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残虐なコンテンツが急増、2月に入って100~300倍のペース、フィルタリング会社が人員増強

 2月1日以降、インターネット上の残虐なコンテンツが急増していることが、デジタルアーツ株式会社の集計で明らかになった。

 デジタルアーツでは、アダルトや出会い系をはじめ、犯罪や薬物、違法ソフトといった反社会的行為などのカテゴリーに該当するウェブページの閲覧をブロックするためのウェブフィルタリングソフトを開発・提供しており、日々、該当するURLを収集してデータベースに登録している。その拠点は日本、米国、英国の3カ所にあり、2月24日現在、データベースに登録されているコンテンツは33億3600万件。そのうち約35%が日本語コンテンツだという。

 同社が暴力・猟奇描写として分類しているカテゴリーはアダルトなどのコンテンツに比べると少なく、データベースに追加する件数は通常、1日あたり10件程度。しかし2月に入ってから急増し、1日あたり1000~3000件のペースで追加されるほどになり、2月1日~20日までに新規登録した暴力・猟奇描写カテゴリーは約1万7000件に達した。ISILによる捕虜殺害事件が多くのメディアで取り上げられたことで、インターネット上で同じ画像がコピーされて拡散したものだとしている。ピークだった2月9日の新規登録件数は通常時の317倍に上り、デジタルアーツではURL収集の人員を増強して対応した。

 ちなみに、登録件数の最も多いアダルトカテゴリーは2月1日~20日の期間に、暴力・猟奇描写の約2倍が新たに登録された。ただし、通常時は100倍程度の開きがあるとしており、この期間いかに暴力・猟奇描写コンテンツが増加したかがうかがえる。

 なお、これらフィルタリングデータベースへの登録件数は、URL/ドメインおよびデジタルアーツで設定したキーワードによる登録件数を示している。そのため、1件の登録で数十~数百のウェブページをブロックできる仕組みだとしている。

デジタルアーツ株式会社の小田真一郎氏(取締役経営企画部部長兼エンタープライズ・マーケティング部部長)

 デジタルアーツの小田真一郎氏(取締役経営企画部部長兼エンタープライズ・マーケティング部部長)は、未成年者が残虐なコンテンツを目にする経路は多岐にわたり、ウェブサイトやブログなどからのリンクのほか、検索エンジンや動画サイトからの経路があると説明。このうちYahoo! JAPANやGoogle、YouTubeなどの主要検索エンジンおよび動画サイトでは、成人向けコンテンツが検索結果から排除される“セーフサーチ”という機能が提供されているが、保護者が子供のコンテンツ閲覧を規制するためのものというより、ユーザー自身が意図せず目にしてしまうことを防ぐための自衛手段として位置付けられる機能と指摘する。これは、デフォルトではセーフサーチが無効になっていたり、保護者のアカウントでセーフサーチを有効の状態にしてロックすることもできるが、子供がこれを解除する手段もあるためだという。

 小田氏は、セーフサーチ設定だけでは安心できないため、インターネットを子供に使わせる場合、特に家庭では使用できる端末を限定し、フィルタリングのかかっていない端末を自由に使えないようにする対応が必要だと説明。ただし、フィルタリングソフトが導入されているはずの学校において子供が残虐なコンテンツを閲覧してしまった最近の事例についても言及し、家庭・学校ともに適切なフィルタリング設定で運用されているか再確認し、年齢に応じたフィルタリング強度で運用するよう呼び掛けた。

 また、子供が興味本位でそうしたコンテンツを検索するという行為について、本当に検索したいのか、閲覧した結果どういう影響があるのかなどを子供たちがいま一度考える習慣を、学校や親子でのコミュニケーションを通じて身に付けさせることが重要だと指摘。単に見せないというのではなく、自衛の意識を醸成させる必要性がると訴えた。

(永沢 茂)