清水理史の「イニシャルB」

2026年はWi-Fiルーターも価格上昇か? 2025年の注目製品を振り返りつつ今年の展望を予想する

2026年はWi-Fiルーターも価格が上昇する可能性がある

 2025年は、Wi-Fi 7の普及が進んだ年だったと言える。各メーカーから、手ごろな価格の売れ筋の製品が発売され、さらに海外メーカーの新規参入も相次いだ。その一方で、心配されるのが、昨今のメモリ、ストレージ高騰の影響だ。2026年は、Wi-Fiルーターにも価格上昇の波が訪れる可能性がある。

2025年発売の新機種は30モデル以上!

 「今年は、Wi-Fiルーターの新機種を紹介する機会が多かったなぁ」という実感はあったが、あらためて2025年に発売された主要な家庭用Wi-Fiルーターをリストアップしてみたところ、以下のように30モデル以上もあった。

発売月製品無線/有線最大速度実売価格
1月 TP-Link
Archer GE550
5764+2882+574Mbps
5Gbps
3万9402円
TP-Link
Archer AX300V
2402+574Mbps
1Gbps
7000円
TP-Link
Archer BE700
11528+2882+688Mbps
10Gbps
4万392円
2月 エレコム
WRC-X1500GS2-B
1201+300Mbps
1Gbps
4464円
エレコム
WRC-X1800GS2-B
1201+574Mbps
1Gbps
4980円
3月 NECプラットフォームズ
Aterm 7200D8BE
5764+1376Mbps
10Gbps
3万228円
TP-Link
Deco X3000
2402+574Mbps
1Gbps
2万592円
(2ユニット)
4月 バッファロー
WSR3600BE4P
2882+688Mbps
1Gbps
1万980円
エレコム
WRC-BE94XSD-B
5765+2882+688Mbps
10Gbps
3万1150円
Xiaomi
BE3600 Pro
2882+688Mbps
2.5Gbps
1万8000円
(2ユニット)
TP-Link
Archer BE400
5765+688Mbps
2.5Gbps
1万6632円
ASUS
RT-BE18000
11529+5764+688Mbps
10Gbps
5万800円
5月 TP-Link
Archer BE550 Pro
5764+2882+1032Mbps
10Gbps
2万5488円
TP-Link
Archer BE6500
5765+688Mbps
2.5Gbps
1万4980円
6月 ZTE
Sora AX3000
2402+574Mbps
1Gbps
6631円
ZTE
Kumo AX3000
2402+574Mbps
1Gbps
8531円
7月 Linksys
Velop WRT Pro 7
5765+2883+591Mbps
2.5Gbps
3万9800円
TP-Link
Archer BE450
5764+1376Mbps
10Gbps
2万592円
エレコム
WRC-BE36QSD-B
2882+688Mbps
2.5Gbps
1万3310円
9月 Ubiquiti
UniFi Dream Router 7
5764+2882+688Mbps
10Gbps
5万300円
10月 TP-Link
Archer BE3600 Pro
2882+688Mbps
2.5Gbps
1万2980円
TP-Link
Archer BE5000
4324+688Mbps
2.5Gbps
1万4080円
TP-Link
Deco BE22
2882+688Mbps
1Gbps
2万5214円
バッファロー
WSR6500BE6P
5764+688Mbps
2.5Gbps
1万8980円
ASUS
ROG Strix GS-BE7200X
5764+1376Mbps
10Gbps
3万5152円
11月 TP-Link
Archer GE230
2882+688Mbps
2.5Gbps
1万4800円
TP-Link
Archer BE260
4324+688Mbps
2.5Gbps
1万3320円
エレコム
WRC-BE72XSD-B
5764+1376Mbps
10Gbps
2万680円
エレコム
WRC-BE65QSD-B
5764+688Mbps
2.5Gbps
1万7108円
12月 ASUS
TUF Gaming BE9400
5764+2882+688Mbps
2.5Gbps
3万6162円

有線最大速度は、WAN/LANの中で最大の速度を記載
実売価格は2025年12月下旬時点、著者調べ

 TP-Linkに至っては、新機種が発売されない月の方がめずらしいという状況で、上記のリストでも約半数がTP-Link製品となっている。「このモデルと、このモデルって何が違うんだ?」と迷うほど似た新製品も発売されている例もあり、豊富なバリエーションをそろえられる企業としての体力に驚かされる。

TP-Linkは新製品が次から次へと登場した

 その一方で、国内メーカーは方針が分かれた。比較的、積極的に新製品をリリースしたのがエレコムとバッファロー、控えめだったのがNECプラットフォームズとアイ・オー・データ機器となった。

 NECプラットフォームズに関しては、市販の製品は少ないものの、回線事業者向けの製品のシェアが高いという状況だが、アイ・オー・データ機器は2025年発売の新製品はゼロとなった。競争の激しい市場で、各社の戦略に大きな違いが出た印象だ。

価格も二極化

 2025年には、各社で新製品のリリースペースが二極化しただけでなく、製品の価格面にも二極化の傾向が見られた。

 エントリー向けモデルで激しい価格競争を繰り広げているのは、TP-Linkとエレコムだ。Amazonのセールのたびに、どちらがWi-Fi 7最安の価格を付けたのかチェックするのが楽しみなのだが、TP-LinkのArcher BE220(2882+688Mbps/1Gbps)とエレコムのWRC-W701-B(2882+688Mbps/2.5Gbps)を筆頭に、エレコムはかなりTP-Linkを意識した低価格戦略をしている。なるべく安い製品やコスパの高い製品が欲しいというユーザーは、現状、TP-Linkとエレコムの製品に注目するといいだろう。

