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米CiscoがH.264コーデックのオープンソース化を計画~米Mozillaも支持を表明
(2013/10/31 11:57)
米Ciscoは30日、動画コーデックH.264を実質的にオープンソース化する計画を発表した。米Mozillaもこれを支持し、すでにCiscoと共同でこれに基づくWebRTCの実装を開始していることを明らかにした。
今回の発表により、現在は進んでいないWebRTC標準規格の策定が一歩前進する可能性が出てきた。WebRTCでは、Webブラウザーだけでリアルタイムビデオチャットが行えるようなアプリケーションが可能になることで期待が集まっている。しかし、WebRTCの動画コーデックとして何を採用するかでベンダー間で意見の相違があった。
Ciscoの発表によると、CiscoによるH.264実装の1つである「gratis」をオープンソース化すると同時に、そのソースコードからコンパイルされたモジュールをCiscoにホスティングし、ダウンロードできるようにするとしている。これに伴うMPEG LAへの特許料支払いは、Ciscoが負担する。MPEG LAはH.264関連特許を管理している。これまでH.264コーデックは、ライセンス条項により、Firefoxのようなオープンソース製品と一緒に配布することはできなかったという。
Mozillaは、FirefoxでこのCiscoによる「OpenH.264」バイナリーモジュールのサポートを表明。CiscoはH.264スタックをBSDライセンスでリリースするとしている。
なお、Mozillaは今後も別の動画コーデックであるVP8も引き続きサポート。サポートはHTMLビデオエレメントとWebRTCの両方について行われる。
ただし、MozillaはH.264のような特許に守られたコーデックを完全に支持しているわけではない。Mozillaでは次世代の完全にオープンな動画コーデック「Daala」の開発を進めており、「Daala」は次世代動画コーデックのH.265やVP9よりも優れていると主張している。他のコーデックより優れて、かつ完全にオープンな動画コーデックの開発によって、「より良い未来」を形作りたい考えだ。
Ciscoは今回の決定を行った最大の理由は「相互運用性」だとしている。最も多くサポートされている動画コーデックであるH.264がWebRTCによって採用されることで、さまざまなベンダーによる製品が容易に相互運用できるようになるため、ポリシーよりもユーザーの利益を優先した形だ。
ちなみに、H.264以外の動画コーデックとしてはGoogleのVP8が知られている。Googleが買収し、オープンソース化した技術で、Chromeに実装されているほか、Googleサービスで使用されている。