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楽天が出店店舗の決済口座を「楽天銀行」に勝手に開設? 店舗が非難声明

 楽天株式会社が最近、「楽天市場」における銀行振込決済用の口座を「楽天銀行楽天市場支店」に一本化したことに対して、音響機器の通販サイトを運営する株式会社サウンドハウスが19日、同市場への出店を取り止めると発表した。店舗の銀行口座を勝手に開設し、一方的に決済口座を一本化したなどと非難している。

 楽天広報部によると、口座の一本化は、最近増加している“模倣サイト”への対策の1つ。楽天市場に出店している店舗に対して楽天銀行楽天市場支店の口座をそれぞれ割り振り、「楽天銀行楽天市場支店以外の口座に入金させる店舗=楽天市場の店舗ではない」という取り決めにすることで、買い物をするユーザーを詐欺などの被害に遭わないようにするのが狙い。

 しかし、サウンドハウスでは、「出店店舗の銀行口座を勝手に開設し、決済用口座としてはその口座しか認めないということは、これまでの日本の商習慣ではありえないことです」「楽天には詳細説明、及び即時撤回を申し入れましたが、納得できる説明もなく、口座の取り消しも実行しないことが判明したため、弊社ではやむを得ず、楽天との取引を中止することと致しました」などとしている。

サウンドハウスのウェブサイトに掲載された「サウンドハウス楽天支店中止のお知らせ」

 楽天は口座を一本化するにあたって、導入の背景を含め、9月よりメール、封書、電話のほか、店舗運営者向けの管理システムにも告知やFAQページを開設するなど、複数回にわたって説明しており、他の店舗からはサウンドハウスのようなクレームは来ていないとしている。また、楽天の基本スタンスとしては、こうした説明後、店舗側の了承を得た上で口座を開設するとしており、勝手に開設することはないと反論している。

 さらに、楽天銀行楽天市場支店はあくまでも安全性を高めるための“ハブ”であり、楽天市場のユーザーは楽天銀行以外の銀行口座から入金が可能なほか、店舗側の代金受け取り口座も楽天銀行以外は認めないといった制限は設けておらず、楽天銀行楽天市場支店から店舗のメイン銀行に送金できると説明している。

 なお、サウンドハウスと楽天とのやり取りにおいては、両社とも担当者が途中で変更になっており、ミスコミュニケーションがあった可能性があるという。サウンドハウス側の了承を得た上で楽天銀行の口座を開設したかどうか、楽天で現在、確認中だ。

 一方、サウンドハウスにも電話取材したが、「掲載文以上のことはお答えできない」としている。

楽天が10月22日に掲載した「安心・安全の取り組み」ページ。振込口座の一本化についても言及されていた

(山川 晶之)