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「Adobe Ink & Slide」とモバイルアプリ群の連携でクリエイティブワークを効率化

 アドビシステムズ株式会社は10日、「Adobe Ink & Slide」の体験会にあわせて、同社のイベント「Adobe MAX 2014」で発表したiPad向けアプリ「Illustrator Line」「Illustrator Draw」「Photoshop Sketch」と、Adobe Ink & Slideの連携を紹介した。

「Adobe MAX 2014」で発表された9つのモバイルアプリ群
「Adobe Ink & Slide」に対応した3つのアプリ

 Adobe Ink & Slideは、アドビシステムズ初のハードウェア製品。Adobe Inkは、米Adonitの「Pixel Point」を使用しており、2000段階以上の筆圧感知機能を搭載。メモリを内蔵し、個別のカラーやブラシを設定できる。電源は内蔵バッテリーを使用しており、11時間の稼働が可能。充電は専用スタンドにて行うが、スタンドの端子はmicroUSBを採用する。持ち手の部分にボタンを搭載し、アプリ上でメニューを呼び出すことができる。

 Adobe Slideは、本体をiPad上に置くだけで直線、三角形、四角形、丸のほか、さまざまなパターンの図形を引いたり、スタンプを自在に配置できるデジタル定規。Adobe Slide本体上部のボタンでパターンの変更が可能。オブジェクトの大きさは、画面上でピンチイン/ピンチアウトで変更する。電源はバッテリーが必要ないパッシブ駆動を採用。10月17日より「Adobe Ink & Slide」として2万2800円(税込)で発売する。

「Adobe Ink」
「Adobe Slide」

アイデアを実際のクリエイティブワークに活かす

 イベントでは、Adobe Creative Cloudエバンジェリストの仲尾毅氏が登壇。Adobe Ink & Slideと複数のAdobeモバイルアプリの連携を説明した。Adobe Ink & Slideは、モバイルアプリとクラウドを結ぶツールであり、クリエイターが肌身離さず持ち歩くiPhoneやiPadをワークフローの中に取り込むことで、アイデアをモバイルデバイスで描きとめ、実際のクリエイティブワークに結び付けることができるとしている。

 また、Adobe MAX 2014で発表されたCreative Cloudの最新版には、新しい「クリエイティブプロファイル」も提供される。iPadやPCなどのマルチプラットフォーム連携や、クラウドサービスにより場所を問わず各自の作品・制作に使用するアセットを利用できるほか、クリエイターコミュニティへのアクセスや、素材を購入できるマーケットも利用できる。

 特に、クリエイティブプロファイル内の「Creative Cloud ライブラリ」では、モバイルアプリで制作した画像やテキストスタイル、ブラシ、画像、アートワークを、ほかのモバイルアプリやPC上で共有でき、どの環境でも個人の素材やツールが利用できる。

Adobe Creative Cloudエバンジェリストの仲尾毅氏
どこでも同じ環境で利用できる「Creative Cloud ライブラリ」
「クリエイティブプロファイル」の相関図
「Creative Cloud」は無償メンバーでもモバイルアプリや一部クラウドサービスを利用可能

 なお、Adobe Ink & Slideは通常のタッチペンとしても使えるので、積極的な連携を図っている「Illustrator Line」「Illustrator Draw」「Photoshop Sketch」以外のアプリでも利用自体は可能としている。

「Adobe Ink & Slide」×「Illustrator Line」

 Illustrator Lineは、正確な描画や製図向けのiPadアプリ。標準グリッドのほか、2点透視、等角投影、不等角投影など多彩な描画グリッドを備え、遠近法による正確な描画でパース図や幾何学図形の製図が可能。また、ルーラー、雲形定規、形状テンプレートといった製図ツールや、基本的な幾何学図形、UI要素、人型、ハーマンミラーの家具など、数百種類のシェイプを利用可能。複数のオブジェクトを等間隔に配置できる「ビジュアルガイド」機能も搭載する。

「Adobe Ink & Slide」×「Illustrator Line」
遠近法を用いた描画が可能
さまざまなグリッドパターンを備える
フリーフォームの描画も可能

 Adobe Slideを利用することで、グリッドに沿った正確な描画ができるほか、豊富なシェイプを指定の位置に配置することができる。シェイプに関しては、Adobe Ink側で画面を2回タップするだけで描画可能で、タップ時に指定した色で描画することもできる。また、データは「Illustrator CC」に送信でき、作成したベクトルデータを編集できる。

椅子などの複雑なシェイプがあらかじめプリインストールされている
等間隔でオブジェクトを配置できる「ビジュアルガイド」

 そのほか、3つのアプリに共通するUIとして、UndoとRedoの操作が直感的となっている。1つ前の状態に戻したい場合は、2本指を画面に押し当て、左にスワイプする。また、現在の状態に戻したい場合は右にスワイプする。3本の指を押し当ててスワイプすると上部にスライドバーが表示され、最初の状態から現在の状態までコマ送りで確認でき、任意の状態に指定することができる。

「Adobe Ink & Slide」×「Illustrator Draw」×「Shape CC」

 Illustrator Drawは、フリーフォームのイラストレーションアプリ「Adobe ideas」の後継アプリで、手書き感覚でベクトルデータを起こすことができる。Adobe Inkを使用することで、2000階調以上のスペックを活かした、にじみや書き始めの盛りの部分まで再現する。Illustrator CCでの利用も可能で、ベクトルデータならではのパスの修正なども可能。

「Adobe Ink & Slide」×「Illustrator Draw」×「Shape CC」
手描きのなめらかな描画を再現

 また、カメラで撮影した被写体や、カメラロールに保存した写真をベクトルデータに変換できるiPhone/iPadアプリ「Shape CC」で作成したカスタムシェイプをIllustrator Draw上で利用でき、Adobe Slideを利用することで、作成したシェイプをスタンプのように配置することができる。なお、Shape CCでシェイプの作成と同時にCreative Cloud ライブラリにアップロードされ、Illustrator CCでも利用できる。

カメラで撮影した被写体をベクターデータに変換できる「Shape CC」
スタンプとして使用できる
「Adobe Slide」を使用し「Illustrator Draw」上で複数配置可能
PC側のIllustratorでデータを引き継ぐこともできる

「Adobe Ink & Slide」×「Photoshop Sketch」×「Brush CC」

 Photoshop Sketchは、フリーフォーム形式のビットマップペイントアプリで、写真を下に重ねたり横に表示することでトレースできるほか、Creative Cloudのマーケットの素材を使ったコラージュ作成が可能。こちらもAdobe Inkとの連携で、手描きの書き味をiPad上で再現することができる。

 また、オリジナルのブラシが作成できるiPhone/iPadアプリ「Brush CC」により、カメラで撮影した被写体やカメラロールに保存した写真をブラシ化できる。ブラシ生成時に、Photoshop Sketch用、Photoshop CC用、Illustrator CC用と利用する環境の選択が可能。

「Adobe Ink & Slide」×「Photoshop Sketch」×「Brush CC」
さまざまなブラシを内包する「Brush CC」
カメラで撮影した被写体からブラシを制作可能
「Photoshop Sketch」と「Adobe Ink」で自在にコラージュを作成できる

 このほか、iPhoneアプリも拡充されており、Adobe MAX 2014にあわせて写真の加工・合成アプリ「Photoshop mix」がリリースされている。写真の色味の調整や、デスクトップ版Photoshopに搭載されている画像のカットアウトや合成が可能になっている。

(山川 晶之)