ニュース

SmartNews、天気予報や野球速報を配信〜乱立するニュースアプリの勝算は

 株式会社ゴクロは29日、スマートフォン向けニュース閲覧アプリ「SmartNews」において、地域別の天気予報やプロ野球試合速報、記念日や著名人の誕生日を表示する「今日は何の日」の配信を開始した。画面上部に設けた「スマートパネル」からアクセスでき、いずれのコンテンツも再読み込みすることなくリアルタイムに更新される。Androidアプリの最新バージョン「1.5.0」で利用可能。iOSアプリは近日中に対応する。

天気予報
プロ野球試合速報

 SmartNewsは「エンタメ」「スポーツ」「グルメ」などのチャンネルの中から読みたいトピックスを選べるニュース閲覧アプリ。Twitterに投稿されるウェブページをリアルタイムに解析し、話題の記事をピックアップして配信している。オフライン環境でも事前にダウンロードした記事を閲覧できる「Smartモード」や、1日最大3回のヘッドライン通知機能、SNSへの投稿機能も備える。

 8月には、特定の媒体の記事を表示する「チャンネルプラス」を開設。「Impress Watch」や「Engadget 日本版」など合計16媒体に対応しており、SmartNewsがピックアップした記事だけでなく、ユーザーが指定した媒体の記事を閲覧できるようにした。チャンネルプラスで各媒体を登録したユーザーは延べ120万人に上るという。SmartNews全体のユーザー数は非公表。

SmartNewsの概要
SmartNewsの閲覧モード

SmartNewsをウェブメディアの「ビジネスの話」に

 4月には、株式会社アットマーク・アイティを2000年に創業し、アイティメディア株式会社の代表取締役会長を務めた藤村厚夫氏が執行役員としてゴクロに参画。その後は、藤村氏を中心に媒体との協業を強化してきた。「SmartNewsにおけるアクセスログを媒体に提供したり、媒体が指定する広告をSmartモードのページに掲載できるようにする改修作業を進めている」(藤村氏)。

 媒体の広告をSmartモードに掲載する背景には、「広告ビジネスのマイナス要素になる」という媒体社からの指摘がある。「我々としては媒体社のビジネスをスポイルするつもりはなく、『ビジネスの場』としてSmartモードを見てもらえる仕組みを考えている。Smartモードではリアルタイムに広告を読み込むのは難しいが、一部ではバナー広告を貼っている媒体もあり、非同期でも配信できるようにしたい。指定したアドネットワークの広告を貼る仕組みも検討している」。

 SmartNewsの主な収益源は「まだ確定していない」(藤村氏)が、広告モデルと課金モデルを視野に入れている。前者は「媒体社と競合しない範囲」でSmartNews内に独自の広告を掲載する。後者はチャンネルプラス内で媒体の記事を有料配信し、媒体社と収益を折半することを検討する。とはいえ、具体的な収益化については2014年以降に取り組む予定だという。

ゴクロ執行役員の藤村厚夫氏
ゴクロ代表取締役の浜本階生氏

 主要なニュースサイトの記事を閲覧できるスマートフォン向けアプリとしては、Yahoo! JAPANが手がける「Yahoo!トピックス」のほか、個人の趣味や嗜好に応じた記事を配信する「Gunosy」、ニュースの要点を60〜75字程度にまとめて配信する「LINE NEWS」、GREEの「GREE NEWS」など参入が相次いでいる。群雄割拠のニュースアプリ市場だが、ゴクロ代表取締役の浜本階生氏は勝算を次のように語る。

 「LINE NEWSは、スタッフが人力でニュースをまとめて配信している。一方、SmartNewsはツイート数の伸びが大きい話題を自動的に収集して配信している。検索エンジンの分野ではGoogleのロボット型検索が、人力で情報を整理するYahoo! JAPANのディレクトリ型検索に取って代わったが、ニュースアプリの市場でも同じことが言えるはず。人力で配信するアプリと比べ、SmartNewsは話題のニュースの『漏れ』がないのが強み。また、Gunosyは『はてなブックマーク』やRSSリーダーを愛用するネットユーザーを対象にしているため、スマホを使うすべての人を対象にするSmartNewsの競合にはならないと考えている。」

(増田 覚)