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Google、「忘れられる権利」に基づく削除の状況を公表、約4割の削除に応じる

 Googleは10日、各国政府などから寄せられた要請に関する情報を公開する「透明性レポート」を更新し、欧州のプライバシーに基づく検索結果の削除リクエストについてのデータを公開した。

 2014年5月の欧州連合(EU)司法裁判所の判決では、いわゆる「忘れられる権利」として、Googleなどの検索エンジンに対して、個人の名前を含む検索キーワードによる検索結果の削除を求める権利が個人にあることが認められた。EU司法裁判所の判断では、検索エンジンは個人から寄せられた削除リクエストを個々に評価しなければならず、公益に資する場合にのみ、それらの結果の表示を継続できるとされている。

 透明性レポートでは、Googleがこの判決を受け、2014年5月29日から処理を開始した削除リクエストの件数などを公開。Googleではこれまでに14万6938件のリクエストを受け取り、49万8830件のURLについて評価を実施。このうち41.8%のURLについて削除を行ったという。

Google透明性レポート

 Googleでは、具体的なリクエストの例もいくつか紹介している。イタリアからのある女性からのリクエストは、夫の殺人に関する数十年前の記事の削除を求めるもので、記事にはその女性の名前も含まれていたという。Googleでは、女性の名前による検索結果からこのページを削除した。

 一方、スイスからのリクエストでは、金融犯罪で逮捕され有罪となった金融専門家から、その事件を報道しているページへの10件以上のリンクを削除するよう要請があったが、Googleは検索結果からこれらのページを削除しなかった。

 Googleでは、個々のリクエストを評価するにあたって、Googleは個人の権利とコンテンツの公益性を検討しなければならないとしている。

 削除したURLの件数が多いサイトとしては、「www.facebook.com」(3353件)、「profileengine.com」(3299件)、「www.youtube.com」(2395件)などが上位に挙げられている。

(三柳 英樹)