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女子高校生のAndroidスマホをかわいくするホームアプリ、ヤフーと「JCJK調査隊」がタッグ

「病み」はかわいい、よく使うアプリはTwitter……現役女子高生の実態を反映

 ヤフー株式会社は11日、Androidスマートフォン向け着せ替えアプリ「buzzHOME」の新デザイン2種類を追加した。スマートフォン向けサービスを開発するプロジェクト「女子高生のスマホをかわいくしようプロジェクト」の成果として、現役女子高校生とヤフーがタッグを組んで制作した。価格は無料、対応OSはAndroid 4.0.3以上。

 ヤフーが、女子高校生をターゲットとしたスマートフォン向けサービスを提供するのは、今回の取り組みが初。また、CSR活動とは異なり、ビジネス軸でヤフーが現役女子高校生とサービス開発を行うのもこれが初だという。

JCJK調査隊メンバーとヤフー社員

学生でしか使えない、学生だからこそ使えるアイテムを盛り込む

 6月1日に行われた最終企画会議には、現役女子高校生で株式会社AMF代表取締役社長の椎木里佳氏を中心とした「JCJK調査隊」メンバーから6人が集結。これまでの企画会議で練られてきた2つのホームアプリの確認・最終調整と、テーマの名前決めを行った。

 決定したテーマ名は「神様、まだ女子高生でいさせてください」。ホーム画面は、1)朝・昼・放課後という女子高校生の1日を表した「JK最強伝説」バージョンと、2)“ゆめかわいい”色使いと“病みかわいい”オブジェクトで構成された「ゆめみる少女よ病みをみよ 病んでる少女よゆめをみよ」バージョン――の2種類。テーマ名やバージョン名には「厨二」的要素や「ポエム」的要素を盛り込んでいるという。

「JK最強伝説」
「ゆめみる少女よ病みをみよ 病んでる少女よゆめをみよ」
会議風景
株式会社AMF代表取締役社長の椎木里佳氏
初期ラフ案。既存のホームアプリから要素を抜き出して方向性を固める
最終デザインバージョンのホームアプリを細かくチェックする

 「JK最強伝説」では、朝・昼・放課後をモチーフに、それぞれ女子高校生たちが利用するアイテムが散りばめられている。スマートフォンのアイテムには「一番良く使うアプリ」だというTwitterライクな画面が施されている。一方、黒板消しのアイテムはバッテリーの残量通知領域となっており、残量が減るごとに黒板消しが白くなってくる。また、アイテムの中には、「原宿などで売っている」というピンクのセーラー服やローファーなど、普段着ている紺や黒の制服とは異なる、彼女たちが“かわいい”と感じるアイテムも入っている。

 「ゆめみる少女よ病みをみよ 病んでる少女よゆめをみよ」では、パステル調の薄いピンク色で“ゆめかわいい”を表現し、溶けている絆創膏やアイテムなどで“病みかわいい”を表現。会議では、ホーム画面のSNSフォルダー内に入れるSNSアプリについて議論。女子高校生ではFacebookアプリの利用率は低いようで(JCJK調査隊メンバーで利用者は6人中2人)、フォルダーから削除する流れとなり、最終的にTwitterとInstagramが採用された。LINEは別アイコンで用意されている。

 両バージョンとも、学生でしか使えない、学生だからこそ使えるアイテムを入れつつ、一番かわいい色を使うよう配慮した。また、ホーム上のイラストをタップすると、イラストから想起されるアプリや機能が立ち上がるようにした。会議では最終調整として、「カレンダーの印象が硬い。もう少し柔らかくできないか」という要望に、ヤフー社員から「フォントの色を変えるか、カレンダーをアイコンにしてみましょう」といった、細かな調整も入った。

最終デザイン案のカレンダーが浮いていると指摘があり、アイコン仕様のカレンダーを制作することとなった
“ゆめやみ”であいうえお作文を作ってタイトル案を提出する。それぞれ思い思いのタイトルを考える
最終的に「ゆめみる少女よ病みをみよ 病んでる少女よゆめをみよ」が採用された
突如始まる自撮りタイム