TP-Linkとエレコムのエントリーモデルは、激しい価格競争を繰り広げている

 こうした価格競争を避け、品質や信頼性、付加価値で戦うのが、NECプラットフォームズやASUSだ。この2メーカーは、「信頼性重視」「性能重視」で指名買いするファンが多いため、無理に価格競争する必要がない状況にある。

 残りのバッファローは、この二極化する状況を冷静に見ている印象で、最安を争うほどではないが、競合に対して少し高い程度の価格のモデルをラインアップしている。ただ、方向性としては、品質や信頼性を重視する方向と考えていいだろう。

NECプラットフォームズやASUSは、価格競争と一線を置いている

価格上昇? 調達力がモノを言う時代へ

 Wi-Fi 7ルーターの低価格化が2025年には大幅に進み、われわれ消費者にとってはうれしい状況だった。が、これが今後も続くとは考えにくい。むしろ、価格について考えると、2026年は厳しい時代になると予想される。

 すでに、PCの分野ではメモリとストレージの高騰が大きな問題となっており、今後安くなる見通しすら厳しいという意見もあるが、同じ状況がWi-Fiルーターにも訪れる可能性がある。

 もちろん、現状のWi-Fi 7ルーターで採用されているメモリはDDR4がメインで、容量も512MB~2GBとさほど多くない。ストレージも256MBほどで済む。このため、価格が上昇したとしても、PCなどに比べればその幅は小さいだろう。

ASUS RT-BE92Uのスペックシート。ストレージは256MB、メモリは2GB

 しかし、現状のメモリ市場やストレージ市場の価格上昇は異常で、実際に「Wi-Fiルーターでも、メモリやストレージ高騰の影響がある」という声も筆者の耳に入ってきている。

 2026年は、Wi-Fiルーターの価格が上昇していく可能性が高く、2025年ほどの激しい価格競争は見られなくなる可能性があるばかりか、徐々に価格が上昇していくと予想される。

 TP-LinkやASUSのようにグローバルで大量にメモリやストレージを調達できるメーカーであれば、値上げ幅を吸収できる可能性はあるが、国内メーカーが真正面から価格で戦うのは、今後、難しいと予想される。

 このため、各メーカーとも、2026年は高付加価値製品のラインアップを充実させていくのではないかと予想される。具体的には、新たなセキュリティ基準となる「JC-STAR」への対応なども考えられるが、個人的にはシンプルにスペックを追求したハイエンドモデルが充実してくるのではないかと予想する。

 2025年までで、エントリーからミドルレンジのお手頃価格の製品が出そろったので、もう一度、原点に戻ってWi-Fi 7のパフォーマンスや機能性に着目したハイエンドモデルに回帰することが考えられる。

 実際、Wi-Fi 7ルーターの初期モデル(バッファローのWXR-18000BE10PやTP-LinkのArcher BE900)が登場したのが2024年なので、そろそろモデルチェンジしてもいい時機と言える。

 せっかくWi-Fi 7にするなら、トライバンド、4ストリーム、10Gbps対応と、高性能な製品が欲しいという人も少なくないはずだ。その場合は、2026年発売の製品に注目してみるといいだろう。

2024年1月に発売されたバッファローのWXR-18000BE10P

有線の高速化も加速

 また、冒頭で掲示した2025年発売の新製品を見ると、多くの製品が10Gbpsや2.5Gbpsの有線LANに対応していることがわかる。PCの有線LANポートも2.5Gbpsが一般的になってきた状況を考えると、2.5Gbps以上のネットワーク環境が、より普及することが予想される。

 例えば、2025年12月にエレコムから2.5Gbps対応の5ポートスイッチ「EHC-Q05MA2-HB」が発売されたが、この実売価格は税込みで6000円前後と、国内メーカー製品としてはかなり安い。こうした製品の登場によって、2.5Gbpsネットワークがより広い層に普及することが予想される。

 個人的には、Realtekの新世代チップによって10Gbps化がもっと進むと予想していたが、USB接続の10Gbps対応LANアダプターなど、思ったほどバリエーションも増えず、価格が下がってこないので、10Gbps化はもう少し先になりそうな印象だ。

 ちなみに、NTT東日本が2026年3月から25Gbpsの「フレッツ 光25G」の提供を開始すると発表した。まだ一部地域のみの限定的なサービスだが、もしかすると2026年3月のタイミングで25Gbpsに対応したWi-Fiルーターが登場する可能性もある。このあたりも、前述したWi-Fiルーターのハイエンドモデルに注目する理由のひとつとなりそうだ。

エレコムの5ポート2.5Gbps対応スイッチ。実売6000円前後と、新興中国ブランドと真っ向勝負できる価格を実現した
Realtekから新世代の10Gbps対応チップが登場したが、まだ価格は高い。今後に期待

エントリーからミドルのWi-Fiルーターはお買い得

 以上、2025年のWi-Fiルーターの状況をおさらいしつつ、2026年の状況を予測してみた。大きな課題になりそうなのは、やはり価格だろう。

 個人的には、2025年発売製品の中でも、1万円前後のエントリークラス(2882+688Mbpsの2ストリームモデル)から、2万円以下のミドルレンジ(5764+688Mbpsの4ストリーム)のWi-Fiルーターに関しては、値段が上がる前に買っておいても損はないのではないかと思う。

 ハイエンドクラスは、2026年の状況を見てからでも遅くはないと思うが、ミドルレンジ以下は今が買い時と言ってもいい。今後、価格が上昇するかどうは、まだわからないが、今より下がる要因も少ないので、欲しいなら買っておくべきだ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。YouTube「清水理史の『イニシャルB』チャンネル」で動画も配信中