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デジタル教科書の共通プラットフォーム開発、光村・山川・数研ら12社が集結

 教科書会社12社と株式会社日立ソリューションズは5日、デジタル教科書の共通プラットフォーム開発に向け、コンソーシアム「CoNETS(Connecting to the Next Education for Teachers and Students、コネッツ)」を発足したと発表した。

5日に都内で開催した記者発表会には、教科書会社12社の社長と日立ソリューションズの代表が出席した。前列中央が、CoNETSの代表を務める常田寛氏(光村図書出版代表取締役社長)

 デジタル教科書は従来、端末のOSごとに対応製品を教科書会社が開発する必要があったほか、教科書会社や教科によってユーザーインタフェイス(UI)が異なるため、利用者にとって操作性にネックがあったという。

 これに対してCoNETSでは、マルチOSで動くデジタル教科書専用ビューアーを用意し、そのビューアー上で各社・各教科のデジタル教科書を統一したUIで使用できるようにする。教科書会社はOSごとにデジタル教科書を用意する必要がなくなる。一方、生徒・児童にとっては、複数教科のみならず、学年や学校が上がっても慣れたUIで戸惑うことなくデジタル教科書を使えるとしている。

 CoNETSの共通プラットフォームで提供するデジタル教科書のフォーマットはEPUB3をベースとし、これに教科書に必要な独自の拡張を行った仕様とする。具体的には、画像の拡大機能、弱視者のための機能、特別支援教育に対応する機能(総ルビ表示、白黒反転表示など)、著作権保護のための暗号化機能などを拡張する。ただし、あくまでもEPUB3がベースのため、CoNETSの専用ビューアーではデジタル教科書のほか、一般のEPUB3コンテンツも閲覧可能。対応するOS/端末はWindows 8/7とiPadを予定しており、学校現場での普及状況を見ながらAndroidについても検討する。

 CoNETSのデジタル教科書では、バインダー機能により、書き込みなどを保存しておけるほか、例えば算数の計算問題部分をバインダーにコピーし、繰り返し練習することも可能。英語の教科書では音声を再生したり、選択した単語の発音を確認できる機能も提供する。また、社会の教科書に登場する地名から地図帳にリンクしたり、あるいは別の教科の教科書にリンクするといった教科をまたいだ連携も可能。各生徒・児童が撮影した生き物などの写真を教師の端末に転送し、クラスで観察結果をまとめるといった協働学習も簡単に行えるとしている。

デジタル教科書専用ビューアーのトップ画面
国語のデジタル教科書の例
特別支援教育に対応する白黒反転表示機能
算数の計算問題を繰り返し行った結果や先生による添削がバインダーに保存される
社会の教科書(左)から音楽の教科書(右)に連携する例
理科の協働学習の例

 今後のスケジュールは、2015年4月に小学校の教科書が改訂されるのに合わせて小学校用を提供開始。その後、2016年に中学校用、2017年に高等学校用をリリースする予定。

 CoNETSに参画する教科書会社は、大日本図書株式会社、実教出版株式会社、開隆堂出版株式会社、株式会社三省堂、株式会社教育芸術社、光村図書出版株式会社、株式会社帝国書院、株式会社大修館書店、株式会社新興出版社啓林館、株式会社山川出版社、数研出版株式会社、日本文教出版株式会社の12社。

 日立ソリューションズでは共通プラットフォームの開発を担当。専用ビューアーのほか、デジタル教科書の更新をタイムリーに提供するクラウド側の配信システムも用意する。

(永沢 茂)