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Torへの接続ユーザー急増はボットネットが原因、開発元が見解を公表

 匿名ネットワーク「Tor」への接続ユーザーが急増している問題について、開発元のTor Projectではボットネットが原因の可能性が高いとして、対策を実施することを明らかにした。

 Tor Projectが公表しているTorネットワークへの接続ユーザーは、最近1年ほどは50万ユーザー前後で推移していたが、8月20日ごろからユーザー数が急激に増加。9月4日には約350万ユーザーに達していた。

 Tor Projectでは公式ブログで、新しく増えたユーザーがどこから来たのかについては、現時点ではボットネットである可能性が最も高いと説明。ユーザーが増え始めた当初は、シリアやロシア、米国などいくつの国で、活動家やジャーナリストなどがTorを一斉に使い始めたのではないかという推測もあったが、このような増加はそれだけではありえないとして、なんらかの新しいソフトウェアにTorのクライアントがバンドルされ、何百万台ものコンピュータにインストールされた結果だろうと推測している。

 また、こうしてインストールされたTorクライアントは、ウェブサイトなど外部へのトラフィックとしてTorネットワークを使用しているようには見えず、隠れたサービスにアクセスしている兆候が見られると指摘。これらの状況から、クライアント急増の原因がボットネットであると仮定すると、Torネットワーク上でボットネットのC&Cサーバー(司令サーバー)が運用されているというのが妥当な解釈だと分析している。

 Tor Projectでは、こうしたボットネットがTorネットワークに影響を及ぼさないための取り組みを行っているとして、古いバージョンのTorクライアントからの接続を拒否する方法や、新バージョンとなるバージョン0.2.4のリリース候補版を公開したことなどを紹介している。

(三柳 英樹)