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NTTとNEC、世界初の4K/60P・HEVCリアルタイムエンコーダーを開発

 日本電信電話株式会社(NTT)と日本電気株式会社(NEC)は12日、4K/60P映像のH.265/HEVCによるリアルタイム圧縮を世界で初めて実現したと発表した。NECでは、リアルタイム圧縮装置「VC-8150」を開発し、12日から販売を開始した。

4K/60P エンコーダ(VC-8150)

 H.265/HEVCは、従来のH.264/AVCと比較して約2倍の圧縮性能を持つ映像符号化規格。NTTとNECは、両社の映像圧縮技術およびノウハウを基に、フルHDを超える高精細映像の高効率圧縮に向けた技術を確立した。

 NTTでは、HEVCの特徴である可変ブロックサイズに適応したフレーム間予測やフレーム内予測におけるハードウェアアルゴリズムの検討を基に、複数のブロックサイズでの探索と広い探索範囲を実現する高い予測効率を持つ動き予測や、映像の特徴を解析した上で事前に予測方向を絞り込むイントラ予測等のハードウェアアルゴリズムを確立。SoC(System on Chip)で実現可能である見通しを得た。

 NECは、画像をいくつかのブロックに分割して行う映像圧縮処理において、瞬時に画像を分析して最適なブロック分割を行う「最適圧縮パラメータ推定技術」を開発。既存の方法のように、想定されるすべてのブロック分割パターンを試行した上で処理する必要がなくなり、処理量を約5分の1に削減。4K高精細映像のリアルタイム圧縮を実現した。

 また、従来の圧縮装置では、4K高精細映像を4領域に分割した画像を各々処理して結合表示していたが、この場合には各領域を跨ぐ部分の映像の品質低下が課題となっていた。NECでは、境界部分の画像劣化を抑える「画像境界処理技術」を開発し、継ぎ目のない高画質な4K高精細映像圧縮を実現した。

 NTTとNECは、次世代放送サービスの実現・普及を加速するために、両社の技術を利用することで、世界で初めて4K/60P高精細映像のHEVCによるリアルタイム圧縮を実現。NECでは、今後4年間で100台の圧縮装置の販売を目指すとしている。

(三柳 英樹)