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ひかりTV、Android 4.0搭載の新STB提供、クラウドゲームにも対応
(2013/4/17 20:15)
株式会社NTTぷららは、映像配信サービス「ひかりTV」において、Android 4.0搭載の新型セットトップボックス(STB)を提供すると発表した。従来機より大幅に性能を高め、クラウドゲームサービス「ひかりTVゲーム」、「ひかりTVアプリ」などを新規サポートするのが特徴。5月下旬に申し込み受付を開始し、6月3日よりレンタル提供を開始する。初期費用は1050円、チューナーレンタル料は月額525円。このほか、ひかりTVサービスやフレッツ光回線の月額料金などもかかる。
トリプルチューナー、外付けHDD録画、NFC対応の新STB
新チューナーの型番は「ST-3200」。トリプルチューナー構成となっており、地上デジタル放送(ネット再配信)およびひかりTV向けの専門放送チャンネルを3番組まで同時に受信できる。これにより、番組視聴中にその他2番組を同時に裏録画できるようになった。ただし、回線側の仕様の都合で、地上デジタルの同時受信は最大で2チャンネルまで。なお、番組録画用ハードディスクは別売りで、市販のUSBハードディスクが利用できる。
ネットワーク接続は有線LAN端子で行う。無線LAN機能およびBluetoothは非搭載。ただし、スマートフォン向けアプリ「りもこんプラス」(iOS/Android対応)を同一LAN内で利用すれば、ST-3200をタッチ操作できる。
家電向けのネットワーク規格としては、DLNAおよびDTCP-IPに対応。ST-3200で録画した番組を、スマートフォンやタブレットで視聴できる。対応端末は現在のところ、NTTドコモ製の最新モデルを中心に5機種程度だが、順次追加していく。なお、BD/HDDレコーダーへの書き出しも可能。
ST-3200とスマートフォンのペアリング作業を簡単に行えるよう、NFC連携タグを本体天面(手前右側)に備える。第2四半期をめどに機能が有効化される予定だ。これにより、IDなどをキーボード入力することなく、端末同士をタッチさせるだけで設定できる。
映像面では、フルハイビジョン出力(1080p)に対応。映像および音声類の出力端子として、HDMI出力、アナログ映像・音声出力(コンポジット)端子、光デジタル音声出力を備える。このほか、USB 2.0を本体前面および背面に各1系統、SDメモリーカードスロットを内蔵している。
付属リモコンは無線式。カーソルキー部分が感圧式になっており、強く押し込むことでページ早送りスピードを速めるといった操作が可能。また、チューナー接続先のテレビを操作できるよう、一般的な赤外線出力もサポートする。
ST-3200は住友電工ネットワークス株式会社製。Androidおよびチューナー用チップとしてSTMicroelectronics社製のSTiH415を搭載する。外形寸法は257×182×40mm(幅×奥行き×高さ。筐体足5mmを除く)、重量は約700g。
アクションゲームなどもクラウドで楽しめる「ひかりTVゲーム」
ST-3200では、VODやカラオケなど、ひかりTVの従来サービスを原則としてすべてサポート。ユーザーインターフェイスも使いやすさ向上を目指して刷新される。その上で、アプリを中心とした新しい機能・サービスが使えるようになった。
新サービスの「ひかりTVゲーム」は、月額525円の定額料金で約50タイトルのゲームが遊び放題になる(サービス開始当初は30タイトルの予定)。KONAMIの野球ゲーム「プロ野球スピリッツ LIVING MANAGER」や、株式会社タカラトミーエンタメディアの「人生ゲーム×ひかりTV」など、ひかりTVゲーム用に最適化したゲームも同時発表されている。
ひかりTVゲームは、「クラウドゲーム」と呼ばれる手法を採用。サーバー側でゲーム関連の各種処理を行い、ユーザー宅の端末側では画面のストリーミング描画など、最小限の処理のみを行う。このため、ゲームのインストールが不要になるだけでなく、家庭用ゲーム機並みのハードウェア性能を求めるゲームなども遊べる。
