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世界の電子書籍市場は楽天とAmazonの戦いになる――三木谷社長が大きな自信

 楽天株式会社は2日、2013年度第2四半期(4〜6月)の連結決算を発表した。売上高は1277億3200万円(前年同期比39.7%増)、営業利益は246億6500万円(同28.9%増)。

楽天株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長

 主な事業の業績は、「インターネット金融」セグメントが、売上高517億円(前年同期比同75.6%増)、営業利益115億円(同183.3%増)。「インターネットサービス」セグメントのうち、楽天市場・楽天トラベルが売上高414億円(同17.9%増)、営業利益201億円(同9.0%増)。その他のインターネットサービスが売上高318億円(同32.6%増)、営業損失が83億円。

 利益が大きく伸長したインターネット金融事業では今期、テレビCMやポイントキャンペーンにより「楽天カード」の会員獲得が加速。売上高・営業利益ともに順調に増加した。楽天証券では顧客の取引が活発化したことで、売上高は前年同期の3倍、営業利益は同8倍に拡大したという。

 楽天市場のEC事業も売上高・営業利益ともに高成長率を維持しており、今期連結となったスタイライフを除いた営業利益率は54.8%になる。国内EC流通総額は4130億円(前年同期比17.1%増)、ユニーク購入者数は1353万人(同12.7%増)、注文件数は5766万件(同15.2%増)だった。スマートフォンやタブレット端末などからの利用が増加しており、これらスマートデバイス経由の流通総額は前年同期比で48.4%増加したとしている。

 一方で、その他のインターネットサービスが営業赤字を出しているが、これは電子書籍事業のkoboがまだ初期投資の段階にあるためだ。koboのサービスは世界190カ国で展開しており、ユーザー数は1500万人、タイトル数は350万タイトルを超えるという。世界におけるコンテンツ収益は前年同期比で40.5%増加。また、日本におけるコンテンツ取扱高も販促キャンペーンなどが奏功し、2013年1月〜7月で160.4%の成長を示しているものの、まだ大きな利益を生み出すまでに至っていない。

 2日に行われた決算説明会では、その他のインターネットサービスにおける80億円あまりの赤字について、複数のアナリストらから繰り返し質問が挙がった。この状態がしばらく続くのか、改善するのか、それともさらに巨額の投資を電子書籍事業に対して行うのか、その方針を問うものだ。

 これについて楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、koboの赤字のピークは今年がピークになるのではないかと回答。「第3四半期がどうなるかは分からないが、いったん損益分岐点に到達すれば、非常に大きな利益が出る。いつ利益が出始めるか予測するのは難しいが、仮に電子書籍端末を売るのをやめればすぐに利益が出る。デバイス中心のビジネスモデルから、アプリ中心のビジネスモデルに移行しつつある。そうすればハードウェアに対する投資をしなくても済むようになるため、来年からでも利益が出る」とした。

 また、電子書籍事業は、第4四半期には北米・欧州のクリスマス商戦で大きなビジネスが期待できるとし、「赤字が大幅に減るとは言わないが、我々としてはしっかりとコントロールしていきたい」と述べた。

 さらに、数年後の電子書籍事業について大きな自信を示す。三木谷氏は、グローバルの出版市場は3000億ドルの巨大な市場だと指摘。一方、米国では2016年までに出版の7割がデジタルになるとみられることから、グローバルでの電子書籍市場は2000億ドルという非常に大きな規模になるとした上で、競合サービスについて言及する。

 「楽天、Amazon、Google、そしておそらくAppleが、この市場で残ってくるプレイヤーだと思うが、多分、AppleとGoogleは電子書籍ではうまくいかないのではないか。つまり、この2000億ドルの市場において、楽天とAmazonの戦いになるだろう。」

 三木谷氏はまた、電子書籍事業が他のコンテンツと比べても利益率が高いことも挙げる。音楽や動画は業界の構造によって利益を出すのが難しいのに対して、電子書籍はデジタルコンテンツの中で唯一、利益を出せるビジネスだと思っているという。「だからこそ我々は、電子書籍に関しては、日本だけではなくグローバルでの展開を行っている。だからこそ我々は投資をしており、まだ初期段階のために投資が必要だが、国によっては黒字を出している国もある」と説明した。

 さらに「将来は利益を生むビジネスだということ、市場が大きいということ」を強調。「もちろん戦略は精査していく必要があるが、私も非常に自信を持っている」とした上で、「2社の戦いになる。おそらくほかの会社はグローバルに展開できないために撤退すると思う。やはり、電子書籍のビジネスに関してはグローバルに展開する必要がある」とした。

(永沢 茂)