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ひかりTV、事業展開説明会~4Kトライアル、DL視聴、DCTP-IP対応など
~上期コンテンツは「神撃の巨人」と「半沢直樹」が大人気
(2013/10/21 17:54)
株式会社NTTぷららは10月21日、「ひかりTV」の現状と今後の事業展開について説明会を開催。10月21日発表の「NHKワールドTV」24時間配信や学生が制作したゲームコンテンツを配信するスキームのほか、2013年下半期に予定する4Kコンテンツのトライアル配信、コンテンツのダウンロード配信開始、タブレットやスマホ向けのECサービス「かたろぐマーケット(仮称)の開始など、新サービスへの取り組みを説明した。
9月末の会員数263万人、コンテンツでは「進撃の巨人」と「半沢直樹」が人気
株式会社NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二氏は、「ひかりTV」会員数は、2013年9月末で263万会員となり、2013年4~9月の上期で18万の純増となったが、光回線加入者の伸びが鈍化する中で今後の課題として、「スマホユーザー、PCユーザーを取り込んでいくこと」を挙げた。
9月末のコンテンツ数はテレビ94チャンネルでうちHD化率は85%。ビデオ約3万本でうち見放題8000本、歌い放題のカラオケ約3万曲、遊び放題のゲームは約50タイトル、聴き放題の音楽約120万曲以上、アプリ約110タイトル、電子書籍は約9万1000冊、ショッピングは約2万点を取り扱う。「テレビ向けのコンテンツでこれだけ多彩なサービスが利用できるサービスはあまり例がないのではないか。」(板東社長)
2013年上期のVOD視聴は1カ月あたり約2600万回に達し、見放題コンテンツのランキングでは、アニメで「進撃の巨人」、ドラマでは「三国志 Threee Kingdoms」、映画・バラエティでは「内村さまぁ~ず」がそれぞれトップとなった。
8月はVOD視聴が月間2600万回で過去最高となった。夏休み期間であることに加えて、『進撃の巨人』『半沢直樹』など強力なコンテンツがあったことが大きいという。『進撃の巨人』は地上波ではTOKYO MXなどで放映しているが視聴できる地域が限られることから、1週間で40万回以上視聴されるなど、「われわれにとっては非常に有難いコンテンツ」(板東社長)だったという。
個別課金作品では、アニメで「クレヨンしんちゃん」、ドラマで「シンイ -信義-」、映画・バラエティで「アイアンマン3」がトップ。ここでも「進撃の巨人」は見逃し視聴で3位、「半沢直樹」は見逃し視聴で2位と強さを見せ、板東社長は「見逃し配信も個別課金コンテンツとして十分ビジネスになり得るとの感触を持った」と述べた。
4K配信、マルチデバイス対応、ダウンロード視聴対応など多数のサービス強化を予定
板東社長は事業展開のステップとして、(1)100万会員獲得による顧客基盤の確率、(2)新たなVODマーケットの構築、(3)スマートTVを中心としたマルチデバイスの確立+音楽、ゲームなど新たなビジネスの展開を挙げ、うち(1)(2)はほぼ達成できたとして、今後は(3)のマルチデバイス対応、音楽やゲーム、ショッピング、電子書籍など新ビジネス展開に注力するとした。
マルチデバイス対応では、6月3日にゲームとアプリの提供を開始。同時に、Android搭載のスマートTV対応チューナーも提供開始した。VODのPC向け配信も7月31日に提供を開始している。
板東社長は、「新チューナーの上で動くアプリの提供など、だいたいマルチプラットフォームの仕組み自体はできたのではないかと考えている。下期は、コンテンツ拡充の新たな取り組み、マルチデバイスの利用促進に取り組んでいく」とした。
下期の取り組みとして、VOD視聴の利便性やクオリティ向上の取り組みとして、4K配信のVODトライアル、オフラインで利用可能なダウンロード視聴の提供、家庭内LANでのテレビサービスのマルチデバイス展開(DTCP-IP対応)、「マイチャンネル」機能の提供などが予定されている。
