Mbpsの2ストリームモデル)から、2万円以下のミドルレンジ(5764+688Mbpsの4ストリーム)のWi-Fiルーターに関しては、値段が上がる前に買っておいても損はないのではないかと思う。
ハイエンドクラスは、2026年の状況を見てからでも遅くはないと思うが、ミドルレンジ以下は今が買い時と言ってもいい。今後、価格が上昇するかどうは、まだわからないが、今より下がる要因も少ないので、欲しいなら買っておくべきだ。









