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JR東日本、Suicaデータの社外提供に関する有識者会議の中間まとめを公表

 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は20日、ICカード乗車券「Suica」に関するデータの社外提供について、有識者会議の中間とりまとめを公表した。2013年7月に実施したデータの社外提供については、利用者への配慮が不足しており、不安を与えた事実を重く受け止める必要があるとする指摘を受け、JR東日本では引き続きデータ提供を見合わせるとともに、有識者会議の開催を継続して検討を進めていくとしている。

 株式会社日立製作所は2013年6月、JR東日本からSuicaに関するデータの提供を受け、駅のマーケティング資料を作成・販売することを発表。データの提供は2013年7月に行われたが、これに対して多くの利用者から批判や不安視する声が挙がったことから、JR東日本では2013年9月にデータの社外提供を当面見合わせると発表。この問題についての検討を行う有識者会議を設置した。

 以降、有識者会議は5回行われ、これまでの議論を「中間とりまとめ」としてJR東日本に提出した。

 中間とりまとめでは、2013年7月に提供したSuica分析用データについては、事前に十分な説明や周知を行わなかったなど、利用者への配慮が不足していたことは問題であり、JR東日本という公共性の高い企業の立場からも、利用者に不安を与えた事実を重く受け止める必要があると指摘している。

 提供したデータについてJR東日本では、一定レベルの匿名化処理がされるなど個人情報保護法の「個人情報」には当たらず、法的に問題となることはないと考えていたが、個人情報の定義における特定の個人の識別性の論点については専門家の間でも解釈に幅があり、今後の立法化の動向についても注視していく必要があると指摘。また、プライバシーの保護については日立製作所との間で特定の個人の識別を禁止する契約を締結しているが、技術の進展により新たな問題が生じる可能性も考えられるため、今後とも継続して最善と考えられる配慮を行うべきだとしている。

 JR東日本では、Suicaに関するデータの社外提供については、法改正の動向などを注視しながら検討する必要があるとする有識者会議のアドバイスを受け、引き続きデータの社外提供については見合わせると説明。また、他企業などの取り組みも参考にしながら、社会的な有用性・公益性の高い取り組みについて検討して情報発信を行うとともに、有識者会議の開催を継続し、引き続きアドバイスを受けながら検討を進めていくとしている。

(三柳 英樹)