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スマホアプリで恥ずかしい姿を見せ合うのは危険、“性的脅迫”被害多発か

 今年9月以降、スマートフォンの不正アプリを使った“セクストーション(性的脅迫)”の被害者から相談が寄せられるようになったとして、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が注意を呼び掛けている。

 セクストーションとは、「sex(性的な)」と「extortion(脅迫)」を組み合わせた造語。被害者の性的な写真や動画を入手し、それをばらばくなどと脅迫して金銭を要求する手口だ。国内では最近、SNSと不正アプリを用いたセクストーションが多発しているとみられるという。

 例えば、SNSで知り合った女性から「ねえ、動画アプリを使って恥ずかしい姿を見せ合うってどう?」などと持ちかけられた男性が、公式アプリマーケット以外のURLからビデオチャットアプリのインストールを促される。それに従ってビデオチャットの最中に服を脱ぐなどしてしまうと、後日、その動画を被害者の電話帳の登録者にばらまくと脅迫されるといった具合。ビデオチャットアプリには、被害者のスマートフォンの電話帳の情報を窃取する機能があったわけだ。

電話帳情報とプライベートな動画を入手して脅迫する事件のイメージ(IPAのプレスリリースより)

 こうした手口についてIPAでは、SNSや不正アプリの機能が巧妙に使われていると指摘。SNSを通じたやり取りによって被害者を油断させているほか、インターネットに公開されて不特定多数に閲覧されるよりも、身近な知人にさらされる方が被害者が脅威を感じやすいという心理を突いているわけだ。

 万一、セクストーションの被害に遭った場合は、うかつに相手に連絡せずに警察へ相談することを検討すべきとしているが、たとえそうしたとしても、いったん相手の手に渡った情報を削除することや取り返すこと、動画がばらまかれてしまうのを抑止することは困難だという。

 IPAでは、セクストーションへの対策として、プライベートな写真や動画は第三者に渡さないことなどを挙げている。これは、SNSで知り合った実際に会ったことのない相手はもちろん、たとえ友人や恋人でも同様。セクストーションに限らず、“リベンジポルノ”の被害の可能性もあるためだ。

 さらに「特定の相手に写真や動画を渡すことは、インターネットに公開することと同じという認識を持つことが重要」とも。また、相手に渡さなくても、データを所有しているだけでもウイルス感染などによって外部に流出する可能性があることも考えると、「インターネットに公開されて困るような写真や動画は、そもそも撮影しないことが賢明」としている。

(永沢 茂)