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有名店の弁当宅配「ごちクル」運営会社が10億円調達、全国展開本腰

 法人向け弁当・ケータリング宅配サービス「ごちクル」を運営するスターフェスティバル株式会社は5日、株式会社ジャフコを引受先とする第三者割当増資などにより総額10億円の資金調達を行うと発表した。今後は主要提供エリアである関東圏や、サービス強化中の関西、中部、九州に加えて、北海道から沖縄まで本格的に全国展開する。

 ごちクルは700円以下の低価格弁当から、ミシュランガイドで星を獲得した京料理の「たん熊」、仙台に本店を構える牛たん専門店「利久」、昭和6年創業の老舗洋食屋「たいめいけん」といった有名店の弁当までを注文できるモール型宅配サイト。出店数は210店舗、弁当は4000種類を超え、毎月10〜15店舗のペースで増えている。

ごちクル

「ここでしか味わえない商品」で差別化、実店舗の売上を超える弁当も

 見た目は一般的なモール型宅配サイトと似ているが、裏側の仕組みが異なる。一般的な宅配サイトは受注のみを行うが、ごちクルは「飲食店がデリバリーに参入するために必要なすべての機能」(ごちクル本部長の濱野亜紀氏)を提供するのが特徴だ。店舗の月額出店料は不要で、弁当の製造以外の商品開発や販売促進、受注、配送もごちクルがカバーする。

 ごちクルの収益は、弁当の販売額に応じて店舗から受け取る手数料。一方、飲食店としては、深夜や朝など営業外の空き時間に弁当を作ることで、売上を拡大できる。さらに、弁当の注文は2日前正午が締め切りとなっているため、食材を無駄にするリスクが大幅に減ることもメリット。

 例えば、過去にデリバリーをしていなかった利久は、ごちクルと弁当を共同開発。今ではごちクル経由の月間売上高が2000万円を突破し、ランチタイムの店舗の売上を超えるまでに成長した。濱野氏は「通常はデリバリーはやらないような店舗も出店していただいていて、ここでしか味わえない弁当がそろっている」と話す。

ごちクル本部長の濱野亜紀氏。背景にある笹は、同社が創業したのが七夕の日(英語でStar Festival)だったことにちなんだもの。社員や来客者が短冊に願い事を書いている

 スターフェスティバルは、楽天で「楽天デリバリー」や「楽天イーグルス」の立ち上げに参加した岸田祐介氏が2009年7月に設立。6月には弁当の実食数が300万食を突破し、現在は毎月15万食のペースで増えている。前期(2012年7月から2013年6月まで)の取扱高は21億円に上り、「前年同月比300%の伸びで毎月推移している」(濱野氏)。

 主要提供エリアの関東圏に加えて、関西や中部、九州、東北エリアでも順次サービスを拡大中。今回の資金調達では全国展開に必要なインフラを強化するとともに、大阪・名古屋・福岡以外にも支社を開設する予定。47都道府県で有名店の弁当が食べられる流通網を整備したいという。

(増田 覚)