「病み」や象形文字、数式はかわいい

 ヤフーとJCJK調査隊の提携のきっかけは、buzzHOMEの課題として若年層へのリーチが弱かったことにあるという。JCJK調査隊の立ち上がるタイミングで椎木氏とヤフーの社員が出会う機会があり、女子高校生が作るかわいいものを共同で世の中に届けたいという思いから、プロジェクトが始まった。

 ヤフーの岡昌樹氏(メディアカンパニースタートページ事業本部起点獲得推進室長)は、実際に彼女たちと会ってみると、ジェネレーションギャップでもない、彼女ら独特の“かわいい”を持っていることに気付いた。バージョン名の「病み」以外にも、象形文字や「Σ」などの数式も“かわいい”に含まれるという。今回の着せ替えテーマ制作に参加した20代のヤフー女性社員たちも「新しいな」「言われてみればかわいいかも……?」といった様子で、着せ替えテーマの方向性を基本的にJCJK調査隊にお願いする形になった。

女子高校生の間で、象形文字や数式は“かわいい”に分類される

 バージョン名にも含まれている「病み」という言葉は、JCJK調査隊メンバーによると、“かわいい”ワードとして認識されているという。女子中高生の間で日常的に使われているようで、辛いことがあると「今病み」「マジ病む」といった、カジュアルな感じで使われる。また、かわいい女の子の横に「病みポエム」が書かれてある画像や、手首に絆創膏を貼るといったリストカットを彷彿とさせる画像も“かわいい”の対象となる。椎木氏は、「かわいいの価値観が違う。大人が理解できないかわいさの価値観を今の女子高校生は持っている」としている。

 また、SNSの時代になり、流行が変わりやすくなっており、彼女たちの流行が終わった後でテレビなどに取り上げられるのを見る機会も多いという。その流行り廃りが速い女子高校生たちの“かわいい”の中でも、最先端の“かわいい”が詰まっているのが、今回の2種類のホーム画面だとした。

 なお、女子高校生のスマートフォンは現在、iPhoneの比率が圧倒的だ。岡氏によると、ある調査ではiPhoneの割合が9に対して、Androidスマートフォンの割合が1という結果が出ているという。実際に会議に集まった6人の女子中高生に聞いてみても、6人全員がiPhoneユーザー。一方で、Androidスマートフォンのユーザー(過去に使ったことがある場合も含める)は2人にとどまった。

 ただし、岡氏は都市と地方の地域差もあり、調査結果よりもAndroidスマートフォンユーザーの数は多いのではないかと補足。確実に利用してもらえるシーンはあると強調した。椎木氏も、Androidスマートフォンがホーム画面を着せ替えできることを知らない若い層が多く、自分たち好みのカスタマイズができることを知って欲しいとしている。JCJK調査隊のメンバーからは、今回提供するアプリがあればAndroidスマートフォンを使ってみたいという声も多数あった。

「自分たちがかわいいと思っているものを視覚化できた」

 制作に参加したメンバーからは、「最初は何もないところから、“病みかわ”“ゆめかわ”といったフワフワした内容で始まって、だんだん形になっていく過程が楽しかった」、「普段自分たちの身の回りにあるものが、実際には女子高校生だけ持っていて、これが女子高校生だっていうものが再認識できた」といった感想があった。

 また、苦労した点については、「かわいいの価値観は人によって異なる。できたものが自分だけにとってのかわいいかもしれないし、アプリとして出した時に世の中の女子高校生に本当にかわいいと思ってもらえるのか模索した」、「女子高校生が思うかわいいってすごく抽象的。言葉にできなくて、デザイン案をいただいてもなんか違うというのが結構多かった」など、作り上げる過程での“かわいい”の定義を定めるのが難しかったという。

(山川 晶之)