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NTT、競技場内のマイク1万本/1万チャンネルの音声を映像で集める可視光通信

 日本電信電話株式会社(NTT)は、競技場やライブイベントなどにおける超多チャンネルの収音を、LEDによる可視光通信で行う技術の研究・開発を行っている。1万本(1万チャンネル)以上のマイクによる大規模なマイクアレーを、配線や電波の帯域に制約されずに実現するのが目的。NTTコミュニケーション科学基礎研究所が6月5日・6日にNTT京阪奈ビル(京都府相楽郡精華町)で開催する一般公開イベント「オープンハウス2014」で展示する。

 会場に多数のマイクを設置し、臨場感のある指向性のある音声を数百チャンネル規模で取得する方法はすでに導入されているというが、これを数千〜1万チャンネル規模で行うとなると、ケーブルの配線や電波の帯域の制約が出てくる。これに対してNTTが研究・開発している技術では、マイクで拾った音声データの伝送経路として可視光通信を使うことで将来の超多チャンネル化の見通しが得られたという。

 NTTでは、小型マイクと一体化したLED送信機を製作した。送信機には4×4列+1個のLEDが5mmほどの間隔で並んでおり、16ビットでPCM変換した音声データをLEDの点灯パターンで表して飛ばす。一方、これを受信するのは、毎秒1万6000枚(16kHz)の画像を撮影できる高速カメラだ。このカメラが撮影した各画像には、多数のマイクのLEDから発信された光が画像として含まれている。この画像をグラフィックプロセッサで並列処理し、音声信号に復調して出力する仕組みだ。

 音声信号をあえて視覚的な可視光で伝送する方法を選んだのは、大量のデータを同じタイミングで一気に取得するにはカメラが最も適していると判断したため。高解像度カメラであれば、場内を撮影すれば、その範囲に映る多数のマイクからのLED信号を一瞬で読み取ることができるというわけだ。

 オープンハウス2014の開催に先だって2日、報道関係者向けの事前説明会が行われ、200チャンネルのLED送信機の可視光を高速カメラで撮影して音声変換する様子がデモされた。カメラやグラフィックプロセッサは現時点で十分な性能を有しており、音声変換処理によるレイテンシーは若干あるものの、ほぼリアルタイムでの音声出力を行えるという。なお、1チャンネルあたりの帯域はAMラジオ波と同程度。

 デモで使用していたのは赤色のLEDで、現時点で30m程度の距離で屋外での伝送実験が行われているという。今後、これを100m程度にまで延ばせるよう改良を重ねていく。また、今回は価格低下が進むLEDを活用し、可視光通信を行っているが、同じ仕組みで人の目には見えない赤外線を活用することも考えられるとしている。

(永沢 茂)