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元値1万7310円のスルメイカ、「確かに高い」〜楽天が“二重価格問題”謝罪

審査していたが、ルール自体が「甘かった」

 楽天株式会社は11日夜、「楽天日本一セール」において不当な価格表示があったのではないかと指摘されている件について記者会見を開催した。三木谷浩史代表取締役会長兼社長が「二重価格問題で消費者の方々、優良な楽天市場の店舗にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」と謝罪するとともに、常務執行役員の高橋理人氏がこれまでの調査で判明していることを報告。今後、チェック体制の強化など、再発防止に向けた対策をとることを明らかにした。

楽天株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長(右)と、常務執行役員の高橋理人氏(左)

“勝手セール”で17店舗/1045商品が不当な価格表示、1カ月のサービス停止処分

 まず、楽天の審査を経ない“勝手セール”を行っていた店舗のうち、セール開催直前に大幅に“元値”を引き上げ、セールが始まるとあたかも大幅に割り引いているかのような価格にしていた店舗は17店舗あり、商品は合計1045点あった。これらの商品に対する注文は119件あり、うち118人が購入。売上は合計46万9967円だった。

 該当ユーザーには11日に通知済みで、返品を前提として、購入額を全額、現金または楽天スーパーポイントで補償する。

 また、該当店舗には、1カ月間のサービス停止処分を下す。この処分内容については会見の質疑応答で、記者から妥当性について疑問の声が上がったが、三木谷社長は「中小の店舗にとって相当厳しい処分だと思っている」と回答。また、楽天市場は信頼関係をベースに性善説で運営してきたとし、今回発覚したような不当に価格を引き上げるような行為については「残念ながら想定していなかったのが真実」だとし、「厳格にモニタリング、チェックをやるべきだった」とした。

 なお、17店舗の具体的な名称については、楽天側から公表する予定はないとした。高橋氏によると「店舗との契約の中で開示できないことになっている」という。

 三木谷社長は開示しない理由として、まず「我々は警察ではないことがひとつ」あるとしたほか、「先ほど申し上げた通り、1カ月間のサービス停止は重い処分。絶対的な証拠、客観的事実に基づいて『これは悪質である』と判断し、こうした厳しい処置とっている。ただ、それを公にするということは、その企業・店舗のほかでの営業に、オンライン/オフライン含めてたいへん大きな影響がある。我々としては、そこまでの権利はないのではないか」と説明した。

公式セールの参加店舗にルール違反はなかったが「甘かった」

 一方、楽天が商品を審査した上で割引販売していた公式の「楽天日本一セール」参加店舗については、先週開催した決算説明会において一切問題ないとしていたが、三木谷氏は今回、「ミスリーディングがあった」としてあわせて謝罪した。

 具体的には、不当に価格が引き上げられているのではないかと報じられている「シュークリーム」「スルメイカ」「大根」の3件についてだ。シュークリームは元値1万2500円/販売価格2600円、スルメイカは元値1万7310円/販売価格3980円、大根は元値1万1125円/販売価格2419円だったという。

 これらは「楽天日本一セール」のルールに準拠して出品されていたもので、店舗に対しては、管理画面へのログイン時など4カ所に、二重価格への注意喚起メッセージを表示。また、元値が引き上げられていないかチェックする仕組みもあったが、シュークリームについては新規出品だったため元値のチェックができなかったという。スルメイカと大根については、セール直前における元値の引き上げが認められなかったため、チェックを通過したとしている。

 三木谷社長は、「楽天のルール自体が少し甘かったのではないか」と説明。メーカー小売価格のように標準的な価格が客観的に明確な商品で、JANコードのあるものは、二重価格問題に対しての仕組みが簡単にできるが、農産物や海産物など客観的な価格設定が難しい商品もあるという。今回のスルメイカなどは、そのチェックの仕組みがうまく機能しなかった結果だとしている。

 なお、スルメイカについては79件の注文があった。注文者に対しては全員にメール連絡した結果、51人はキャンセルしたが、28人は説明を受けた上でも購入希望だったという。

 報道で指摘されているように、三木谷社長も「スルメイカは確かに我々が見たところ高いな」と認める。しかし、「それでも買いたいという方が28人いたということで、この価格が他のサイトよりは高いと認識しているが、我々のルールの範囲内であったということ」とした。

 これら3件の例のように、楽天の定めたルールに抵触していなかったが、元値の釣り上げとされても仕方のない問題が発覚したことを受けて、楽天ではまず、二重価格表示についての専門の問い合わせ窓口を設けた。実際、現時点で楽天が把握しているものは勝手セールにおける17件と、正規セールにおける3件のみで、中にはマスコミ報道を通じて初めて知ったものもあるという。

 消費者から窓口に寄せられた情報に関しては最後まで調査し、問題があれば店舗から返金するよう求めるほか、購入者と店舗の仲裁も行う。店舗側が応じない場合は、いったん楽天側から現金または楽天スーパーポイントで補償した後、店舗側に費用を請求するとしている。

楽天市場での販売実績がある“元値”のみ登録可能に

 楽天では、今回の不当価格表示を許してしまった要因として、元値の種類が多種多様で画一的な調査が難しいことや、セール企画時の審査では直前の時点ので元値引き上げのみがチェック対象だったことなどを挙げ、来年3月をめどにシステムの仕様変更や審査内容の変更で対策をとる。元値を判断するにあたっては、その店舗で販売実績のある通常価格とメーカー小売価格の2つに集約するとともに、目視によるモニタリングも導入してチェック体制の強化を図る。

 三木谷社長は会見の最後、「こうした自体を招いてしまって本当に申し訳ない。安心してショッピングできるものを目指して一層の努力をしていきたい」とした。

(永沢 茂)