新サービスとしては、ECサービス「かたろぐマーケット(仮称)の提供を予定。
コンテンツ強化では、英語ニュース番組「NHKワールドTV」の放送開始、オリジナルドラマ「24時間女優」の提供、「AKB48グループドラフト会議」の完全生中継などが紹介された。また、オリジナルコンテンツ強化のため、ゲームクリエーター教育期間と提携して、学生が制作したコンテンツを「ひかりTV」全会員に無料で提供する制作スキームを構築すると発表。ゲームは取り組みの第一弾として、スキーム構築後に映像コンテンツなどにも広げていきたい考えだ。
4K配信のVODトライアル(2014年2月予定)
4K配信のVODトライアルは、2014年2月の配信を予定。作品タイトルは「下町ボブスレー」で、大田区の町工場が中心となって国産のボブスレー開発にチャレンジするという内容で現在撮影が進行中だという。説明会では、展示コーナーで現在のハイビジョン(2K)コンテンツと並べて制作中の「下町ボブスレー」の4K・30fps映像と4K・60fps映像をデモで披露した。
4Kトライアルは、フレッツ光ネクスト上での4K-VOD配信などを実施する予定で、圧縮はH.265/60P、配信帯域は30Mbps程度で提供する見込み。配信プロトコルは既存のIPTVフォーラム仕様のVOD配信プロトコルを拡張する。
4Kは一般家庭で視聴可能になるのか、あるいは街頭ビジョンなどで観ることになるのかという質問に対して、板東社長は、「4Kカメラで撮った映像を端末でデコードして観ていただくことになるので、現実的には今回のトライアルはショーや展示会などで見ていただくという形になると思う。いろいろなところにお声がけしているが、できるだけ多くの方に観ていただけるようにしたいと考えている。少なくともNTTグループの主要な展示場などでは観ていただけるようにしたい」と述べた。
オフラインで利用可能なダウンロード視聴の提供(2014年1月)
飛行機などのデータ通信が利用できない環境でも、スマホやタブレット端末で快適にVODを利用できる「ダウンロード視聴」機能を2014年1月より提供する予定。HDコンテンツがダウンロードでき、複数予約による一括ダウンロードが可能。視聴期間は、ダウンロードから48時間・72時間など、コンテンツ提供側との契約により決まるという。なお、ダウンロード後の視聴期限が切れた場合も、視聴権を再度取得する形で、コンテンツ自体は再ダウンロードすることなく視聴できる。
DTCP-IP対応によるマルチデバイス展開(2013年11月)
11月より家庭内LANにおいて、DLNA/DTCP-IP対応のテレビ・PC・タブレット端末・スマートフォンで放送チャンネルの視聴ができる。異なる端末で記録した映像の追っかけ再生も可能だ。
視聴に必要な環境としては、無線LANルータはDTCP-IP対応でなくても問題ないが、視聴するテレビやスマートフォンなどはDTCP-IPに対応している必要がある。NTTドコモのスマートフォンでは、今年の春モデル以後ではほぼ対応しているほか、ソニーや東芝など、テレビメーカーでもDTCP-IP対応が進んでいる。とはいえ、2012年までに発売された機種ではほぼ非対応なので、今後個人の環境でテレビやスマートフォンの買い替えが進むことで利用できる視聴者が増えるという形になる。
クリエーター支援を通じたコンテンツ制作スキームの展開(2014年1月)
「映像コンテンツなど他のサービスにも広げたいと考えているが、まずはゲームから」(板東社長)として、来年1月から順次実施されるのがコンテンツ制作スキームの構築と展開だ。
具体的には、ゲームクリエイター教育機関と提携し、学生が制作したコンテンツを「ひかりTV」全会員に無料で提供する。人気作品の続編や新規製作にあたっては、ファンド運営会社と協業し、クラウドファンディングにより本格商用化を実施する考え。
開始時に提携するゲームクリエイター教育機関は、HAL大阪校、HAL名古屋校、HAL東京校、日本電子専門学校、Vantan Game Academy、アミューズメントメディア総合学院、日本工学院の7機関。クラウドファンディングのファンド運営はミュージックセキュリティーズ株式会社が担当する。