ゲームを遊ぶには、付属リモコンや、同一ネットワークに接続したスマートフォンが利用できる。なお、一部のゲームについては、スマートフォン上に画面表示して直接遊ぶことが可能という。
より本格的なゲームに対応するため、家庭用ゲーム機など採用される両手持ちコントローラーも別途提供する計画。こちらは、ST-3200に無線ドングルをUSB接続して使う。なお、提供時期や価格については未定となっている。
ひかりTVゲームは、ST-3200だけでなく、リリース済みのひかりTVチューナーにも対応する予定。第2四半期の対応を目指す。
一方、「ひかりTVアプリ」も、ST-3200のリリースにあわせて新規提供する。ライフスタイル、エンターテインメント、教育に関連したアプリ約50種類が用意されており、ST-3200にインストールして利用できる。
ST-3200では8GBのストレージを内蔵。このうち、システム占有分を除く空き領域の分だけ、アプリをインストールできる。外付けストレージやSDカードへインストールする機能についても、将来的に検討する予定という。
なお、ST-3200はAndroidベースながら、単体使用できるブラウザーは未搭載。こちらについても将来的な実装を検討しており、最終的にはHTML5対応のブラウザーアプリ全般がST-3200で動作するようにしたいという。
このほか、VODコンテンツをより楽しむ機能として、6月3日からは「ソーシャルVOD(仮称)」を提供する。VODコンテンツを再生中に、コメントや感情表現用スタンプを投稿できるというもので、投稿状況は累積されていく。これにより、別ユーザーの反応をあとから参照することが可能になる。また、盛り上がり状況は折れ線グラフ表示され、その再生地点の頭出しもできる。
1年後の300万会員獲得目標、PC向け配信は第2四半期から
17日には、NTTぷららの本社で記者発表会が行われた。同社代表取締役社長である板東浩二氏が登壇し、「2013年3月でひかりTVは5周年を迎えた。会員数も245万に達し、おかげさまで、国内最大のIPTVサービスに成長できたのではないか」と話した。
坂東氏はひかりTV成長の要因として、地デジ再送信を含む「放送」と、「VOD」の両方をワンストップで提供している点と分析。これに加え、放送のハイビジョン化率を高めたり、ショッピングや電子書籍などの新サービスの導入、ユーザーインターフェイスの品質面などの面でも自信を見せた。
これらの取り組みが成果をあげ、5年前のひかりTV開始当初に目標としていた「100万会員獲得による顧客基盤の確立」を無事達成。次なる「新たなVODマーケットの構築」という目標についても、「VODの利用回数が毎月2000万回を超えてきている状況」(板東氏)にまで至ったことから、現在は「マルチデバイス体制の確立」を目指す段階にあるとした。
マルチデバイス体制はすでに進行しており、フレッツ光網を使ったSTB・テレビ向け配信以外に、スマートフォンやタブレット向け配信を回線種別にかかわりなく行っている。第2四半期にはPC向け配信の開始を予定している。
ST-3200については「従来の約10倍のハードウェア性能」(板東氏)である点をアピール。また、板東氏はひかりTVゲームについて「日本初」「新チューナーにおけるキラーアプリ」と評し、期待の高さを伺わせた。現時点では、スクウェア・エニックスをはじめ、11社がパブリッシャーとして参入する予定。2013年下期には、複数台のテレビとスマートフォンを組み合わせて、リビングで麻雀などのゲームを楽しめる「クラウドパーティープレイ」機能も追加する。
第2四半期以降も、サービスを順次拡大させる。具体的にはダウンロードレンタル形式でのコンテンツ配信、ミュージックサービスにおける個別課金対応、「マイチャンネル」機能の追加、4K映像のトライアルなどが予定されている。
ひかりTVの会員数目標は、2014年3月末で約300万人。板東氏は「ひかりTVは『総合ライフエンターテインメントサービス』を目指したい」と述べ、ビッグデータの活用やライフサポート事業への参入も含め、テレビにとどまらないサービスへの進化を模索するとしている。